さて事例企業(経営改善計画書を作成してみましょう その55)のA社の課題抽出においてSWOT分析を用いました。
今度はSWOT分析ではなく、ファイブフォース分析を用いて、直接的な検証をしてみたいと思います。
なぜ直接的かと申しますと、ファイブフォース(以下5F)は自社の売上とコストに影響力があるものは何か?を分析する事が出来るからです。
5Fについては、 フレームワークにて自社戦略を構築しましょう 4 フレームワークにて自社戦略を構築しましょう 5 などでも触れてきましたね。チェックしてみて下さいね。
今回は事例を通して一つづつ詳しく見て行きましょう。
最初に確認しておきますが、5Fは外部環境分析となります。(説明する順番には意味がありません。自社でフレームワークに取り組む際にも順番はあまり意味をなしません)
1、既存企業同士の競争
これは文字通り、業界内のライバル企業の動向です。多くの価値提供を与えている存在は誰か?(どの企業か?)
業界で提供される価値の分配に預るのが、シェアの構造である事は理解出来ますが、では業界の発展成長はどうなのでしょうか?
既存企業同士の競争が激化すると、商品価格が下がります。そしてコストが上がります。
2、買い手の交渉力
買い手の交渉力とは何の事を言っているのでしょうか?簡単に言えば、皆さんの会社でもご経験があるかもしれませんが、値引き交渉の際の理由です。
その理由の多くは以下の事柄で説明出来ます。
「差別化されていない」
「買い手の他のコストや予算と比較して、相対的に高価である」
「買い手の製品・サービスの質に影響をおよぼさない」
こういった要因により、買い手に交渉力を与えているのです。
買い手の言葉となって出てくるとこうなります。
「うちの取引先が値引きを要求していて、御社にも泣いてくれないか」
「○○さんからおたくから10%安い金額を提示されているんだけど、性能が全く同じなら、○○さんに取引が変わっちゃうかもしれないよ」
「全社的なコストカットを行っていて、御社の製品の購入をしばらく見合わそうと思うんだけど」
などです。
3、サプライヤー(仕入先など)の交渉力
買い手の交渉力とほぼ同じ構造を持っていますが、強力なサプライヤーは他社より高い価格を要求したり、有利な条件を要求することで、業界の収益性を引き下げます。
大手の安売りショップなどはこれにあたるかもしれませんね。「売れるから、安く仕入れる」こういった交渉をされた場合、自社に交渉する余地がどこまで残っているでしょうか?
4、代替品の脅威
代替品は業界の製品と同じ基本的ニーズを異なる方法で満たす製品・サービスは、業界の収益性に上限をつくります。
代替品は直接の競合品でないからこそ、予想外の場所から現れます。
この為、予測が難しく、現れても気付かないことさえあります。
5、新規参入者の脅威
参入障壁について皆さんはどのぐらい理解していますか?
他社が容易に自社に取ってかわれるのか?
新規参入者の脅威は2つの方法で業界の収益性を低下させてしまいます。
一つは価格に上限を作る事。参入障壁を上げようと思い、価格を上げてしまうと、新規参入者には魅力的に映ってしまいます。
二つめに既存顧客との関係を繋げる為に、投資を増やす必要が出てくる事です。
これらは、業界の価格を下げる事になり、コストがあがる事を表しています。
参入障壁はどうなのか?これらを分析する必要があります。
詳しく5Fについて見てきましたね。
それでは、事例企業の溶接加工業について5F分析してみましょう。
1、既存企業同士の競争
・大手の下請けは海外進出するなどして、業績をなんとか確保している。
・中小零細は販路が無くなりつつある。
・価格交渉をするにも新たな価値を提供出来ていない。
2、買い手の交渉力 3、サプライヤーの交渉力
(同時に検討してみました)
・A社は国内でも他では出来ない作業を多数有しているので、価格交渉された事はあまりない
・有力顧客が海外移転を行い、価格交渉があり、それに対応出来ていない
・市場は縮小しているので、買い手の交渉力がとても高まっている
4、代替品
・鉄を加工する技術は他にあるが、もともと鉄という商材が市場からなくならない限り代替品は考えられない。
・よって価格やコストに影響を与えるほどの脅威を想像できない。
5、新規参入者
・現在縮小傾向のこの業界に新規参入者などいるのか?
・機械修理に限っていえば、これからの市場とも言えるので、新規参入者は考えられる。
・新規参入者は修理ノウハウを持っていないはず(元々図面を持っていない)。
・過去に販売した顧客は100%自社の顧客としてしていく事が出来るはず。
・しかし、それに応じてのコストは高くなるだろう。
いかがでしょうか?
分析のプロセスやその結果、価格とコストにどのような影響があるかを考える事が出来るので、SWOTの外部環境分析よりもこちらの方がより細部に渡り、実践的と言えます。
私はこちらの分析をお薦めいたします。
次回は違う業態の会社の事例検証を行いましょうね。
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今度はSWOT分析ではなく、ファイブフォース分析を用いて、直接的な検証をしてみたいと思います。
なぜ直接的かと申しますと、ファイブフォース(以下5F)は自社の売上とコストに影響力があるものは何か?を分析する事が出来るからです。
5Fについては、 フレームワークにて自社戦略を構築しましょう 4 フレームワークにて自社戦略を構築しましょう 5 などでも触れてきましたね。チェックしてみて下さいね。
今回は事例を通して一つづつ詳しく見て行きましょう。
最初に確認しておきますが、5Fは外部環境分析となります。(説明する順番には意味がありません。自社でフレームワークに取り組む際にも順番はあまり意味をなしません)
1、既存企業同士の競争
これは文字通り、業界内のライバル企業の動向です。多くの価値提供を与えている存在は誰か?(どの企業か?)
業界で提供される価値の分配に預るのが、シェアの構造である事は理解出来ますが、では業界の発展成長はどうなのでしょうか?
既存企業同士の競争が激化すると、商品価格が下がります。そしてコストが上がります。
2、買い手の交渉力
買い手の交渉力とは何の事を言っているのでしょうか?簡単に言えば、皆さんの会社でもご経験があるかもしれませんが、値引き交渉の際の理由です。
その理由の多くは以下の事柄で説明出来ます。
「差別化されていない」
「買い手の他のコストや予算と比較して、相対的に高価である」
「買い手の製品・サービスの質に影響をおよぼさない」
こういった要因により、買い手に交渉力を与えているのです。
買い手の言葉となって出てくるとこうなります。
「うちの取引先が値引きを要求していて、御社にも泣いてくれないか」
「○○さんからおたくから10%安い金額を提示されているんだけど、性能が全く同じなら、○○さんに取引が変わっちゃうかもしれないよ」
「全社的なコストカットを行っていて、御社の製品の購入をしばらく見合わそうと思うんだけど」
などです。
3、サプライヤー(仕入先など)の交渉力
買い手の交渉力とほぼ同じ構造を持っていますが、強力なサプライヤーは他社より高い価格を要求したり、有利な条件を要求することで、業界の収益性を引き下げます。
大手の安売りショップなどはこれにあたるかもしれませんね。「売れるから、安く仕入れる」こういった交渉をされた場合、自社に交渉する余地がどこまで残っているでしょうか?
4、代替品の脅威
代替品は業界の製品と同じ基本的ニーズを異なる方法で満たす製品・サービスは、業界の収益性に上限をつくります。
代替品は直接の競合品でないからこそ、予想外の場所から現れます。
この為、予測が難しく、現れても気付かないことさえあります。
5、新規参入者の脅威
参入障壁について皆さんはどのぐらい理解していますか?
他社が容易に自社に取ってかわれるのか?
新規参入者の脅威は2つの方法で業界の収益性を低下させてしまいます。
一つは価格に上限を作る事。参入障壁を上げようと思い、価格を上げてしまうと、新規参入者には魅力的に映ってしまいます。
二つめに既存顧客との関係を繋げる為に、投資を増やす必要が出てくる事です。
これらは、業界の価格を下げる事になり、コストがあがる事を表しています。
参入障壁はどうなのか?これらを分析する必要があります。
詳しく5Fについて見てきましたね。
それでは、事例企業の溶接加工業について5F分析してみましょう。
1、既存企業同士の競争
・大手の下請けは海外進出するなどして、業績をなんとか確保している。
・中小零細は販路が無くなりつつある。
・価格交渉をするにも新たな価値を提供出来ていない。
2、買い手の交渉力 3、サプライヤーの交渉力
(同時に検討してみました)
・A社は国内でも他では出来ない作業を多数有しているので、価格交渉された事はあまりない
・有力顧客が海外移転を行い、価格交渉があり、それに対応出来ていない
・市場は縮小しているので、買い手の交渉力がとても高まっている
4、代替品
・鉄を加工する技術は他にあるが、もともと鉄という商材が市場からなくならない限り代替品は考えられない。
・よって価格やコストに影響を与えるほどの脅威を想像できない。
5、新規参入者
・現在縮小傾向のこの業界に新規参入者などいるのか?
・機械修理に限っていえば、これからの市場とも言えるので、新規参入者は考えられる。
・新規参入者は修理ノウハウを持っていないはず(元々図面を持っていない)。
・過去に販売した顧客は100%自社の顧客としてしていく事が出来るはず。
・しかし、それに応じてのコストは高くなるだろう。
いかがでしょうか?
分析のプロセスやその結果、価格とコストにどのような影響があるかを考える事が出来るので、SWOTの外部環境分析よりもこちらの方がより細部に渡り、実践的と言えます。
私はこちらの分析をお薦めいたします。
次回は違う業態の会社の事例検証を行いましょうね。
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