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【1012/117:芹谷ダム建設】中止問題 予定地、転居希望ゼロ 集団移転先用地、売却へ 

2010-12-14 22:28:04 | Weblog
 ◇多賀町 

 中止した県営芹谷ダムの水没予定地だった多賀町水谷地区で県が居住地の希望調査をしたところ、対象となる24世帯のうち、転居を求める世帯はゼロだったことが分かった。町は調査結果を受け、集団移転先の用地を工業団地として売却する方針を決めた。嘉田由紀子知事は県議会で「1日も早く家屋の改修支援を進めたい」と述べ、年明けにも工事を始める方針。集落の生活再建事業はようやく動き出した。【安部拓輝】

 ◇県、年明けにも家屋改修着手

 調査は、ダムによる集団移転を予定していた同地区で、補修に必要な工事額を見積もる家屋診断と一緒に11月から実施。地元の建築士と町、県の担当者らが各世帯を訪ね、今月4日までに全世帯から居住希望を聞き取った。16世帯が「ここに住み続けたい」とし、8世帯が「家族と相談する」と回答。他地域への転居を希望した人はいなかった。

 家屋は老朽化が激しく、床が傾くなど4世帯が改修不能と診断された。県は補修費用を年内にまとめ、近く住民らに説明する方針。

 ◇地元は、歩み寄り「やむを得ぬ」 通院の足、確保を訴える

 ダムによる補償問題に揺れた水谷地区。計画を中止した県との交渉は平行線が続いたが、住民らは家屋の修理を受け入れる形で県の方針に歩み寄った。芹谷地区ダム対策委員長の谷口伊佐男さん(73)は「やむを得ない判断。県の支援の中身を見極めたい」と語った。

 もみじマークを付けた軽トラックが行き交う同地区内の集落。屋根にシートを張った家が目立つ。築約100年の谷口さん宅も床の材木が朽ちて傾いている。「これを直すと言ってもどうやって……」。隣の畑で草むしりをしていた女性(81)は「一人じゃ何もできない私に何も言う権利はない。ひざの治療に通う病院にも孫に連れていってもらうしかないし」と下を向いた。

 近くの浄願寺の総代を務める西村一雄さん(80)も同じ思いだ。「こうなったら永住するしかない。年寄りが一人で自由に動ける足の確保は不可欠だ」として、県が家屋補修と同時に進める地域振興計画に高齢者の移動支援を盛り込むよう訴えるという。

【関連ニュース番号:1012/81、12月10日;1012/07、12月1日;1011/127、11月19日など:キーワード「芹谷ダム」でブログ内検索】

(12月14日付け毎日新聞・電子版)

http://mainichi.jp/area/shiga/news/20101214ddlk25010572000c.html


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