一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第65期王位戦第1局・第1日目

2024-07-07 01:44:14 | 男性棋戦
叡王戦、棋聖戦の挑戦手合いが終わり、藤井聡太七冠は休む間もなく、「伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負」である(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)。
挑戦者は渡辺明九段。渡辺九段といえば「冬将軍」の異名があり、秋から冬にかけてのタイトル戦のイメージがある。秋の竜王戦の9連覇、冬の棋王戦の10連覇は圧巻だ。しかし今回は王位戦に星が集まり、真夏の王位戦七番勝負に初登場の運びとなった。これは新鮮な趣がある。
しかし第三者の気楽な感慨とは裏腹に、渡辺九段の心はさえない。ここまで藤井王位に24戦してわずか4勝。タイトル戦に至っては5戦全敗である。藤井王位がいなければまだ複数のタイトルを保持していたかもしれないし、二十世名人の資格を取得していたかもしれない。藤井王位こそ、渡辺九段の目の上のタンコブなのだった。
しかもこれが皮肉なのだが、強者は強者を知るというか、渡辺九段はクレバーなので、本七番勝負でも、藤井王位との対戦結果をイメージしそうなのである。「1勝できればいいだろうか……」などと考えたら最後、戦わずして結果は見えてしまう。
ただ前夜祭のコメントを読む限り、渡辺九段はリラックスしていて、気負ったところがなかった。この七番勝負は意外にいい戦いになるのではないかと思った。
さて、第1局である。藤井王位の先手で、お互い角道を開ける。ここが早くもミソで、仮に渡辺九段が飛車先の歩を突くと、以下角換わりになる可能性が高かった。藤井王位にその戦法は得策でなく、私も同意するものである。今シリーズ、角換わりは出現しないような気がする。
さらに4手目、渡辺九段は角道を止めた。振り飛車ファンなら振り飛車を期待するが、私は騙されない。すぐに飛車先の歩を突いた。
だが渡辺九段の工夫はこの先にあった。私は雁木を採用するかと思ったのだが、銀の位置に金を上げたのだ。綺麗な左美濃ができあがったが、肝心の玉は居玉だ。
対して藤井王位も慎重に駒を進め、この折衝は先手にごくわずかながら利があったようだ。
渡辺九段は左金を反対側に上げ、結果的には右玉を表した。対して藤井王位側が左美濃っぽくなったのが面白い。結果、ほぼ互角となった。
というところで、藤井王位が封じた。予想手というか、形としては▲6七金と指したいのだが、△3五歩の桂頭攻めが気になる。これを私は、▲4七金で受けたいのである。
よって▲2九飛とでもしたいのだが、これはその前の渡辺九段の手に呼応している。だが渡辺九段はその手を考慮8分で指している。いっぽう藤井王位の封じ手は14分だった。
ということは、渡辺九段の指し手に関係なく、その手を指す予定だったことになる。
とすると、味よく▲6七銀引だろうか。ABEMA解説の佐々木慎七段はそのとき△5五歩を気にしていたが、まあ、大丈夫だろう。うん、角の頭を守る意味でも、「▲6七銀引」を封じ手予想としておく。
(つづく)
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