今日は77年前に長崎に原爆が投下された日です。長崎平和記念公園で執り行われた慰霊式は新型コロナウイルス感染防止のため規模が半分以下に縮小され、ロシアとベラルーシ以外の米英中仏印、イスラエルの核保有6カ国など過去最多の83カ国が参列しました。
そして午前11時2分、原爆投下の時刻に合わせて
『長崎の鐘』が鳴らされ、参列者が1分間の黙祷を捧げました。今年の式典では、この1年間で新たに死亡が確認された3160人の原爆死没者名簿が奉安され、奉安者の累計は19万2310人に上りました。
広島の原爆投下からわずか3日後の1945年(昭和20年)8月9日の午前11時02分に、アメリカのB29戦闘機『ボックスカー』が日本の長崎市上空に原子爆弾『ファットマン』を投下しました。
この原子爆弾が人類史上において2回目に使用されたものであり、現時点では実戦で使用された最後の核兵器となっています。
原爆の投下により、当時の長崎市の人口24万人(推定)のうち約7万4千人が死亡し、建物は約36%が全焼または全半壊したといいます。長崎原爆のキノコ雲については約100キロメートル離れた熊本県熊本市や、遠く200キロメートル離れ九州山地の東側に位置する大分県中津市でも見えたと当時を語る証言もあるくらいですから、どれほどの凄まじさであったかが窺えます。
広島原爆と長崎原爆を比較すると、使用された燃料や爆発時の破壊力、被害状況などが異なります。そして、破壊力の大きいプルトニウム型原爆を使われたのが長崎、実際の被害が大きかったのがウラン型原爆が使われた広島でした。
広島と長崎の原爆を比べてみると
●広島型原爆
コードネーム:リトルボーイ
爆弾の燃料:ウラン325
爆発威力(TNT換算):約15キロトン
爆撃機:B-29(エノラ・ゲイ)
当時の人口:約35万人
死者数:約14万人
●長崎型原爆
コードネーム:ファットマン
爆弾の燃料:プルトニウム
爆発威力(TNT換算):約22キロトン
爆撃機:B-29(ボックスカー)
当時の人口:約24万人
死者数:約7.4万人
となります(当時の人口は推定、死者数は1945年末までの推定)。広島の約1.5倍の威力を持つ原爆が使われたにもかかわらず長崎の方が人的被害が少なかったのは人口比率もさることながら、平地の広島と違って長崎が山で囲まれた地形であり、その山々によって熱線や爆風が外部へと漏洩するのが遮蔽されたためだといわれています。
広島原爆の日にも書きましたが、どんなにアメリカが戦争を終結させるためだったなどと原爆使用の正当性を主張しようとも、彼らが非戦闘民を無差別に殺戮したことに違いはありません。原爆を落とした彼らにはその負の事実を、これからも永遠に抱えて生きていってもらう必要があります。
今日は長崎原爆の全ての犠牲者に、サミュエル・バーバーの《弦楽のためのアダージョ》を捧げたいと思います。広島原爆の日に捧げた《アニュス・デイ》の原曲であるバーバーのこの上なく哀しい旋律にのせて、全ての原爆犠牲者の御霊安かれと祈ります。
合掌。