朝夕の食後、ベランダに出て桟の隙間から道行く人を覗き見るのがCocoちゃんの日課。半月ほど前の夜、いつものようにベランダに出たCocoちゃんが、何か虫でも見つけたようで一生懸命スノコの隙間をカリカリとほじるような事をしているのです。
何を探しているのだろう・・・・と暗い中、Cocoちゃんの探す物を私も見回して見たら何とそこには大きなムカデが!Cocoちゃんが刺されては大変!っ。「こっちにおいで!」っとCocoちゃんを部屋に呼び入れ、急いで見てみたのですが暗い上にスノコの隙間に入ってしまって、スノコを外してみたところでとても探し出せません。この晩は諦めて窓をしっかり締めて寝たのです。
そして次の日、何としてでも探して処分しなければ・・・・と掃除を兼ねて、外せるスノコを全て外して探したのですが、広いベランダ、どこに行ってしまったのか昨晩の大きなムカデは見つけることが出来ませんでした。
それ以来ベランダに出るのが日課になっているCocoちゃんは、あのムカデが気になるようでスノコの隙間を探しているのです。もしも座っているときに隙間から出てきて、Cocoちゃんが刺されでもしたら大変。ベランダに出たCocoちゃんを注意し、長居しないようになるべく早く部屋に入るように声をかけたりしたのでした。
私自身もいつもならスノコが引いてあるので裸足でベランダに出たりするのですが、スノコの隙間からあのムカデが出てきて刺されでもしたら・・・・と思うと、スリッパがかかせません。そして干した洗濯物に付いてきたりしたら・・・・と思うと、洗濯物を下ろす際にもパタパタとはたいて取りこんだり・・・・・・・植木鉢に水をやる際にも、網戸をしっかりと閉めないと部屋に入ってきたりしたら大変・・・・・・とあの大きなムカデを発見して以来、気が休まる時がありませんでした。
半月経っても一度も見かけず、マンションなので隣の部屋のベランダに行って隣の人が殺してくれたかな~と思ってみたり、私は最上階に住んでいるので下に降りてしまったかな・・・・と思ってみたり。とにかく色々な想像をしてみるのですが、やっぱり気が休まりません。
それが今朝、いつものようにベランダに出たCocoちゃん、また何か探しているのです。もしかして、ムカデを見つけたのかな?っと思って私も見てみようと窓を開けてみたら、何と開けた窓のすぐ下にあの大きなムカデがスノコの上に這っていたのです。慌ててCocoちゃんを呼び入れ、今度こそ逃すまい!っとキッチンから菜箸を持って再び窓を開けてみたらもう姿が見当たらず!でもこのスノコのどれかの下に必ずいるはず!っと這っていたスノコを取り敢えず外してみたのです。
そしたらいました!ボールペンほどの太くて大きな緑色のムカデ!
怖いけれど必死の私、取り敢えず菜箸で上から逃げないように押え付けたのです!でもその後、何とかして殺さなければなりません。
押えたものの、私独りなので殺すためのスプレーを取りに行くことも、踏み殺す為の靴を取りに行くことも出来ません。
怖くて悲鳴を上げたいけれど、朝の6時にベランダで悲鳴を上げる事も出来ず。でも怖いので悲鳴は出てしまい、声を殺して悲鳴を上げながら右手に持った菜箸でムカデを押え、届くところにあった小さなほうきを左手に取り、上から押さえつけて暴れるムカデを泣きながらほうきの柄で叩いてみたのです。
一生懸命叩いてみるのですが、細い柄では暴れるムカデの体になかなか命中しません。叩いても叩いてもムカデは暴れるばかり、でもここで逃してはそれこそ大変!
ちょちょ切れる涙に、小さな声で悲鳴をあげながら必死でムカデと戦ったのです。
何度か叩くうちに弱り始めた大ムカデ。どんなに叩いても死なず暴れるムカデにとどめを刺す事が出来ません。たまたまベランダに出ていたごみ袋が目に入り、弱ったムカデを箸でつまんで菜箸と共にゴム袋の底の方へ突っ込みました。まだ生きているので、ゴミ袋から出てきでもしたら大変!
「ヤッタ~!!」と思わず声を上げ、急いで袋の上を縛り、パジャマから洋服に着替えてゴミ捨て場へ直行!!
部屋に戻るとやれやれ。
気持ちは鬼退治をしたモモ太郎のよう、悪をやっつけ正義が勝利!これで今日からまた平穏無事に暮らせる!・・・・と戦いに勝った戦士になった気分でした。
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独り暮らしの母は子(Cocoちゃん)を守る為に、こうして怖い物とも一人で戦い、必然的に強くなっていくのです。(*^_^*)