イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

ベーブ・ルース物語

2009年03月20日 23時24分03秒 | Weblog
WBCの話の続きですが、さきほど、以下のようなニュースを目にしました。引用させていただきます。


米国戦に思い入れあり 原監督
 原監督は、準決勝で米国との対戦が決まり「尊敬できる米国野球に挑戦できる。大変、興奮している」と話した。
 メジャーリーガーとの対決には思い入れがあるようで「わたし自身、メジャーに追い付け、追い越せの中で教育されてきた」と明かす。
 小学生の時に図書館で最初に読んだのが『ベーブ・ルース物語』だそうで「その本を読んで(大リーグに)興味を持った」。長い間あこがれていた戦いが現実になった。(共同)

[ 共同通信社 2009年3月20日 18:58 ]


いい話ではありませんか。数十年前、原少年が読んだ『ベーブ・ルース物語』(このストレートなタイトルが素晴らしい。昭和を感じます)。今、世界の表舞台で日本チームを率いている原監督の心の中に残っている、1冊の本。タイトルまでだして話題にするところに、原監督がいかにこの本から受けた感銘を大切にしているかが感じられます。素晴らしいです。「図書館で最初に読んだ」というのも、それだけ忘れられない強い印象につながっているのでしょうね(それはさておき、「『ベーブ・ルース物語』だそうで」の「だそうで」っていうのは、共同通信社の言葉使いとしては、ちょっと口語的すぎるというか、軽くないですかね(^^;)

Amazonで調べてみると、ひょっとしたらこの本ではないかと思わしき1冊が見つかりました。予想通りといいますか、翻訳本です。もちろん、この本ではないことも十二分に考えられますが、もしこの本でなかっとしても、それが翻訳本、あるいは翻訳された情報をもとにして書かれた本である可能性はかなり高いわけです。翻訳は、ひそかにこんなところでも役にたっているのですね。うれしい限りです。今頃、図書館に眠る『ベーブ・ルース物語』は本冥利につきると思っているでしょうし、その本のなかにある訳文も、翻訳されてよかったな~と思っているに違いありません。

そもそも、日本の野球もベースボールが翻訳されて日本に入ってきたわけです。つまり原監督は、まさに翻訳に青春をささげた、翻訳Loveな人生を過ごしてきたのだったといっても過言ではありません(いや、ちょっと過言ですかね)。「少年時代に読んだ1冊の本が、後の人生に大きな影響を与える」そんな絵にかいたような心温まるエピソードに触れて、わたしも翻訳者のはしくれとして、そして野球と本を愛するものとして、胸に熱いものがこみ上げてくるのを抑えきれません。これからも、少年の記憶に残るようなよい翻訳本がたくさん出版されることを祈りつつ、原監督にエールを送りたいと思います。

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