「いくさんのお部屋」つぶやきNo.3

日頃の何気ない日常をつぶやいています。

誕生日で思ったこと

2016-08-03 22:11:00 | クライミング
今日は星田で登ってきました。
今の私はクライミングに対してはまったく意欲喪失なので、こんな暑い中普通なら行かないのです。
しかし昔アルパインクライミングの相棒だった友人のたってのお誘いでつい出かけて行きました。
案の定私が着いた11時頃は、まともに登れる壁は影になってる右ハングの一面だけでした。
他の壁は日が当たりホールドまで熱くなっているといって右の壁で常連のみんなが登っていました。
さすがにいつもとは人数が少ないです(10人前後)。

私も着いたとたんにいきなりこのハングを登ることになりました。
今の私では、この壁のルートを辿るとうよりは上まで行くのがやっとの実力です。

それにしても、常連シルバーは元気です。
そして熱心で和気あいあいと楽しんでいます。
こんな暑い日にも来ていました。
年齢が年齢なのでリタイヤの人も出てきますがまた補充されます。
そしてすんなりメンバーの一員になって一定人数が確保されています。

けっこう星田シルバーのメンバーは、多分体が動く限り来ますね。
「家にいてもしょうがないから」「これしかすることないから」「奥さんが邪魔にするから」と理由はまちまちですが、みんなマイペースです。
私もこのごろはまったくマイペースになっています。
たまに行くと、登れるところを数本登って帰ります。
いろいろやることが多くて忙しいと言い訳を言っては、サボって間が空いてしまいます。

夢中でやっていたときには、クライミングや山をこの歳までやっているなどとは想いもよりませんでした。
夢中になっていたころは、着実に上達していました。
しかし今のペースでは維持もできず、グレードは落ちるばかりです。

でも実力が落ちている中でもたまに体が軽く感じ、意外にも取れなかったホールドがしっかりつかめることがあります。
今日がそうでした。
ずっと前にこの壁のこのハングを登った時に、一つのホールドを取るのが不得意で苦労していました。
何回トライしても苦手意識が抜けませんでした。
ところが今日は不思議とすんなり一度のチャレンジでホールドに手が楽に届いたのです。
これは意外なことでびっくりすると同時に、嬉しいと思いました。
実力はかなり落ちているのに、不思議な感覚でした。
誰にもわからない、自分自身の小さなささやかな奇跡でした。
できなくなっていくことを嘆いていては、この喜びはなかったと思います。

ルートはマイルート(自由に好きなように登ることでシルバーでは勝手にこう言っています)でテンション(ザイルにぶら下がって休憩すること)だらけの登りで終了までやっとのことで登れたのに拘らずです。
クライミングはもともとグレードを追うスポーツです。
次から次へとグレードも高みを目指します。
それは、レッドポイント(最後まで何回もトライしてザイルにぶら下がることなくゴールまで行く)やオンサイト(初めて見たルートを落ちないでゴールまで登る)で自分の実力が測れるのです。
一生懸命やっていた時は、グレードも自分なりに少しずつ上がります。
またサボるとグレードは下がります。
「サボる⇄登れない⇄グレードが落ちる」この悪い循環に陥ってしまいます。
輪っかを回しているハツカネズミのように、絶えずサボらず登り続けないといけないのです。

このごろ多忙であることにかこつけてサボってしまうのは、やっぱりグレードを無意識に意識していたのかなと思います。

一つのホールドに手が届くという小さなことが喜べれば、もっと楽しめるのではないか。
そうすると、また行きたいと思うのではないか。
この歳まで続けてきたことは、やっぱりもう少し続けていきたい。

歳をとると、よけいにいろんなことが思うようには行かなくなります。
これからは、些細なことでも喜びにつながる視点が大切なのではと気が付きました。

今までも「継続こそ力」だと言い続けてきたのだから。
継続したから今があるのだから。
これからもっと歳を重ねるのだからできることはどんどん少なく、出来ないことが増えてくるのだから。
「継続できることが嬉しい」はずではないかと思えました。

出来ないことを嘆くよりも、上手くできることは期待しないでとりあえずは継続する。
誕生日をきっかけに、考えを切り替えることにしました。

星田のシルバーたちは、ささやかな喜びを見つけて星田に来て登り嬉々とした少年のような顔を輝かせていることがとても素敵だと思えるようになりました。
もうそろそろシルバー隊に正式に入れてもらいたいと心底思いました。
そして、少女のように嬉々としてマイルートをいつまでも登っていたいと…