マックス・エルンスト
原題「野蛮人たち」
野蛮な男どもが行進していく。あらゆる幻のレトリックを身にまとい、みだらな幻想を歌い、仮想の敵である、麗しき魔女を倒すためにいくのだ。
彼らが信仰している唯一神は、激しい。燃えるように熱く、氷のように寒い。瞬きしている間に、すべてを食う。そして何もかもを馬鹿にする。
だがそんな神は、現実にいはしない。彼らがいると信じている神は、ほかでもない、自分自身のことだ。忘却の奥に横たわる、小さな獣であった頃の自分の記憶なのだ。
小さく愚かでネズミのように無力であった頃は、自分だけが存在だった。自分が最高に偉かった。それでなければ、生きられなかった。神もまた、そのように自分を扱ってくださった。
馬鹿な男はまだ、その頃の栄光が忘れられないのだ。自分が世界の中心であった頃の、仮想の神であった自分の姿を。
だからその幻の神を、永遠の神にして、未だに祭り奉っているのである。