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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

藤井竜王、敗れる

2022-01-15 23:40:40 | 男性棋戦
13日は第80期B級1組順位戦11回戦が行われた。注目の藤井聡太竜王は8勝1敗で、7勝3敗の千田翔太七段と戦う。この対局に藤井竜王が勝ち競争相手が負けると、A級昇級が確定する可能性があった。
藤井竜王はどの棋戦も勝率が高いが順位戦は突出していて、ここまで通算47勝2敗(.959)と、あり得ない成績である。全棋戦の通算勝率が,838なのに、それを1割も上回る。順位戦こそ棋士の土俵で、どの棋士も全力で藤井竜王にぶつかる。それでいてこの数字は驚異的というほかない。よって本局も、当然藤井竜王が勝つと思っていた。
ところが……。
将棋は藤井竜王の先手で相掛かりとなった。千田七段は△5四飛と回り、△6五桂と跳躍。そして左の桂も△4五に跳ねた(第1図)。

誰が見ても5七の一点狙いで、▲4五同歩なら△8八角成▲同金△3九角がある。だが藤井竜王も勝負師で、それを承知で▲4五同歩と取った。
3手後の△3九角以下は▲3八飛△5七角成(第2図)となった。

この局面、先手の飛車は半分蟄居し、後手は指し手を考えやすい。よってアマ同士なら、8割方後手が勝つ。だがAIの判断は「いい勝負」だったようだ。だけど将棋には勝ちやすい形というのがある。プロだって後手を持って指したいのが大半だろう。やっぱり将棋は、攻めている方が楽しい。
果たして実戦も後手が指せる展開になったのだが、藤井竜王も妖しく粘る。99手目、藤井竜王が▲8八竜(第3図)と引っ張ったところは、流れはむしろ先手に傾いたと思われた。

こういう粘りは大山十五世名人や森安秀光九段が得意にしていて、私は、1979年10月1日に指された第29回NHK杯・▲森安七段VS△大山十五世名人戦の△4二竜(参考A図)、1982年5月20日に指された第21期十段戦挑戦者決定リーグ・▲森安八段VS△谷川浩司八段戦での▲7七同竜(参考B図)を想起したのである。


しかしこの日の千田七段は強かった。落ち着いて△2九金と桂を補充し、さらに△1九金から△4六香と着実に攻め、快勝したのだった。いやはや、千田七段がこんなに強いとは思わなかった。恐れ入りました。
それにしても、順位戦はやはり恐ろしい、4年間で1敗しかしなかった藤井竜王が、B級1組で2敗もしてしまった。さすがにこのクラスまでくると、レベルが違うようである。
12回戦は2月3日だが、藤井竜王が一気に決められるかどうか。まだまだ興味は尽きない。
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