My-boomよ、永遠なれ。

熱しやすく、冷めやすいお調子者のマイブーム日記…
いよいよ人生は佳境に“ラスト・クオーター・サバイバル”へ

レーピン&横尾忠則

2013-03-30 20:43:48 | アート・美術館

今年になってから美術館巡りをしていませんでしたが、ようやくチャンス到来です。
幾つか企画展のピックアップはしておりますが、その中でも昨年11月神戸市灘区にオープンした「横尾忠則現代美術館」には是非足を運びたかったのです。
そしてテレビで姫路市立美術館「レーピン展」の紹介をしていたので、こちらもたいへん興味が沸き急きょ二館巡りを敢行いたしました。

姫路市立美術館
明治時代の建物(明治末~大正2年建築・旧陸軍第10師団の兵器庫、被服庫)を保存活用。世界文化遺産・姫路城の東隣にあり、緑の芝生に囲まれた赤レンガの建物はとってもおしゃれです。




隣接する姫路城は大天守保存修理期間中です。


国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展
イリヤ・レーピン(1844-1930)は19世紀後半のロシア美術を代表する画家であり、数多くの歴史画、風俗画、肖像画を手掛け、ロシアリズムの旗手として活躍しました。
本展は世界最大のレーピンコレクションを所有する、モスクワのトレチャコフ美術館の所蔵品から、レーピンの初期から晩年に至る作品約80点を展示しています。


レーピン展図録


この企画展はすでに渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムや浜松市美術館での開催を経て本展にきております。
従って詳しくはメディア等で広く紹介されていますので、私の主観を少し散文で記述したいと思います。

本展エントランスをくぐって最初に感じたのは「暗い」「重い」「色彩が乏しい」などマイナーなイメーージでした。
これはこの時期のレーピンの作風がロシア激動の時代背景(革命前後)と複雑に絡み合っているせいなのかな?

<ヴォルガの船曳き:習作>

絵画作品の場合本作と習作を見比べその構図作りや主眼の変遷などを考察するのは楽しいものです。
身勝手な希望を言えば「ヴォルガの船曳き」のための幾つかの習作は興味を大いにそそりますが、やはり本作を直に鑑賞してナンボのものでしょう。
こればかりは他の美術館所蔵(例えば国立ロシア美術館とか)との関係もあり、もっと大きな企画枠でなければ実現しないでしょうね。
この作品に限らず他の名作でも参考図版として写真パネルが本作との比較を解説しているのは助かりますが、逆に言えば本作の無い習作展示って学芸員泣かせだろう。

個人的にはレーピンが30歳の頃にパリ留学時にコロー、マネとモネなど印象派(サロン・ド・パリ)に多大な影響を受け傾倒してからの作風が好み。
<あぜ道にて―畝を歩くヴェーラ・レーピナと子どもたち>


やはりモネに傾倒した感がありますね。
もう少し強引に言えば同時代イタリアの画家セガンティーニなどにも通じるものがあります。

さてレーピンの真骨頂である肖像画について。
彼の描く肖像画は実に表情が豊かである。それも微妙なディテールからその人物の強い精神力を見出し品格と端正さを与えています。
表情作りの大部分を瞳が司る場合がありますが、顔の中央にある「鼻」の存在も大きいと思うのは私だけか?
※おでこと鼻の先端にあたるハイライトは光源方向を想起させると同時に劇的な表情を与えるのに一役買っていると思います。

特に凄まじい存在感と人間性を表現している傑作。
<文豪レフ・トルストイの肖像>

レーピン曰く
垂れ眉の尊敬される人物で、あらゆるものを自らに集中させ、汚れの無い太陽のような目ですべてに答えるのです。
この偉大な人物が、いかに自らを卑下しようとも、どんなに酷いぼろでその力強い肉体を覆い隠そうとも、彼の中には、眉をひそめるだけでオリュンポス山全体を震撼させるゼウスが常に認められます。

当時のロシア芸術の重鎮や政治家、軍人、学者、事業家(自身のパトロンでもあるトレチャコフ含む)など幅広く一流の人物と交流があったと思われます。
それは人間性に富んだ人々を洞察する上で最高のオケージョンでもあったはずです。

レーピンに洞察された向こうの人物像を理解できたなら更に奥深い鑑賞になったはずですが、私にはそこまで知識も見解もありません。



横尾忠則
京都のデザイン専門学校でグラフィック・デザイナーを目指していた頃、激しく傾倒したデザイナー&イラストレーターとして氏を上げることが出来る。
今でこそ画家宣言をして美術家としてお高く留まっているようですが、当時では『平凡パンチ』や『話の特集』を飾った健さん(高倉健)や浅丘ルリ子、藤純子など数々のイラストを俗っぽく奇抜にそしてクールに描きしばしば物議を醸すことも。
 

いちばん気に入った作品・『SANTANA / LOTUS』1973年

その精神性、宇宙観、神々しさ…。コスト無視したサンタナ絶頂期に相応しい多色印刷・特大22面レコジャケです。

横尾忠則現代美術館(HPより)
兵庫県西脇市出身の美術家、横尾忠則からの寄贈・寄託作品を適切な環境で保管し、多くの人に鑑賞していただくため、兵庫県立美術館王子分館(旧兵庫県立近代美術館、村野藤吾設計)の西館をリニューアルし、2012年11月に開館しました。




開館記念展II 横尾忠則展「ワード・イン・アート~字は絵のごとく 絵は字のごとく」
詳細はこちらへ




今回の図録

この『Wonderland』当時シビレマシタ。

前回の図録


個々の作品はどれを見ても斬新さと懐かしさで楽しい気分になれます。
そしてこの「オッサンいつまで元気やね~」と言いたくなるタフさに脱帽です。


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