俳句で「花火」といえば、大空に舞う大花火を指す。最近、その花火大会が中止の浮き目に会っているという。観客のマナーの悪さ、警備費のかかり過ぎ、安全を確保できない、などの理由である。熱海のように、年十数回もやる集客目的の花火大会もある。
さて一方、私達が店で買ってきて庭で遊ぶのは、「手花火」という。手花火には色々あるが、代表は何といっても「線香花火」だろう、と思う。しかし、夜の闇を昼間のように明るくしてしまった現在では、地味過ぎて今後見捨てられる運命にあるのかもしれない。
この句のように、線香花火がぶつぶつと誰にも分からないように呟きながら、この世から消えていくような気がするのは、私の考え過ぎだろうか。
線香花火が呟くのは、落ちる時というより、その前の火花が散っている時、という海人さんの解釈は、全くその通りであるが、かと言って、この句が揺らぐわけではない。
カラスウリ(烏瓜)雌花