早いもので、昨年の5月にスタートしたチャレンジ教室も
英語は2月、
国語は3月でいったん終了となります。
毎年わたしの課題(テーマ)に沿ってプログラムを立てて生徒を募集し、
子どもたちには「協力」してもらいながら
試行錯誤を繰り返して前進してきました。
毎回国語プリントで始めるところは同じですが、
・作文
・漢字
の二つは、順序を入れ替えたり、作文だけの日、というのもあります。
クラスの進行スケジュールはこういう感じです。
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5時半開始
国語プリントの宿題を提出
前回のプリントの間違い直し
新しいプリントをもらう
6時~6時15分
このあたりで5分~10分ほど休憩
6時15分~6時40分
漢字の読み書き
6時30分~
個別課題 (作文、漢字)
7時 終了
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昨日お母さんの一人から嬉しいメールを頂きました。
今日はお疲れ様でした。
すごく皆自然に落ち着いて勉強していて、なんか
先生の想う授業だなぁと
感心させられました。
レッスンがうまくいっているかどうかは
先生ならその場で感じてわかっていると思いますが
最近、本当に子どもたちの落ち着きと集中が高まっていて
わたしがその邪魔をしないようにしないとなあ~と思うくらいです。
たとえば上記90分レッスンの
活動を大きく3つに分けているので
「◎分になったら休憩だよ」
「区切りの良いところで終わったら、次は○○だよ」
という声かけをするのですが
子どもたちは顔を上げもしないで黙々と(ほんとに黙々と)
「もうちょっとこれをやる」という態度。
その場合は個別にそっと確認・・・。
「○○ちゃん、もう少しそれやる?」
「うん」
「どこまでやる?」
「ここまで」
「わかった。じゃあ、そのあとで△やろうか」
というように進めています。
こういう教室で一番良くないかな~と思うのは、
それぞれが真剣に取り組み集中している活動の途中で
何がなんでも予定を優先!と
子どもの活動を中断させることではないでしょうか。
「はい!!そこまでで終わり~~。」と大声でやめさせる、あれです。
(以前はしっかりそれをやってました)
私はある時期から、それをしてしまうと、
せっかくの子どもの集中力を台無しにしてしまう、
と感じるようになりました。
なぜなら、「はい、終わり!」と言われたときの子どもの抵抗感が
「はあ・・・(もう少しやりたいのに)」だからです。
チャレンジ教室、決して楽しい事をしているわけではありません。
プリント教材や、漢字というのは、
読み書きに苦手感のある子なら、
「絶対イヤな活動」の部類に入るはず。
それを「はあ・・・」と明らかに
”せっかく集中してたのに止めるなよオーラ”
を出されているのに、こっちの都合で中断させるのって、
あれ、なんかおかしい!?
わたし、間違ってる?
もう少しやらせて何が悪いんだろう?
ここは学校ではないので、その子のペースを最大限に生かして
勉強ができる場所にしてあげることができるんじゃないか、
と思い直しました。
そこで考え方とやり方を変えたのです。
活動時間に関しては、
子どもの集中力を最優先して(←コレを伸ばしたいから)
こちらが譲れる限界まで譲る、です。(限界はもちろんあります)
これで、無理させることが減りました。
もう一つ、今年大きく変わったことは
活動を始める前に必ずそれぞれの子に、
・なぜ”あなた”にその活動が大切か
・どっちを選んでもいいので自分がやりたい方を選びなさい
を伝えるようにしたことです。
国語プリント教材であれば、
例えばAくんには、事前にどのプリントを渡すか用意しています。
Aくんは文法が得意、でも今がんばって欲しいのは
「順序を考えながら読む」読解プリントだとします。
もちろん「熟語」もやってほしいです。
そこで、得意なものと不得意なものを混ぜて、
プリントを渡す前に、
「今日は、Aくんのために3種類用意してきたんだけど・・・。」
と見せます。
「これは、いまずっとがんばってる読む練習のプリントよね。
こないだもよくできていたよ。
だいぶ、読めるようになってきたんとちゃう?
今日は寒い地方の生活について書いてあるわ。
こっちは文法。これはAくん得意やろ。
で、こっちは熟語。先生はAくんにもう少し単語の数を増やして欲しいから
1枚だけ入れてみた。こんな感じだよ。
今日はどれからやる?」
というように見せます。
大切なのは、全部先生が選んでいるんだけれども
どれをやるかを選択するのは自分なんだ、
という気持を持つこと・・・・。
これは、プリント教材を導入するときに尊敬する先生から教わったことです。
子どもは一応、真剣な顔で選びます。
「どれにしようかな」
そして面白いことに、たいてい、
よっぽど疲れているのでなければ
「これが一番苦手だろうな」と思うものに手を出します。
(ちょっと感動します)
実は、選ばなかったものも、結局 全部宿題になるのですが。
最後は、
「はい、あと10分です。
今週はこれだけ持って帰ってね。
できるところまででいいよ。
好きなところからやったらいいよ。」
と渡すのですが、
「宿題になるくらいなら、ここでやる~~!!!」と
また私の罠にはまってくれて集中力が増す、
という、
”なんか自分で選んでるんだけど実は先生の手のひらです”、
みたいなサイクルにうまく乗ってくれるのです。
こういうやり方を
「生徒に主導権を与えている」
「生徒を甘やかす」「先生のコントロールが効かなくなるのでは」
と思って敬遠する先生もいるようですが、
これはやってみたら意外と大丈夫ですよ!
お互い理解した上で、多少の選択肢を与えて
子どもの自立を促すことと、
生徒に主導権を明け渡すということは違うということが
よくわかると思います。
その逆で、その子に「自分が選んだ」という意識を持って
自主的に勉強に向かう態度を促します。
でも最初からはそんな風に私も考えてはいなかったので
これ以上偉そうなことは言えませんが、
今ではチャレンジの子どもたちは
以前は30分ももたなかった集中力がついてきたことと、
「僕は(私は)もう少しこれをやってから、○○する」と
自主的に見通しを立てて取り組んでいることが
今年の教室の大きな収穫でした。
そして指導者として私が今年学んだことは、
大切なのは指導方法じゃなくて、指導のあり方や姿勢だったのです。
集中力や自主性、学習への責任感という側面は
それこそ一方的に教えて身につくものではない力なので
教室の環境や進め方、あり方が決め手になります。
子どもに一方的に与えるだけの授業、
先生がすべて管理する授業は、
こうした能力が育つチャンスを奪っているのかもしれません。
まずは子どもに選ばせてみることから始めて見るのはどうでしょうか。
そして選ばせたなら、
それを信じて、じっと見守るのです。
最初は失敗します。必ず失敗します。
(宿題を忘れるとか、枚数をこなせないとか、約束をやぶっちゃうとか)
でも、絶対にせめずに、またチャンスを与え続ける。
(前回はこうなっちゃたけど、今回はどうする?またやってみる?)
「先生は僕(私)を信じて、いつでもチャンスをくれる人なんだ」、
ってなれら素敵だなあ、って思ってます。
教室だから失敗してもいい。
失敗しても何度でもやり直せる場所が、教室です。
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下の写真は、最後の20分の個別活動の様子。
全員、みごとにバラバラでしたが
静かに取り組んでいました。
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