伊豆箱根鉄道 異級乗車券

昭和44年のモノクラス制度導入後、それまで一等車(三等級時代は一等車および二等車)と呼ばれていた上級車両は「グリーン車」という名前になり、その乗車区間に応じたグリーン券を乗車券とは別に購入する必要がありますが、それ以前は各等級別の乗車券(一等は二等の2倍額)を購入する方法が採られておりました。

しかし、すべての路線に一等車を設備する列車があるわけではなく、また、利用客によっては区間を限定して一等車を利用する場合もあり、必ずしも乗車券発売区間全線が一等車利用とならない場合があります。
そういう時に発売されるのが異級乗車券です。

   images (修善寺から東京電環ゆき異級乗車券)

これは伊豆箱根鉄道駿豆線修善寺駅発行の東京電環(現・東京山手線内)ゆき異級乗車券です。修善寺駅~三島駅間が二等車利用、三島駅~東京電環間が一等車利用の設定になっています。それを示すものとして、「社線内2等」と標記されています。
今でもそうですが、伊豆箱根鉄道駿豆線には上級車両の運行がないために必然的に二等車を利用するしかなく、三島駅で東海道新幹線や在来線の一等車に乗換えることになります。

国鉄線完結の常備異級近距離乗車券はよく見かけますが、社線から国鉄線への常備異級長距離乗車券となると全国に例はさほど多くはなかったようで、見かけるものはたいてい補充券によるものが殆どです。恐らく修善寺温泉郷への湯治客や土肥海岸などの観光客などの一等車利用が多かったために常備券が設定されていたものと思われます。

この券には異級乗車券であることを示す記号として左上に「□」の表示がありますが、国鉄券については、時期によって「」の影文字の印刷されているものもあります。
今回御紹介のような私鉄発行の異級連絡乗車券で影文字の券もあるかもしれませんが、私は見たことがありません。少なくとも、伊豆箱根鉄道については「□」の記号の券しか存在しなかったものと思われます。

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