俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月26日(水)

2014-03-26 08:21:42 | Weblog
★宵風の白みて強し犀星忌  正子
穏やかな中にも、そこはかとなく感傷を誘う「犀星忌」の宵の情景です。「白みて強し」と捉えられた宵風に、不遇な境遇を不屈の精神で乗り越え、文学の道を歩んだ犀星を彷彿と感じさせていただきました。(藤田洋子)

○今日の俳句
水一つ提げて囀りの山に入る/藤田洋子
「水一つ」は、お墓参りのバケツの水か、または山歩きのための水筒かと思うのだが、大切な「水一つ」なのである。囀りの聞こえる山は、世を離れた明るい世界。柔らかな水、囀りの山に洋子さんらしい抒情がある。(高橋正子)

○三椏(みつまた)

[三椏の花/横浜・四季の森公園]

★三椏や皆首垂れて花盛り/前田普羅
★三椏の咲くや古雪に又降りつむ/水原秋櫻子
★三椏の花に暈見て衰ふ眼/宮津昭彦
★三椏やひそかに期することのあり/能村研三
★三椏の花の眠たくなる黄色/大橋敦子
★咲き終りても三椏の花なりし/稲畑汀子
★三椏の花じやんけんを繰り返す/大串章

ミツマタ(三椏、学名:Edgeworthia chrysantha)は、ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木。中国中南部、ヒマラヤ地方原産。皮は和紙の原料として用いられる。
 ミツマタは、その枝が必ず三叉、すなわち三つに分岐する特徴があるため、この名があり、三枝、三又とも書く。中国語では「結香」(ジエシアン)と称している。春の訪れを、待ちかねたように咲く花の一つがミツマタである。春を告げるように一足先に、淡い黄色の花を一斉に開くので、サキサクと万葉歌人はよんだ(またはサキクサ:三枝[さいぐさ、さえぐさ]という姓の語源とされる)。園芸種では、オレンジ色から朱色の花を付けるものもあり、赤花三椏(あかばなみつまた)と称する。
 和紙の原料として重要である。ミツマタが和紙の原料として登場するのは、16世紀(戦国時代)になってからであるとするのが一般的である。しかし、『万葉集』にも度々登場する良く知られたミツマタが、和紙の原料として使われなかったはずがないという説がある。


◇生活する花たち「辛夷・花水木・柳の花」(横浜都筑・ふじやとの道緑道)
コメント (1)
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