最近姫神山(ひめかみさん 1124m)を扱ったNHKの「にっぽん百低山」を見ていたら、姫神山のふもとで生まれた石川啄木が詠んだ歌、今日ひょいと山が恋しくて山に来ぬ。 去年腰掛し石をさがすかな。 が紹介されていました。この歌は悲しき玩具に掲載されているそうですが知りませんでした。
先週9月23日に鞍掛山から見た姫神山です。
番組では石川啄木記念館の館長さんが登場し、「啄木が姫神山に登ったという記録は残っていない」と話されていましたが、酒場詩人の吉田類さんと俳優伊藤歩さんは啄木が腰かけたという石を探して登った様子に、私も、ひょいと行ってみたくなり6月29日に歩いてみました。
花はほとんど咲いていないので、類さんが「山の姿も名前も優しいのに、登山道は優しくない」とぼやいていた様子が見えるような個所を紹介します。
後半ほど天気が回復する予報なので、一本杉登山口から10時30に歩き始めました。
12分ほどで一本杉を通過。涼しいので歩きやすいです。
ざんげ坂と呼ばれる階段区間にさしかかりました。
五合目が見えました。
15分足らずの急登でしたが、一休みしないと進めません。
2000mのうち1360m残っているし、コースタイム95分のうち75分残っているのに、ここが5合目とは?この先にも階段があるし気の抜ける緩やかな区間はほとんどありません。
昨日の雨で滑りやすいです。
六合目
苔がいい感じでした。
七合目
五合目から35分歩いて八合目に着きました。残りはまだ720mあります。
少し緩くなったでしょうか。
と思ったら階段が。歩きにくいです。やはり優しくないのです。
斜め上を向いているカエルに見えます。テレビでカエル岩と呼んでいたのはこれです。
西側に展望が開けました。啄木は左の飛び出した岩に腰かけて岩手山を眺めたのでしょうか?
こちらのほうが座り心地が良さそうです。
12時28分に山頂に着きました。休憩を除く所要時間1時間43分は、今年4月28日とほぼ同じでしたので安心しました。
意外と広い山頂には腰かけやすい岩が沢山あります。
一番高くて立ちやすい岩に立って北西方向から反時計回りに写してみました
② ①
④ ③
⑥ ⑤
北の方向は灌木が視野を妨げており、360度の展望とはなりません。
ここで岩手山をじっくり眺めます。右には八幡平の山並みが、左側には秋田駒ケ岳などが見えます。
さらに目を凝らすと、左側のすそ野に先週登った鞍掛山を確認出来ました。
早池峰山の山頂には雲がかかっていました。
南側に見えるのは盛岡の市街地で、その向こうには800m程度の山並みが見えており、その麓が紫波町です。
山頂ではお握りといなり寿司を食べて休憩し、13時04分に下山を始めましたが、気になるのは啄木が腰掛けたかもしれない岩です。これは座り心地がよさそうです。
バランスを崩して転びそうになったこともありましたが14時49分に無事下山しました。
休憩を除く所要時間は、登りよりも遅い1時間45分かかっていましたので、確認したら4月28日もそうでした。
L(歩行距離)=2000m H(標高差)=580mのこの山が優しくないのは、歩行距離が短い割に標高差が大きい(H/L=0.29)ためだと思います。
私の行動圏内で厳しいと思っている早池峰山の小田越コースは、L=2500mH=682mなのでH/L=0.27です。意外なことですが早池峰山の場合、一合目までと九合目から上が緩やかなのです。
啄木の歌では ふるさとの山に向かいて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな のほうがよく知られていますが、今日ひょいと山が恋しくて山に来ぬ 去年腰掛し石をさがすかな も味わい深いと思いましたし、ひょいと、簡単な気持ちで来られるのも今のうち、来年の春も多分来ることが出来そうだと思いました。