夜明け前後が本当に涼しい。昼間の暑さはあまり変わらないがこれは初秋の趣である。しかしこのまま秋に入るとは思えない。これから何度か熱波は襲ってくるのだろう。
オリンピックは陸上が始まりいよいよ佳境に入る。100mの予選を見ていたがフライングで失格する選手が居る。厳しい練習にも耐え遥々パリまでやってきて国を背負っての闘いである。今は1回でもフライングすると失格になる。選手はスタートの合図と理想的には「同時」に走り出す。反応速度を含めての競争でありギリギリのところを狙うからフライングが生まれる。何とも厳しいルールではあるが以前のように2回フライングで失格とすると各選手が1回づつフライングすると8回スタートがやり直しになる可能性がある。集中している選手にこれは耐えきれない。
厳しいルールが課せられるのは残酷な選手のテーゼ(命題)と言える。テーゼで思い出すのはコぺル大先生の言葉である。世の中テーゼとかアンチテーゼと言った難しい言葉が好きだがジン(シン)テーゼまで言及することは少ない。ジンテーゼはテーゼとアンチテーゼを統合し、新しい視点や考えを生み出す手法のことだがどうも対立構造を煽るだけの世の中は寂しいものだよと。何とも日常会話の中に哲学を挟み込む大先生ではあったが何度も教えらることがあった。
100m走も合図と関係なく個々の選手のスタートとゴールを自動計測したら記録は何処まで伸びるのだろう。この時着順はタイムで競われるので見た目と順位が一致しない不便はあるが9秒5くらいには記録は縮むのではないだろうか。それが人間の限界である。しかし世の中須らくルールあっての競争である。失格して帰国した選手にそんな言葉をかけて慰めるつもりはないが残酷な世の中のテーゼを学ぶことも必要である。あの選手も一人になった時大号泣していたのだろうか。
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