ゆっくりかえろう

散歩と料理

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あやし

2012-10-29 | 読書

宮部みゆき氏著
これは怪談集らしくちゃんと怖いです。
ただ宮部さんらしく それ以上の作品に仕上がっています。
幽霊も鬼も妖怪も 多くは人の内側にある怨念 執念であり 一番恐いのは 人間自身である
読んでいてそう思いました。

舞台は江戸、時代も場所も畠中恵さんのしゃばけシリーズに 微妙にかぶっていて
江戸の町の繁華街がリアルに浮かびます。
あちらは喜劇 こちらはサスペンスとスリラー。両極端だけど どちらも楽しい。読者は贅沢ですね。
中でも安達家の鬼 という短編。主人公は過酷な生い立ちと人生ながら 人を恨ます 妬まず 強欲をもたず
淡々と生きながらやがて自分の理解者に巡り会えます。

 悪人には恐ろしく見える鬼が 副主人公にはみすぼらしく 悲しそうに見える
 それは鬼ではなく 自分自身の影だと気づく読者が どれだけいるのかなぁ
 とちょっと興味を持ちながら 鬼さえ見えない主人公の暗い人生にも
 一筋の光明の見えるラストシーンが宮部作品を好きにさせてくれます。


 他の作品も江戸情緒たっぷり 優しさたっぷりの作品です。



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