俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月2日(日)

2014-03-02 08:45:56 | Weblog
★芽柳のるると色燃ゆ向こう岸   正子
柔らかい風にさ緑の芽を付けた柳の枝が川の畔などで靡くさまに瑞々しい春の趣を感じます。「るると色燃ゆ」の措辞に向こう岸の若緑の芽柳は日毎に濃い緑へと成長し、しなやかにそして爽やかに揺れる光景が目に浮かびます。傍で見るよりも向こう岸に揺れている芽柳の方が朧に見えて余計風情を感じられる様に思います。(佃 康水) 

○今日の俳句
海の味口に溢るる牡蠣祭り/佃 康水
牡蠣をはじめ貝類は、とくに潮の香りがする。牡蠣祭りでたくさん牡蠣を召し上がったことだろうから、口中には海の味があふれるほどに。(高橋正子)

○ヒアシンス(風信子)

[ヒアシンスの花/横浜日吉本町]

★一筋の縄ひきてありヒヤシンス/高浜虚子
★敷く雪の中に春置くヒヤシンス/水原秋桜子
★銀河系のとある酒場のヒヤシンス/橋石
★誰もゐなくて満開の風信子/如月美樹

★ヒアシンス白水仙とあわせ活け/高橋正子
★ヒアシンスの香り水より立つごとし/高橋正子

ヒアシンスともいう。小アジア原産。草丈20センチほど。色は白・黄・桃色・紫紺・赤など。香りが高い。ヒヤシンスの名は、ギリシャ神話の美青年ヒュアキントスに由来する。彼は愛する医学の神アポロンと一緒に円盤投げに興じていた。その楽しそうな様子を見ていた西風の神ゼピュロスは、やきもちを焼いて、意地悪な風を起こした。その風によってアポロンが投げた円盤の軌道が変わり、ヒュアキントスの額を直撃してしまった。アポロンは医学の神の力をもって懸命に治療するが、その甲斐なくヒュアキントスは大量の血を流して死んでしまった。ヒヤシンスはこの時に流れた大量の血から生まれたとされる。
ヒヤシンスは花茎がまっすぐで意外と頼もしい。しかし優艶。こんなところからか、特に青い花を見ていると美青年が髣髴される。
ヒヤシンスを植えたところは踏まれないように縄を一筋張って置く。縄を張るなんていかにも昭和らしい。今日2月29日は朝から粉雪が舞い、2センチほど積もっている。春の雪が敷く花壇にヒヤシンスが咲けば、そこだけ「春」が置かれたようになる。虚子、秋桜子と対照的な句だが、ヒヤシンスの姿をよく表わしている。わが家では、年末水栽培のヒヤシンスを買い、早も咲いていたのだが、花の匂いを楽しんだ。水栽培で子どもたちでも楽しめる。

 以上の文は、2月が29日あった最近の年の文。つまり、2012年。
 今年(2013年)も年が明けてヒアシンスの鉢植を近所の花屋で買って楽しんだ。薄い紫を選んだ。一鉢に三球ある。花は全部で六本咲いた。一球から二本ずつ花が咲いた。二本目が立ちあがるころ最初の花の茎が斜めに倒れるので切り取って花瓶やコップに挿した。ヒアシンスが一番似合ったのはキッチン。薄紫ばかりで単調なので散歩の途中、山裾の捨て球根から育った蕾の水仙を二本摘んで来て一緒に挿して置いたら、とても清楚なまっしろな水仙が開いた。それが、またヒアシンスと特別よく似合った。


◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

コメント (1)
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