一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

由紀の名局・1

2016-02-13 14:24:04 | 名局
室谷由紀女流二段の名局を記す。


2016年1月28日
第47期新人王戦・2回戦
持ち時間・各3時間

▲先手 四段 近藤誠也
△後手 女流二段 室谷由紀

▲2六歩△3四歩▲7六歩△5四歩▲2五歩△5二飛▲4八銀△6二玉▲6八玉△7二玉▲7八玉△8二玉▲5八金右△7二銀▲4六歩△9四歩▲9六歩△3三角▲同角成△同桂
▲4七銀△3二金▲3六歩△5一飛▲2四歩△同歩▲同飛△2二銀▲2八飛△6二角▲4五歩△2一飛▲4六銀△2六歩▲3五歩△3一銀▲1六角△2七歩成▲同角△4四歩
▲3四歩△4五桂▲7七桂△5三角▲2五歩△同飛▲3七桂△同桂成▲同銀△6六桂(第1図)

室谷女流二段は対男性棋士3局目。前2局は敗退したが、前期の新人王戦・黒沢怜生四段戦では終盤まで勝ちがあった。今度こそ初勝利、の思いだったろう。
近藤四段は昨年10月デビューの19歳。ここまで2勝0敗で、そろそろプロの雰囲気に慣れてきたころか。
室谷女流二段はゴキゲン中飛車に構え、角交換をして2筋からの反撃を試みる。自分の得意形に持ち込め、満足のいく中盤戦だったと思う。
そこで近藤四段の▲3七桂がどうだったか。というのも、室谷女流二段に絶好の反撃手段が生じたからだ。一閃、△6六桂!

第1図以下の指し手。
▲6六同歩△2七飛成▲同飛△4五角▲5六歩△2七角成▲4八銀△4五馬▲3三歩成△同金▲9五歩△5五歩▲6八銀△9五歩▲9三歩△9六歩▲6五桂△6四角▲5三桂打△9七歩成
▲7九金△5六歩▲6九玉△2九飛▲3九歩△5一金▲9四桂△7一玉▲9七香△同角成▲5二歩△5七歩成▲同金△8七馬▲5九玉△5四香(第2図)

△6六桂が名手だった。▲6六同歩は△2七飛成▲同飛△4五角の王手飛車がある。
しかし近藤四段は▲6六同歩と男らしく取り、綺麗な王手飛車が掛かった。「アマは王手飛車を掛けたほうが勝つ。プロは王手飛車を掛けたほうが負ける」というが、やはり掛けたほうが優勢になる。ここは室谷女流二段、有望だ。
劣勢の近藤四段は端から反撃し、▲5二歩。△5二同金は▲4一飛が厳しい。室谷女流二段はどう指すのかと思ったら、攻めるは守るなりで△5七歩成。▲同金に△8七馬を利かし、▲5九玉に△5四香が厳しかった。

第2図以下の指し手。
▲5一歩成△5七香不成▲5八歩△同香成▲同玉△7六馬▲6七香△9四馬▲6一と△8二玉▲6二と△5五桂▲7二と△9三玉▲8七飛△7六馬(投了図)
まで、102手で室谷女流二段の勝ち。

▲5一歩成に△5七香不成が王手の先手。以下△7六馬から△9四馬として、手順に上部を開拓してしまった。
近藤四段も▲6一とから追ったが、室谷玉は9筋から逃げ出して安全になった。以下、室谷女流二段が勝った。

室谷女流二段の快勝だが、気の毒だったのは近藤四段だ。盤の前の将棋に集中すればいいのだが、室谷女流二段のような絶世の美女を前にして、正常な思考ができたかどうか。私だったら心ここにあらずで、指し手も覚束なかったと思う。
今回、室谷女流二段が勝ったことを知っているから安心して記譜を追えたが、私の読みにない手がバンバン出てきて、感心すること大だった。ほかの女流棋士は相当努力しないと、室谷女流二段にどんどん離されてしまうだろう。
本局は紛れもなく、室谷女流二段の名局である。
コメント
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