松本清張による同名の小説の映画化です。「球形の荒野」の意味は、作品に登場する戦時中の国際的外交官で第二次世界大戦の終結に尽力していた顕一郎が見ていた世界(=地球【球形】)情勢が荒野に見えていた、ということに由来します。
舞台は昭和36年頃の、奈良、京都、神奈川、東京。
奈良の唐招提寺を訪ねた芦村節子(島田陽子)は、芳名帳に、大戦中に外交官であった亡き父・野上顕一郎に相似した筆跡を認めます。名前は「田上孝一」と異なっていましたが、筆跡は酷似していました。
節子は恋人・添田彰一(竹脇無我)、母(野上未亡人)・孝子(乙羽信子)にこのことを話しますが、取り合ってもらえません。野上顕一郎の死亡は、確認されている事実でした。
新聞記者である添田は、野上顕一郎の死亡前後の事情を調べはじめます。その矢先、当時の公使館関係者が、・・・。さらに、久美子の周辺で奇怪なことが相次いで起こります。そして、顕一郎(芦田伸介)が生きていることがわかり・・・。
久美子も添田も、一連の事件に見えない糸を予感します。