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【0806/107:弁護士ゼロ地域】長浜法律事務所を開設した藪下貴幸弁護士(35)=長浜市

2008-06-17 23:57:09 | Weblog

【毎日新聞特集記事:湖国の人たち:オピニオン’08 藪下貴幸弁護士】

◇困ったことがあれば何でも、思い悩まず気軽に
 
全国に203ある地方裁判所の支部管内で唯一、弁護士がいなかった大津地裁長浜支部管内に2日、藪下貴幸弁護士(35)=滋賀弁護士会=が「長浜法律事務所」(長浜市南呉服町)を開設した。日弁連によると、常駐の弁護士が管内にゼロか1人の「ゼロワン地域」のうち、1人地域は北海道4、東北1、関東・甲信越2、近畿3、中国2、四国1、九州11の計24支部(2日現在)にあるが、今回、ゼロ地域が解消された。開所の経緯や今後の抱負などを尋ねた。【豊田将志】

《なぜ長浜に?》

以前は大阪で司法書士をしていました。過疎地など「法的アクセス」が困難な人々の役に立ちたいと司法試験を受け、06年に合格。東京弁護士会が弁護士の少ない地域で活動する若手の育成のために設立した「東京パブリック法律事務所」で勤務していたとき、長浜市の状況を知りました。そこで、昨年11月から大津市の法律事務所で働きつつ、日弁連の支援制度を利用して、事務所の開設・運営費を準備しました。

《なぜ弁護士に?》

司法書士は裁判に参加できず、権限の少なさに「依頼者の要請に答えられていない」という思いがありました。依頼者の悩みに寄り添いつつ、侵害された法律上の権利を交渉で解決したかった。パブリック法律事務所のコンセプトは「困っている人の要請に応える」という自分が目指す道と共通点を感じました。

《印象深い事は?》

弁護士として最初の仕事がヤミ金の債務整理の相談でした。ヤミ金は業者の顔が見えにくく、あまりの恐怖に心が壊れて通院を余儀なくされたり、借金を返済するために犯罪に駆り立てられたりする人も少なくない。依頼者の中には「この事務所でダメだったら、死のうと思っていた」と話す人が何人もいました。人の心にどれほどダメージを及ぼすのかを知って、仕事の責務の重みを感じました。

「お金を借りている」という、ただそれだけの理由で人は死んではいけないんだと強く思うと同時に、依頼者が毅然(きぜん)とした態度で闘えるよう励ますことが大事だと思いました。

《ヤミ金相談は初回は無料ですね?》

ただでさえ、経済的に困窮し、一刻も早く救済の必要があるにもかかわらず、「金がないから相談するのはやめよう」では悪循環に陥ってしまいます。過払い分が返還されれば、弁護士費用に充てることもできるし、さまざまな法律扶助も利用できる。原資を減らさずに解決する手段があるんです。「弁護士に相談する」という英断をしてもらうためには、まずお金という障壁を取り払いたかった。

《弁護士ゼロ地域が解消しましたね?》

開所から間もないですが、相談件数は多く、間違いなくニーズはあると思います。弁護士がいない地域では「法律で紛争を解決する」という発想が得にくい。その意味で国民の法的アクセスを円滑にする社会的基盤の整備にある程度、役立てたと思います。しかし、勤務地や記録よりも、どういう仕事をするかが私にとっては大切。身近に法律家がいることで、「あの先生に、いっぺん聞いてみようか」と気軽に思ってもらえる。そういう場所を目指しています。

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 ■提言

弁護士過疎地域の問題は、ただ弁護士の数を増やすだけでは解決は難しい。大都市に集中するばかりでなく、地方で活躍したいという志を持った若い弁護士が増える必要がある。また、そうなるよう制度を整えていかなければならないと思う。

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 ■人物略歴

1972年生まれ。大阪府堺市出身。静岡大法学部卒業後、司法書士を経て弁護士に。趣味は温泉巡りと食べ歩き。ラーメン激戦区の東京・池袋での勤務をきっかけにラーメン屋回りのとりこに。「おいしいラーメン屋さんを教えてください」。

(6月17日付け毎日新聞)

http://mainichi.jp/area/shiga/news/20080617ddlk25070709000c.html

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1 コメント

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助けてください。 (八田)
2009-03-23 10:37:10
今、長浜にいます。もう先が見えません。どうすればいいですか。
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