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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

悪夢の社団戦2024・第1日目(中編)

2024-07-21 23:46:41 | 社団戦
2回戦の相手は、「リスタ将棋教室」。聞かないチーム名だが、初参加だろうか。こちらのスターティングメンバーは大将N氏。以下一公、山野、F、山本、木村会長、Akuの計7氏である。悪いがF氏には、四将に下がってもらった。
私の相手は青年で、駒を乱雑に並べる。これが曲者で、適当だから棋力が低いとも言い切れないのだ。
偶数先手で、私が先手になった。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩に▲7七銀。5月の将棋ペンクラブ関東交流会からこっち、私は静かな矢倉党になっている。しかし相矢倉になるかどうかは別問題で、仮にそうなったとしても、相手が急戦で来たらせわしない将棋になる。私はじっくり指したいのだ。
だが相手は追随してきた。これはこれで不気味である。私は▲3七銀と上がり、棒銀と▲4六銀の両方を見る。けっきょく▲4六銀と上がり、▲3七桂と跳ねた。まさか令和の大会で、この形が指せるとは思わなかった。

第1図以下の指し手。△7五歩▲同歩△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀△6四銀▲7四歩(第2図)

第1図から△7五歩と、後手から先に動かれてしまった。私は素直に応接するしかないが、△6四銀のあと、△7五銀と捌かれては面白くないので、私は▲7四歩と躱した。
次が問題の手だったと思う。

第2図以下の指し手。△7七歩▲同桂△同桂成▲同金寄△8六歩▲同歩△7五銀▲7三歩成△8一飛▲6三歩△8六銀▲8二歩(第3図)

第2図で△7七歩がどうだったか。1歩を損して桂交換しても、これといった見返りがない。△7七歩では△7二飛と寄り、次に△7四飛とすれば互角。難しい戦いが続いていたと思う。
後手氏は△8六歩と突き捨て△7五銀と捌きにきたが、▲7三歩成があまりにも大きい。以下▲6三歩~▲8二歩が実現し、これは私が必勝形になった。

第3図以下の指し手。△7七銀成▲同銀△7一飛▲7二歩△6一飛▲6二銀△5一飛▲同銀成△同角▲6二歩成△同角▲同と△同金▲6三歩△5二金▲8一飛△5一桂▲6四桂△4二金右▲6二歩成△3一玉▲5一飛成△2二玉▲5二と△7六歩▲同銀△6六銀▲2五桂△7七歩▲3三桂成△同金右▲7七金△同銀成▲同角△6七歩(第4図)

このあたりは説明の要もなく、私が優位を維持しながら指している。途中、▲6二歩成では▲8一飛だったかもしれないが、これでもよい。
△6七歩に、私は長考に沈んだ。

第4図以下の指し手。▲3一角△同金▲同竜△同玉▲4二銀△3二玉▲4一銀打△2二玉▲3三銀成△同玉▲3二金(投了図)
まで、一公の勝ち。

▲3一角以下は即詰み。青年は初心者だったらしく、感想戦は初手から始めた。そして第2図で私は、△7二飛を強調した。私もそんなに強くないが、△7二飛はここでの最善手と信じる。
以下の変化も披露すると、青年は、うんうん、と頷いた。そんなに気合を入れて聞かれても困るが、その姿勢は将棋上達の大きな糧になるだろう。
青年が「ありがとうございました」と言うので感想戦は終わりにしたが、青年はなおも検討を続けていた。彼は強くなると思う。

私は周りを見て回るが、さっきから感想戦にいろいろ口を出している人がいる。たぶん、リスタ将棋教室の講師だろう。
しかし成績は伴わず、将棋ペンクラブの6勝1敗で終わった。
この調子で3回戦である。相手は「将棋カフェコビン」。将棋ペンクラブの連中もお邪魔している将棋処だ。
スターティングメンバーは、N、一公、山野、F、山本、阿部、Aku。
私は後手になった。▲7六歩△3四歩▲6八飛。ここで△4四歩が一公流。ふつうに△8四歩だと角を換わられて、先手の作戦が通ってしまう。果たして先手氏は長考に沈んでしまった。
そこから私は時間的にも形勢にも有利に運んだのだが、そこからの構想がおかしく、不利になってしまう。

しかし図から先手氏の▲3五歩がどうだったか。以下△2四角▲3四歩△3五歩▲2六銀左△3四銀と進んで、ちょっと頑張る気になった。
以下も相当難しい戦いだったのだが、何とか勝った。しかしチームは3勝4敗で敗れ、私はガックリとなった。
最終4回戦は、「JP労組B」。前期の6部在籍チームで、今期最大の難敵だ。こちらのスターティングメンバーは、N、一公、山野、F、山本、阿部、木村会長。
奇数先手で、私はまたも後手となった。だが本局に限り、局面は先後逆で掲載する。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲6八玉に、私は△3三銀。またも相矢倉を狙ったのだ。
そこで先手氏は作戦を変え、中飛車に振ってきた。将棋ペンクラブ関東交流会の五段氏もそうだったが、居飛車は指しても相矢倉は好まないようだ。
相手氏の速攻に私が受け間違い、劣勢に陥る。しかし第1図ではチャンスが訪れていた。

第1図以下の指し手。▲6三歩△同金▲5五桂△5四金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲4三桂成△2二玉▲2八飛(第2図)

第1図から私は▲6三歩と打ったが、失着。待ったをしたくなった。
第1図では▲2四歩△同歩▲同飛だった。次に▲2三角があるので△2三歩だろうが、▲3四飛△3三歩▲6四飛で、金銀両取りがかかり、先手優勢。
本譜はもう、両取りがかからない。△2三歩に▲4三桂成はたまたま見つけた手だが、△同玉▲2三飛成△3三桂でも自信はなかった。

第2図以下の指し手。△6六歩▲5七金寄△3九角▲2六飛△5七角成▲同金△6七金(第3図)

△6六歩▲5七金寄に△3九角が痛打。ここで▲3八飛では未来がないので私は▲2六飛と浮いたが、そこで△7八歩成があるのに気づいた。▲7八同金は△5七角成なので▲同玉と取るしかないが、△5七角成▲同金△7七金▲6九玉△6七歩成(参考A図)の結果は、先手敗勢である。

このとき角角銀の持駒だが▲2三飛成と突撃しても、後手玉に詰みはない。
ところが本譜は△5七角成から△6七金(第3図)と来た。

これを▲同金△同歩成(仮想図)は先手受けなしだが、今度はこちらの持駒が「角角金銀」になるので、これは即詰みがありそうである。さっきまで負けを覚悟していたのに、何という急展開か。

△6七金を取るか、取るまいか。私は迷い、長考に入った。
(つづく)
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悪夢の社団戦2024・第1日目(前編)

2024-07-20 00:40:27 | 社団戦
今年も社団戦の季節がやってきた。今年はコロナ禍から完全に開放され、団体個人戦は設定されなかったものの、全4日間の対局はすべて午前から始め、昼食タイムも設けられている。
私は今年も7部「将棋ペンクラブ」からの出場である。「大野教室」はすっかりご無沙汰しており、参加資格はとっくに消失した。今年こそ将棋ペンクラブで昇級したい。
対局場はおなじみ、東京都立産業貿易センター台東館。第1日目の6月30日(日)は、何とか参加することができた。
自宅最寄り駅前から都バスに乗ろうとするも、08時53分のバスには乗れず、本命の09時04分にも目の前で乗り遅れ、ちょっとマズい事態になった。熟慮の末、遠回りになるが、JR、地下鉄を利用することにする。
上野駅で銀座線に乗り換えるも、どっちのホームに行くか分からなかった。というのは私のうっかりで、ここが浅草と勘違いしていた。浅草は始発駅なので、出発ホームが2つあるのだ。
上野駅では無事浅草行きに乗り、浅草に着いた。バスだと貿易センター前に横付けするから楽だが、地下鉄はここから意外に歩く。私が毎回バスを利用したのは、いまさらながら正解だった。
定刻ぎりぎりに5階の会場に着くと、我がチームが誰もいない。やがてAkuさんと合流した。その後、ほかの参加者とも合流した。木村晋介会長もお元気である。元小学生準名人のN氏も、今年も参加。彼の参加は大将での1勝が約束されるので、ことのほか大きい。
ただ、藤原親子は欠席。Kan氏は事務局の仕事に専念するとかで、1日目は欠場。アントン、ベルクの外国人コンビも、東京には来られない。選手7名はそろっているのだが、もうひとりくらいほしいところである。
そこへ、阿部氏が棋友のF氏を連れてきた。棋力は四段という触れ込みだったが、本人に聞くと、二段あるかどうか……という。まあよい、それでも貴重な戦力である。
対局開始が近づいてきた。結局1回戦は、私が抜けることにした。
1回戦なので、主催者の挨拶がある。社団戦の歴史を話され、個人的にはためになった。
続いて所司和晴七段の挨拶。中國象棋のことを延々と話され、少々シラケた。これから社団戦に臨む選手をもう少し激励してほしかったと思う。
1回戦は翔風館POP。スターティングメンバーは、N氏、F氏、山野氏、山本氏、阿部氏、木村会長、Akuさん。
いよいよ対局開始だが、運営の不手際で駒が足りない。一部を除いて、対局開始となった。
戦型は、N氏相振り飛車、F氏も相振り飛車。山野氏は対振り飛車に居飛車穴熊、山本氏対振り飛車に左美濃。阿部氏も左美濃。木村会長は振り飛車。Aku氏は対四間飛車に…アレッ? 一段玉で対峙していた。Akuさん、対振り飛車には二段玉がよい。この基本的なことを、いままで誰も、彼女に教えなかったのか? これじゃあ勝てる将棋も勝てない。私も含めて、猛反省である。
4階に行くと、大野教室のShin氏がいた。Shin氏所属の「大野教室」は昨年3部に昇級し、今年は4階での対局となる。文字通り、私たちとは棲む世界が違ってしまった。
1回戦は抜け番だろうか。挨拶したあと、5階に戻る。
まず阿部氏が勝ち名乗り。10時38分、山本氏も勝った。不足の駒はまだ届いておらず、早く終わったところは感想戦をせず、駒を供する。
F氏は中盤でずいぶん優勢になったが、終盤で逆転され、10時53分に投了。木村会長は負け。11時、山野氏勝ち。これで3勝2敗だが、残りの2局が厳しい。すなわち、Akuさんは敗勢で望みなし。N氏のところは相手が居飛車に戻し相穴熊になったが、N氏が相手陣に金銀を打つも、相手も金銀を打ち返して、一向に局面が進展しない。
Akuさんのところは、Akuさんが意味不明の香を打ったところ(第1図)。

ここはふつうに△同金で何でもないが、相手氏は△6七香と打った。そこで私なら▲同金と取るが、Akuさんは▲6一香成と踏み込んだ。なるほど失礼、これはいい判断である。
以下、△6八香成▲同金寄△同角成▲同玉△6七銀に、▲7七玉が好手。ここはAkuさんがよく読んだ。以下△7八金▲8六玉△8五銀▲同玉△6一銀▲同竜△8四香▲7五玉(第2図)と進み、Akuさんの勝ち!

なんと、これで4勝目となった。将棋は諦めてはいけない、ということを教えられた。
さてN氏のところは、まだ金銀の打ち合いが続いている。でもN氏の攻めが切れ気味で、いまも飛車で急所の金を抜かれ、一気に敗勢になった。
それでもN氏は指し手を続ける。だが私も限界である。昼食を摂るべく、センターを出た。
浅草寺の中を通って、松屋を探す。以前は千石ラーメンでワンタンメンを食すのが定跡だったが、千石ラーメンは廃業してしまった。
しょうがないから代わりの松屋だが、それがなかなか見つからない。浅草周辺はけっこう道に迷うのだ。
そしたらOKスーパーがあった。こんなところでOKスーパーに会えるとは奇遇である。私は入店して、飴を買った。
牛丼屋は、吉野家があったので、ここで昼食とした。しかしこれからの厳しい戦いを思うと、味はあまりしなかった。
センターに戻ると、N氏が逆転勝ちしていた。「もっとすっきり勝ってください」。私は笑いながら忠告する。ただ小学生準名人をこれだけ苦しめるのだから、そのくらい社団戦のレベルは高いことが分かる。
さて、2回戦である。
(つづく)
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第65期王位戦第2局・2日目

2024-07-19 19:29:34 | 男性棋戦
伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦第2局(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)2日目、渡辺明九段の封じ手は、やはり角を取る手だった。そのあと飛車を走り、先手が気持ちいい。
先手を取った藤井聡太王位だが、いったん銀を出て引いたあと、3筋に歩を垂らした。大山康晴十五世名人が対居飛車戦でこのマス目に歩を垂らしたことがあるが、双方の意味合いは微妙に違いそうだ。ただこの手は、藤井王位らしからぬ手に思えた。
渡辺九段は攻めを再開する。藤井王位は垂らした歩を成ってはじめて狙いが実現するわけで、この瞬間は渡辺九段が攻め放題だ。そしてどの変化も、渡辺九段が十分になっている。持ち時間も渡辺九段が多く残しており、もはや動かしがたい「渡辺九段有利」である。
渡辺九段、飛車と角を刺し違えて、敵陣に角を打つ。これも、どの変化も先手がよくなる。そして中段に馬を作れては、渡辺九段が大優勢になった。
もっとも相手は藤井王位だからこの先どうなるか分からない。だが第1局と違い、本局の渡辺陣は金銀3枚の堅陣で守られており、読みを攻めのみに専念できるのが大きい。
渡辺九段。また銀取りに歩を利かし、角で王手。ここで3筋に歩が利けばなんでもないが、現在は二歩で打てない。悪いときはそんなもので、どこまでも先の垂らし歩が邪魔をしている。
藤井王位、玉をよろけるかと思ったが、金を寄って受けた。ここでABEMA解説の金井恒太六段は、桂を打って駒得を図る指し方を解説していたが、それは「-25%」になる。AIが推奨しているのは桂成りで、あらかた寄り。注目していると、果たして渡辺九段も桂を成った。さすがに対局者はよく読んでいる。
以下、いくばくもなく藤井王位の投了となった。
いやはや、渡辺九段のこの勝利には驚いた。第1局を負けたときは、このショックが尾を引いて、第2局も惨敗すると思っていた。ところがフタを開けるとかくのごとしで、対藤井戦でこれだけの快勝劇は初めてではなかろうか。
反対に、藤井王位の完敗も相当久しぶりに見た。もっとも本局は、完敗ゆえに反省点も少ないのではないか。ヘンに悪あがきをせずバッサリ斬られるあたり、全盛時の羽生善治九段を思わせる。
第3局に渡辺九段が勝てば、相当面白い展開になる。第3局は30日、31日。
コメント (6)
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第65期王位戦第2局・1日目

2024-07-18 00:15:23 | 男性棋戦
17日からは伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦第2局である(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)。第1局は、難しい将棋だったものの渡辺明九段が勝たねばならなかった。これを負けてはクサル。残り6局を4勝2敗は相当つらいが、とりあえず第2局を勝ってイーブンに持ち込むしかない。
いっぽうの藤井聡太王位は、第1局は勝ったものの反省は渡辺九段以上にしている。それでいて残り6局を3勝3敗でいいのだから、だいぶ楽になった。
第2局の対局場は北海道函館市。函館は日本屈指の観光地で、市内の洋館群、五稜郭、朝市、函館山からの夜景など、見どころが多い。ただし、最近は航空機料金が安くなり、札幌へは安価で行けるようになった。そのため函館がスルーされ、一時ほどの盛り上がりはないイメージがある。
北海道新幹線は開通したものの、新幹線は函館に止まらない。その手前の新函館北斗で在来線に乗り換えなければならず、このひと手間がすこぶる面倒である。函館の未来やいかに。
第2局は渡辺九段の先手。前回は千日手局後に渡辺九段が先手になったが、一局完結なので、第2局も引き続き渡辺九段が先手になるのである。
将棋は相掛かりになった。渡辺九段、飛車取りに角を出る。藤井王位は飛車を横に寄る。そこで渡辺九段が桂を跳ねたのが序盤の勝負手だった。7筋の歩を取らせても、その間に一仕事するの意であろう。局面はまったく違うが、私は1964年11月9日・10日に指された第3期十段戦(主催:読売新聞社、日本将棋連盟)第2局・▲大山康晴十段VS△升田幸三九段戦で、升田九段が△3四歩▲同金△3三桂(参考図)と指した手を思い出した。

以下、渡辺九段は金銀で玉を固め、まあまあ構想通りになったといえるだろう。
藤井王位は飛車を引いた。この横利きを残したまま指し手を進めたいが、そう指すと渡辺九段からの攻勢がくる。だが、甘受しなければならなかった。
数手後、渡辺九段は5筋に八方にらみの角を打つ。変化は多岐に渡るが、気持ちのいい角打ちであることは確かだ。
対して藤井王位も最強の手で応じ、そこで渡辺九段が封じた。
本局の封じ手は、99%、角で取る手。形勢はまったくの互角だが、私には渡辺九段が指したい手を指しているように思える。つまり、読んでいて楽しいのは渡辺九段のほうではなかろうか。
(つづく)
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6月13日のLPSA麹町サロンin DIS・上川女流二段戦編(後編)

2024-07-17 07:45:01 | LPSA麹町サロンin DIS

第8図以下の指し手。▲5二歩△5六歩▲5一歩成△7一金▲5二と△6一桂▲6二竜△同金▲同と△7六歩▲7一銀△9二玉▲7二と△7七歩成▲同桂(投了図)
まで、121手で一公の勝ち。

私は▲5二歩と垂らした。5筋に歩を謝らなかった効果がここで出たと思った。とはいえこの歩は、先の「△7五歩▲同銀」で得た1歩。私にはあまりにも大きい1歩だった。
ここで上川香織女流二段は△6五歩と突く手もあったと思うが、△5六歩。この攻め合いなら、こちらが一手早いと思った。
▲5二とに上川女流二段は、「耐えがたきを耐え……」と△6一桂。これを▲同とと取っては笑われる。▲6二竜と潜って、勝ちを確信した。
以下、▲7七同桂まで私の勝ち。終局後、上川女流二段は、第3図からの△5五歩を「敗着」と断じた。これで飛角銀の進出路を止めたのがマズかったという。

私は、まずまずの将棋が指せたかな、という感じ。
四枚落ち氏は快勝したようで、二枚落ちに手直りして、2局目が始まった。私のほうもまだ時間があり、再戦である。

初手からの指し手。△3四歩▲7六歩△4四歩▲2六歩△3二飛▲4八銀△4二銀▲2五歩△3三角▲5六歩△6二玉▲6八玉△7二銀▲7八玉△7一玉▲5八金右△5二金左(第1図)

今度は交替して、上川女流二段の先手。でも上手なので、本局の表記は「△」とする。
上川女流二段は三間飛車。私は対石田流を指したいが、上川女流二段は石田流を指さない。それで、▲2五歩△3三角を決めた。

第1図以下の指し手。▲4六歩△8二玉▲3六歩△5四歩▲3七桂△2二飛▲4七銀△9四歩▲1六歩△9五歩(第2図)

今度は天守閣美濃を指してもいいが、時間が潤沢にないのと、上川女流二段が急戦を望んでいるようなので、▲4六歩から▲3六歩とした。
△9四歩には反対の歩を突いたが、ここはふつうに▲9六歩とお付き合いするのだった。

第2図以下の指し手。▲5五歩△同歩▲4五歩△4三銀▲4六銀△5六歩▲5五銀△4二飛(第3図)

私は▲5五歩と仕掛けた。いつもは左銀を5七に持っていってから指すのだが、いつも同じ将棋では面白くない。むろん、これでも指せるの確信を持っていた。
以下、▲5五銀と銀が中央に進出し、これは下手もまずまずではなかろうか。
だが△4二飛の迎え撃ちに、どう指すか分からなかった。

第3図以下の指し手。▲2四歩△同角▲6八金直△4五歩▲同桂△4四歩▲5四歩△4五歩▲2四飛△同歩▲7五角(第4図)

第3図から▲4四歩は、△同銀▲同銀△同角▲同角△同飛▲4五歩に△5四飛(参考図)で、△5七歩成を見られて悪いと思った。

そこで私はとりあえず▲2四歩としたが、△同角で△5七歩成を見られ、大変なお手伝いになってしまった。
私は▲6八金直だが、ここでも▲6八銀と上がるべき。いやこの3手は悪夢だった。
上川女流二段に△4五歩から△4四歩と冷静に桂を殺され、いよいよ苦しくなった私は、▲2四飛から▲7五角と強攻した。つまらぬ結果論だが、先の▲1六歩を▲9六歩に代えていたら、▲9七角という手が利いた。
本譜の進行は負けペースである。

第4図以下の指し手。△4一桂▲4二角成△同金▲2二飛△3二銀▲2四飛成△3八飛▲3四竜△3三桂▲2三歩△2一歩▲4四銀(第5図)

△4一桂が上川女流二段らしい手厚い受け。私の▲4二角成は気が利かないが、ほかに手もない。
▲2二飛に△3二銀も当然ながら好手で、陣形の低い上川陣はビクともしない。▲4四銀とは進出したが、冴えない攻めである。

第5図以下の指し手。△4六角▲4八歩△1九角成▲5三歩成△同金▲同銀成△同桂▲5四竜△5一香▲5六竜(第6図)

△4六角が厳しい。この将棋はどこまでいっても、△5六歩の存在が大きい。私は▲4八歩と竜筋を遮断したが、△1九角成で、また駒損が広がった。
私は▲5三歩成から銀を捌いたが、△5一香が下段の香の威力。どこまで行ってもつらい。
私は▲5六竜と、目障りな歩を除去したが……。

第6図以下の指し手。△5七歩▲同金直△6五桂▲5二歩△同香▲5三歩△5七桂成▲同竜△5三香▲同竜△5二歩(投了図)
まで、79手で上川女流二段の勝ち。

△5七歩から△6五桂の跳躍が気持ちいい。私は▲5三同竜まで最善を尽くしたが、△5二歩で、時間切迫もあり、投了した。

「時間があったら▲4二竜と入って、△4一金と打たせて、まだまだ粘るんでしょお?」
と上川女流二段は言ったが、それでも下手の負けであろう。
本局は雑な仕掛けに尽きる。中原誠十六世名人の将棋を勉強しないといけないと思った。
上川女流二段は絶妙に緩めてくれるので、ありがたい。先ほどの二枚落ちの男性も、「LPSAの先生は、優しく教えてくれるからありがたいです」と言った。その通りだと思う。また上川女流二段に教えてくれる日を楽しみにしたい。
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