イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

未来世紀はフラジャイル

2008年02月13日 00時13分14秒 | Weblog
灰色の現実終わらせるのは未来じゃなくて今世紀ブラジル

(解説)朝、電車に乗って、窓に映る風景を見ている。iPodからは『未来世紀ブラジル』のサントラが聴こえてくる。彼方には都心の高層ビルが見える。遠くに煙突がある。煙突は、灰色の空にむかって白い煙を吐く。映画の主人公のサム・ライリーが暮らしていたのも、こんな風に徹底的に工業化された世界だった。そこでは、あちこちに巨大な建物や工場があって、そこかしこの煙突からはもくもくと煙が出ている。人はその合間を縫うようにして生きている。抑圧的で不条理な世界の中で、サムは偶然出会った女性に恋をする。彼女に夢と希望を見出す。音楽を聴きながら無機質な風景を眺めていると、まるでこの映画の世界のなかに飛び込んだような気持ちになる。

夢と希望。僕もあらためてそれを追いかけよう。サムの恋が現実逃避だったかもしれないように、僕の夢と希望も、この現実からの逃避なのかもしれない。現実的に生きることは大事だ。でも、現実につきあうのもほどほどにしておかなきゃだめだ。そうしなければ、いつまでたっても真の自分とは向き合えない。世間におもねることなく、流されることなく、本当の自分の力を試すべきだ。現実に寄り添い妥協していきることは、ある種の自己逃避なのだ。あの未来世紀はもう未来じゃない。今ここが、ブラジルなんだ。

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S先生の最後の授業。先生の言葉に対する感覚のオーセンティックさ、文章を推敲するときの思考の流れ。半年間、同じ空間にいて先生の生きた言葉を聞けたことは、本当に有意義な体験だった。S先生は、本当にすごい人です。この教えを活かして、イワシはまた旅にでます。本当にどうもありがとうございました。

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