一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第65期王位戦第1局・第2日目

2024-07-08 17:51:04 | 男性棋戦
伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦第1局(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)、藤井聡太王位の封じ手は、飛車を回る手だった。なるほど角を引いた手に呼応したのだ。
さてここから本格的な戦い、というところだが、お互い玉を整備して、全然戦いが始まらない。そのうち千日手の懸念が生じ、2日目15時44分、本当に千日手が成立してしまった。
しばし休憩のあと、指し直しである。持将棋なら一局成立だが、千日手はそれにあらず。対局者はお疲れ様だが、仕方ない。
指し直し局、実は公平な条件でない。千日手局の消費時間が継承されるためで、持ち時間を多く使った藤井王位に1時間が設定される。渡辺九段は2時間20分になり、これは渡辺九段に大きなアドバンテージになった。
指し直し局は渡辺明九段の先手で、相掛かりになった。と、渡辺九段は角を換え、敵陣に打ち込む。アマ同士なら一本取形だが、プロはそうでない。この角(馬)が働くかどうかが、本局のカギとなる。
渡辺九段はその馬を惜しげもなく銀と交換し、その見返りに竜を作った。これで局面をよりよくできるという判断で、それは間違っていなかった。
藤井王位は攻め合いを目指すが、もとは渡辺九段がよかっただけに、手数が進むと、さらに渡辺九段の形勢がよくなる。だが相手は七冠王の藤井王位だから、まだまだ先は分からない。
私の拠り所はABEMAの形勢バーで、その後も渡辺九段の形勢がよくなってゆく。心なしか藤井王位も諦めているようにも見えて、これは渡辺九段が行ったんじゃないかと思った。
渡辺九段、自玉を攻められているが、淡々と応じ、優位は動かない。
藤井王位、しょうがない、という感じで銀を打ち、入手した角で竜を取る。しかしこの時点で「渡辺99:1藤井」である。この評価値は、即詰みの順があるということだ。なるほど、ここで渡辺九段が藤井玉を鮮やかに詰ますわけだ。これは渡辺九段の会心局ができあがったのではないか?
ところが渡辺九段が次の手を指すと評価値が激減。渡辺九段が敗勢になってしまった。ああー!? 渡辺九段、詰みを読み切っていなかったのか!?
渡辺九段、今度は竜を引いて王手。これには銀合いが最善と、AIは示している。しかし藤井王位の合いは「金」で、再び渡辺九段が優勢になった。
AIはここで歩の王手を示している。ところが渡辺九段は竜を切ってしまった。これがまずく、今度こそ本当に、渡辺九段が敗勢になってしまった。このあたり、評価値が乱高下していて、私は訳が分からなかった。
以下渡辺九段は手順を尽くすも、わずかに藤井玉は詰まず。無念の投了となった。
いや~、こんな結末があるのか!? 負けた渡辺九段は頭を抱え、勝った藤井王位もうつむき、とても勝者のそれとは思えない。
私たちは形勢バーを見ているからどちらが勝ちか分かるが、実際は勝ちがあってもそれは最善手がひとつだけ続く細い糸で、対局者はそれを完璧にクリアしないと、勝ちに到達できないのだ。つまり、見た目ほどの形勢は開いていないのである。
しかしどうも、藤井王位は自玉の即詰みを読んでいたみたいだった。対して渡辺九段は詰みを読み切っていなかったみたいで、この差が勝敗を分けたともいえる。
いずれにしても、渡辺九段が第1局を落としたのはとてつもなく痛い。局後のコメントでは、「気を取り直してがんばります」とのことだったが、その胸中、いかばかりだったか。
いっぽうの藤井王位は、「反省するところが多かった」といいつつ、星は勝ち。実はこれが最もよい展開ともいえる。藤井王位、早くも防衛が濃厚になった。
コメント (2)
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