夕方のNHKのテレビで「自殺防止キャンペーン」をしているというニュースが報道されていました。3月は決算期で、資金繰りに困って自殺する人が一年で一番多いのだとか・・・・・。
実は我が家も5年以上も前の話になりますが、バブルはじけて莫大な借金を抱えた祖母を引き取って一緒に生活を始めた8ヵ月後、突然祖母が亡くなり連帯保証人になっていた父に大きな借金が降りかかってきたのです。
遺産相続は当然放棄。でも連帯保証人になっている部分は返済しなければなりません。それは到底、どんなに頑張っても返済出来る金額ではありませんでした。
今の生活、住んでいる家・・・・・全てを失ってしまうかもしれないという恐怖心から、私達家族は(自殺しようなどとは思いませんでしたが)「夜逃げ」でもしたい心境で、家族それぞれがとても不安な毎日を過ごしていました。
そんな中、父が言った一言「全てを失っても命までは取られん!」。この言葉に本当に励まされました。その通り、全てを失う事になっても命までは取られないのです。
その当時、私達家族はこの言葉を肝に銘じて毎日を懸命に生きていました。
何故「自殺」するの?それは、私が恐れていたように、今と同じ生活が出来なくなる事、家や物を失う事、世間の体裁が悪くなる事・・・・・今ある物を失う事が怖いから。
その根底には、「物質的な事」に幸せの価値を置いているので、それを失ったら生きていけない・・・・と思ってしまう幸せの価値観があるから。
命までは取られないのに、自ら命を絶ってしまう事こそ愚かな事。そうする前に、本当に大切な物は何かに気づくべき為に、もしかしたらその試練があるのかもしれません。
今日のようなニュースを見るたびに、「命までは取られん!」と私達家族の心の支えとなった父の言葉を思い出すのです。
泣ける自分、悲しむ自分・・・・・・喜怒哀楽が出来る健康な体こそ、絶対に失いたくない本当に大切な宝物だと思うのです。それを持っている自分は、本当に幸せなのだと・・・・。
・・・・借金持ちの祖母のお陰で、私はそれを学びました。(笑)
「命までは取られん!」・・・・この言葉は、私にとって深くて重い言葉なのです。