キマグレ競馬・備忘録

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1421 中国が新大陸を発見した年 / ギャヴィン・メンジーズ

2005年03月13日 | Book
お勧め本の紹介です。
[1421 中国が新大陸を発見した年 / ギャヴィン・メンジーズ]
【紹介文】
1421年、中国の明の時代。紫禁城をつくった永楽帝は家臣の鄭和に世界のすみずみまで調査することを命じた。勅命を受けた鄭和は、宝船といわれる巨大なジャンク船団を率い、世界をめざして航海に出た。大航海時代以前のヨーロッパの古地図に描かれていた、新大陸の一部としか思えない島々…なぜ1492年以前の地図にアメリカが描かれていたのか?
世界各地に残された膨大な手がかりや「証拠」をもとに、600年の時を遡り、鄭和がコロンブスよりも70年前に新大陸を発見し世界一周をしていた真実が明かされる。
【感想】
著者は中国生まれのイギリス人で潜水艦の艦長という異色の経歴の持ち主。
これまで世界中の海を航海して得た経験からひとつの仮説を立てた。「中国、明の皇帝・永楽帝の命により世界を航海した鄭和の艦隊が、コロンブスよりも70年早くアメリカを発見していたのではないか」というものである。この仮説を検証したのがこの本である。
鄭和の艦隊の航海は、歴史の史実として残っている。しかし、詳細を記録した文書や航海の手引書がほとんど残っていない。これは、中国の体制が替わるたびにそれまでの文書や資料が破棄される(前の王朝が否定される)からである。それでも著者は、物的証拠-磁器や絹、工芸品、石碑を手がかりに、コロンブスの頃には既にあったとされる世界地図と照合しながら鄭和の艦隊の航海ルートを検証している。現在の活動の内容は、ホームページでも見ることができる。今後、この仮説が真実であると立証されたならば、西洋からの見方で書かれている現在の世界史は、大きく改訂されることになるかもしれない。
ちなみに今月、ディスカバリーチャンネルで特集があり、著者本人が出演し自説の正しさについて述べていた。彼によると鄭和の航海が行われたことは間違いないが、彼等がアメリカ大陸を本当に発見したという証明はまだできないらしい。鄭和の部下が発見したという仮説に対しても、中国の専門家から多くの反証が挙げられているようだ。(発見したとされる時期にその部下は中国にいたらしい)中国人のアメリカ大陸発見説の真偽はともかく、約600年前に世界航海に出掛けた「鄭和の艦隊」の存在を知らしめたことだけでもこの本の価値はあると思う。

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