共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

たまプラーザよ、さらば

2021年07月29日 21時35分15秒 | 日記


今日は私にとって特別な日となりました。私が音楽教室ヴァイオリン科講師としてのキャリアをスタートさせてから20年以上勤めたたまプラーザ教室の私のクラスがクローズし、来月以降この街に来ることが無くなったのです。

私がここの音楽教室の講師に就任したのは平成9年のことでした。その頃からずっとこの街の教室でヴァイオリンやヴィオラを教え続けて、気づけば20年以上の年月が経っていました。

しかしその間に経営者が何度か替わり、現在の代表取締役が就任してからは経営状況が年々右肩下がりの線を辿る一方となっていました。そして信じ難いことに、私は現在の代表取締役が就任してからの10年間、新規入会者はおろか、それを勧誘するための体験レッスンですら一度もしていないのです。

そんな中でも、今までは昔からずっと続けてくれている生徒さんたちを大事にしながらレッスンを続けていました。しかし、その生徒さんたちもそれぞれの都合で一人、また一人と櫛の歯が欠けていくように減っていってしまっていました。

そして先月、幼稚園年中さんからずっと続けてくれていた高校生の生徒さんが大学受験準備に入るために教室を退会していき、木曜日のたまプラーザ教室の生徒さんが大人の方一人だけになってしまいました。

それでも私は、生徒さんがたった一人になってもきちんと通ってレッスンをし続けるつもりでいました。ところがそこに、教室側から驚くべきメールが送られてきたのです。

その『社長からの伝言です』というタイトルで送られてきたメールには



木曜日たまプラーザにお通いの生徒さんが
○○様1名のみになってしまったたため、
誠に申し訳ございませんが
来月より水曜日のあざみ野に
ご移動いただきますよう先生からお伝え
いただきたいと思います。

生徒様にご移動いただくのは
誠に心苦しい限りですが、
昨今の当社の財政状況では
コロナによる不況もあり、
お一人の生徒様のために
講師の交通費を捻出することが
大変困難となります。
生徒数が少ない他の講師にも
同じ様にご案内しております。
ご理解ご協力のほど、よろしく
お願いいたします。



という、目を疑うようなものでした。

メールを読むだに、仮にも音楽教室社長自らがお客様であるはずの生徒さんに「ウチの経営状況がヤベーから、オマエから曜日を移籍するように話をつけとけ」と伝言されているとのことでしたので、呆れかえってものも言えませんでしたが、そのことをそのまま生徒さんにお伝えしました。そうしたらその生徒さんが

「こんな扱いを受けるくらいなら今すぐ退会します!」

と大変お怒りになってしまったのです。

当然のことです。

通常音楽教室に生徒さんが入会する際には、その生徒さんのご都合に合わせた曜日と時間枠を決めていただきます。そのようにして、自身がお月謝を支払ってレッスンを受ける枠を『契約』するわけですが、それをこともあろうに教室側から

「アンタしかいなくなっちゃったから、別の曜日の別の時間枠に移ってくんない?」

という自己都合を一方的に、しかもそれを『伝聞』で聞かされたのですから、主たる契約者である生徒さんからしたら正に青天の霹靂、たまったもんじゃありません。

今日退会してしまった生徒さんは、私が音楽教室のキャリアをスタートさせて間も無い頃に入会されて、そこから四半世紀近く続けてくださった大御得意様です。ところがこともあろうに教室のオッペケペー社長は、そんな大御得意様にとんでもない狼藉をはたらいてのけたのです。

勘違いしてもらいたくないのですが、生徒さんはコロナ騒ぎやら何やらで教室の経営状況が思わしくないことを責めているわけでも、クラスの一本化を生徒さんにお願いしてきたことを責めているわけでもありません。問題なのは、入会時に契約事項を締結した側が自らの都合で一方的にそれを反故にしたことと、そのことをよりにもよってメールでの又聞きで知らされたということです。

許されることではありませんが、もし教室側の都合でどうしても曜日や時間枠を変更してもらいたいと思っているのであれば、せめてパソコン打ちでもいいから生徒さんに対して直接手紙をしたため、社長の直筆署名をそえて封書にしたものに切手を貼って郵送するくらいのことをするのがマナーです。しかしあのオッパッピー社長はそれすらせず、あまつさえ自社の都合を部下から私に『伝言』させて知らん顔を決めこんだのです。

それに、教室に生徒さんが一人になってしまったのであれば、教室側がするべきことは『新規入会者の獲得をはかってレッスン枠を減らさない』という営業努力のはずです。しかし、ボンクラ社長の判断はレッスン枠の一元整理と交通費捻出の出し渋りという、不況下でも何とか業績を伸ばそうとするはずの会社経営者としての常識とは正反対の愚考でした。

結果としてあのスットコドッコイ社長は株式会社代表取締役として、顧客に一番やってはいけない無礼をはたらいたわけです。しかし当のドテカボチャ社長はそんな重大事をやらかしたことにすら気づいていないわけで、そんなオタンコナスの経営しているところで四半世紀も働いてきたことに、我ながら呆れて物も言えなくなっています。

生徒さんと別れを惜しんでから片付けを済ませて駅に向かうと



暗くなるのが早くなってきた中に、たまプラーザ駅が聳えていました。

思えば私がここで仕事を始めたのは、まだこのたまプラーザ駅が今の1/10くらいしかないショボくれた駅舎だった頃でした。それから月日を重ねて四半世紀もの間通い続けましたが、来週以降はもうこれまでのようにこの街に足繁く来ることも無いでしょう。

まぁでも、まだあざみ野の教室には生徒さんもいらっしゃるし、考え様によってはMAXでもあと10年ちょっとばかり働く場でしょうから、今後も私の生徒さんがゼロになるまで生温く通い続けて交通費を毟り取ってやろうと思います。そして、それまでは拙ブログも続けてみようかと思っておりますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。


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