昨年1月、福岡市が新交通システムの導入を検討するために設置した「福岡市ウォーターフロント地区アクセス強化研究会」は、9日、ウォーターフロント地区と博多駅を結ぶルートは、ロープウエーが最も望ましいという意見をまとめた。研究会座長の筑波大学・石田東生名誉教授は、記者会見で「ロープウエーの実現は、ウォーターフロント地区開発をより成功に導くための条件だと考える。今後は市民とのコミュニケーションを取りながら進めてほしい」と話している。これ以上、”ロープウエ―ありき”なコメントはないだろう。(下写真)
今後、福岡市は、ロープウエー導入に向けて本格的に検討をはじめるという。高島市長の嬉しそうな顔が浮かんでくるが、市民は必ずしも喜んでいるわけではない。まちのインタビューでも賛否両論ある。そもそも新交通システムが必要なのかも、きちんと議論されていない。市はインバウンドやMICEの増加を見込んで、20年後のWF地区周辺での往来を、1日約16万人(現在1日5万6千人)と予測しているが、中国経済は減速しており、このところクルーズ船による中国人の入国数も減っている。市の予測どおりになるとは到底思えない。16日の福岡市議会特別委員会で、市は研究会での最終報告をするとみられるが、議員がどこまで追及できるか。委員会を傍聴したいが、生憎福岡にいないし、ネット中継もない(これがなかなか実現しない)。気にはかかるが、2月議会での議論を見ていくしかない。
ただロープウエ―導入は、髙島市長が思い描くほどすんなり行くとは思えない。市長選の出口調査でも6割の市民が導入に反対している。無理やり進めようとすると、おそらく住民投票ということになるだろう。(すでにその動きはある)高島市長はロープウエーを公約に掲げ当選したことで、市民から白紙委任されたと思っているのだろうが、市長選では7割の有権者が棄権している。これは民意とは言えない。ロープウエ―は必要なのか、住民投票で明らかにすべきだろう。高島市長の暴走を止めるにはもうこれしかない。
最適どころか最悪な、、(写真&CG:RKBニュースより)
2kmの間に柱10本 交通量の多い大博通り、地震が起きれば予期せぬ災害も(福岡市資料より)
柱の高さは28m(埋設部分を除く)7階建てビルくらい このあたりの地質は脆弱な砂地 (福岡市資料より)
市の研究会は、建設費が一番安いからロープウエ―が最適だと言っているが、試算は海外事例(イギリスのエミレーツエアライン)を参考にしたもので、正確性に欠ける。実際、車両基地がどこになるのかによって建設費は大きく変わる。だからか試算表に明記がない。第一、車両基地費をその他に含まれているとしているところが怪しい。安い買い物をした後に、ほとんどがオプションだったというようなもの。ちなみに、目安として、整備費は1kmおよそ100億円と言われている。天神~WF間は必要ないと結論を出しているので、これでいくと200億円ということになる。
大博通りだって十分景観を損なう
もう導入が決まったようなコメント これもお役目?(写真:NHK福岡ニュースより)
ちなみに、こちらは8年前に市長選に出馬され、現在は福大経済学部の教授をされている木下敏之氏のブログ。経済的な観点から研究会の検討内容に疑問があるとコメントされている。参考まで。ロープウエーは大儲け?研究会の検討の穴(2019.1.11)
《関連記事》
・研究会「ロープウエー望ましい」(NHK福岡ニュース 2019.1.9)
・「ロープウエーが望ましい」JR博多駅と博多港WFの新交通システム(毎日新聞 2019.1.10)
・WF再整備/ロープウェー導入へ調査/福岡市の研究会(建設通信新聞 2019.1.11)
・ロープウエー巡り応酬 福岡市議会特別委総会 往来予測に疑問指摘も(西日本新聞 2018.3.23)
《関連資料》
・福岡市HP。福岡市ウォーターフロント地区アクセス強化研究会」について(2019.1.10更新)