閑など無いぞ貧乏で

　何故著名な経済学者とか元政治家達は専門でもないお笑いとかスポーツ界に対するコメントをSNSにアップするのだろう。異分野まで幅広い知識を持っていますよとひけらかすためか、はたまた私はこんなに庶民的ですよとアッピールしているのか。最近何となく理由が分ってきた。ずばり、私生活には話題となるような出来事などめったに起こらない、専門や経験が生かせる事件など皆無に近い。それでも世の中とは繋がっておきたいからSNSにアップして注意を引こうとする。簡単に言えば閑だから。自分？閑などないぞ貧乏で。有名人だからコメントは時々炎上する。自分は？無名の代表であり何を書こうとも風呂の中の遠慮がちのオナラの如く世の中に広く知れ渡ることもないから炎上などしない。

オナラと炎上のキーワードで思い出したことがある。部下が独身寮に住んでおり部屋を訪ねたとき珍しいものを見せましょうかと言う。仰向けに寝そべり股を開いてお尻にライターをかざして何度かチカチカとやった時、ボヤッと火の玉（への玉？）が見えた。オナラは本当に燃えるんですよと言った。危ないじゃないか、バックファイアで中まで燃えるぞと言ったら、大丈夫ですガスの噴射圧の方が高いから逆流はしませんと言う。何のきっかけでそんなことをし始めたのかと聞くとオナラが本当に燃えるかどうか実験したかったとのこと。良い子は真似をしないように。生かす場面など無い芸だ。ひょうきんで仕事は良く出来る男だった。ただ入社したての頃技術的な説明をしていた時突然、先輩岡山県北部の蛇紋岩って知っていますかと言い出した。私は大学で蛇紋岩の研究をしていました。私の方が多分詳しいですよ、と。そんな事で張り合われても、仕事に生かせる知識ではなかった。後にソーラーでも数々の特許も取得しいっぱしの研究者になった。異分野から来た男だったが先輩たちとも互角に渡り合えるようになった。残念ながら若くして病気で亡くなってしまった。最後に会ったのは私が関東に転勤になって数年経った頃奥さんと二人で家を訪ねてきた。仕事の悩み相談だった。弟のように可愛い男だったが。