キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「ボビー・フィッシャーを探して」

2019年01月19日 | Book

ボビー・フィッシャーのドキュメンタリーを見て、この伝説のチェスプレイヤーに興味があった。この本のタイトルを見た時、ボビー・フィッシャーに関する本と思っていたが、内容は著者の自慢の息子がチェスプレイヤーとして成長する姿を追ったノンフィクションで、期待したものとは多少違っていたけれどとても面白く読めた。著者の息子ジョッシュは6歳でチェスを始め、わずかな期間で同年代や年上の子供は勿論、やがて父親や大人の棋士達に勝てるほど強くなる。
著者は息子の能力に惚れ込み、コーチをつけてトレーニングをさせ、海外に遠征し、学童チェス大会に参加して実戦経験を積ませる。幾多の挫折を経て、学童の全米大会に出場する。
70年代の冷戦の時代に、米ソはチェス競技で国家の威信を賭けて戦った。ボビー・フィッシャーは世界チャンピオンになったアメリカの伝説の英雄であり、当時のチェス人気を背負っていた。チェス好きの親は子供にチェスを教え、未来のボビー・フィッシャーになることを期待する。息子に惚れ込んだ著者も同じ「親バカ」としか思えなかったけれど、それは子供を持つ親に共通する感情なのだろう。この本の大半は、アメリカのチェス環境と息子に対する想いが綴られたものだが、遠征で訪れたソ連については、社会環境、チェス教育の仕組み、アメリカのチェス棋士の環境の違い(アメリカのチェス棋士は不遇で比較にならない)、ソ連の伝説のプレイヤーの過去と現在(と言っても80年代の状況だが)やボビー・フィッシャーのプレイなど、著者の体験やエピソードが多く語られていて興味深かった。
チェスの世界でも戦略や定跡に名前があるのだが、チェスの場面で出てくる用語の意味が判らなくて、いま一つイメージが湧かない部分があった。事前にチェスの予備知識(駒の名前や動き)を知っておいたほうがより楽しめると思う。ゲームには興味が無い自分だが、この本を読んで少しだけチェスをやってみたくなった。


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