東京印刷場 異級乗車券

拙ブログ前回エントリーの「伊豆箱根鉄道 異級乗車券」に関連し、国鉄東京印刷場で調整された常備異級乗車券が手元にございましたのでご紹介いたします。

   images (長距離一般式券)  images (一般式券、裏)

日本交通公社(現・JTB)新橋内幸町発行の東京都区内から札幌・苗穂ゆきの異級乗車券です。
東京都区内~東北本線経由~青森駅~青函航路~函館駅~函館本線経由の乗車券です。
いかにも一等車利用の乗車券のように見えますが、裏面に「鉄道2等」と書かれているように、鉄道区間は全線二等車利用で、青函航路の部分のみが一等船室利用というものです。
運賃計算は、東京都区内~青森駅間および函館駅~札幌・苗穂駅間が二等普通運賃、青森駅~函館駅間が一等普通運賃となっており、双方を合計します。一等は二等の2倍額です。

鉄道は二等車を利用していても、連絡船だけは一等船室の方が安全なのではないか、と「おまじない」をかける人が多かったという話を聞いたことがありますが、恐らく雑魚寝(?)のような二等船室が敬遠されたのでしょうか、航路部分だけを一等船室指定する利用客が多かったようです。
また、二等船室の乗車券で乗船してから一等船室に「お直り」を申し出るケースも多く、船内においても等級変更の手続きが頻繁に行われていました。
このことについては内容的に重複致すところもございますが、拙ブログに7月27日エントリーさせていただきました「連絡船は1等船室で…」において関連する券を誤ご紹介させていただいておりますので参考にしていただけますと幸甚です。

   images (近距離相互式券)   images (相互式券、裏)

こちらは神田駅発行の神田から横浜ゆきの相互式異級乗車券です。
東京~横浜間は今でも東海道線のグリーン車利用率が比較的高い区間ではありますが、当時も一等車利用の需要が多かったようです。
乗車経路は、神田駅~中央線・山手線・京浜東北線経由~東京駅~東海道線経由です。
裏面に「神田 - 東京 間 2等」とあります通り、神田駅~東京駅間には一等車を連結している列車が走っていないため、二等車利用が余儀なくされるわけです。
この券の運賃計算は、神田駅~東京駅間が二等普通運賃、東京駅~横浜駅間が一等普通運賃となっており、双方を合計したものです。

OSAKA CITY様より、正式な異級運賃の計算法についてコメントがございました。
>異級運賃の計算方ですが、定期旅客運賃は1等区間の1等運賃+2等区間の
>2等運賃でよいのですが、普通旅客運賃は全区間の2等運賃+1等区間の
>1等運賃と2等運賃の差額となっておりました。
ありがとうございました。

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