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9月の上旬、本来はNY行きの予定があったんですが、あいにくのことその予定がキャンセルになっちまったんで、前々から申請していたこのひさかぶりの休暇を利用して、旧友のいる金沢までそそっといってまいりました。
北陸最大の古都・金沢シティー---。
実は僕、56豪雪の年、まだ初々しい17才の高校生の折り、10か月だけこの金沢シティーに住んでいたことがあるんです。
ですから、この、ほぼ30年ぶりの金沢再訪には、なんとも感慨深いものがありました。
駅前のレンタサイクルでママチャリを借りて、高校のとき受験で利用していた図書館にいってみたり、懐かしの母校に寄ってみたり、かつて住んでいた平和町の住居跡にいってみたり…。
30年ぶりの金沢シティー、ずいぶんあちこちが変わっておりました。
平和町の僕が住んでいた借家は、駐車場になっちゃってました。
あと、JR金沢駅のなんという近代的な変わりよう…!
変わっていないのは市中を貫く犀川の滔々たる流れと、香林坊のどこか北陸北陸した佇まいだけでした。
時のうつろいというのは、マジ、無常なものなり。
犀川大橋の中央のベンチ付近で、僕は、眼を細めて、ひさびさに会ったこの旧友・金沢シティーとの再会を噛みしめました。
ジョン・レノンの死んだ80年の12月8日、馴染みのライヴハウスに駆けつけようと、息せききって自転車でこの大橋をわたったことが懐かしく思い出されもします。
そのライヴハウスも、いまはもう跡形もない。
初めてバート・ヤンシュのレコードを買った、馴染みだった地下のレコード店も当然ない。
記憶のなかのそれらの雑然とした香林坊の裏町は煙のように跡形もなく、それらに代わって、プチ原宿みたいにお洒落なお店群と109のビルとが「せせらぎ通り」なんていう新たな観光名所を構築しておりました。
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その金沢・香林坊の新名所「せせらぎ通り」より著者
金沢シティー再訪の夜には、金沢の旧友・介護の道の大先輩であるMと、市いちばんの繁華街「香林坊」へと飲みにでかけました。
金沢の海の幸は、さすが北陸って感じの新鮮極まりない美味なものでしたが、僕がいっちゃん印象深かったのは、実は、2件目に訪れた香林坊の裏筋にある「マルティニ」って名の渋いBARでした。
MがこちらのBARを知っていたので、その関係で案内してもらったのですが、こちら、とてもいいお店でした。
なにしろ、ここ、マスターがすっごい博識!
僕等、カウンターで Miles Davis の kind of Blue を聴きながら、たまたまロスチャイルドの話をしてたんですよ。
ロスチャイルドっていうのは、いうまでもなくヨーロッパのあらゆる層から「あのお方」と囁かれる、現代世界のオーナーにして支配者でもある、スファラディー・ユダヤのあのロスチャイルド男爵のことです。
(なぬ? ロスチャイルドをご存知ない? うーむ、そーゆー方は、おとといにでもまたおいでください。広瀬隆の本やらリチャード・コシミズ氏のブログを訪ねて勉強しなおしてからの再訪を心よりお待ちしております。ロスチャイルド抜きには、ヨーロッパや近代史のことはひとつも語れない、というのが本当なんですから)
----でさー、俺ら、仲間内でいいワイン買って、部屋でそれあけるっていうのを恒例にしてたわけ…。そうなるとだんだん舌も肥えてきて、必然的に興味だってでてくるじゃん? そしたらさ、そのうち見つけちゃったんだよ、いわゆる、究極のワインってやつを…。
----究極のワイン…? なんや、それ…?
----それがさ、ロールシルトってワインだったんだよ。仏蘭西産の超・極上ワイン。超旨いらしい。いちばん安くて一本20万円…。ちなみにロールシルトって銘柄はドイツ語読みでさ、英語で発音すると、これ、「ロスチャイルド」になるんだよ…。それ知ったときには正直たまげたね。なんだ、おまえ、表にさっぱりでてこないから、もしかしたら幻かも、なんて思いかけたことも何度かあったけど、そうか、こんなとこに隠れてたのかって…!
そんな風にカウンターで話してたら、マスターがさりげなく、こう声をかけてきたの。
----あの、お客さま、お話のとちゅうで失礼ですが、そのロールシルトの現物なら当店にもございますよ…。
僕的には、もう「エーッ!」でした---思ってもみなかったもん。
----お客さまのお背の、後ろの段のところ、御覧になってください。そう、そこ…そこから2本目と3本目のところにあるのが、ロールシルトのワインですよ。どうぞ、手にとってよく御覧になってください…。
マスターのうながすまま指定された瓶をとってみたら、うん、たしかに…ロールシルトです…。
僕、ここで初めて1本20万の幻のワイン「シャトー・ムートン・ロートシルト」の現物を拝みました。
「シャトー・ムートン・ロートシルト」は、ワインの名門中の名門である、仏蘭西ボルドー産の超高級ワイン。
毎年、最上のアーティストにラベルの絵を画いてもらう、というユニークな企画でも有名なこのワイン、なんとあのピカソやシャガール、ウォーホールやバルディスなんて超一流も、ここのラベルを手がけてるんですね。
そのなかでももっとも有名なシャガールとバルディスの瓶が2本ともこちらにあったので、イーダちゃんは、なおさらびっくり!(゜o゜;;
1970年産のシャガールのにもそーとーびっくりしたけど、ロリータ柄で有名な1993年もののバルディスのモノホン瓶を見れたことには、もう脱力もののびっくり二乗でした。
僕、しばし黙って、瓶を見つめちゃいましたもん。
写真も撮った。
ただ、映りわるくていささか見にくいんで、ネットから引っぱってきた同瓶のフォトを2点脇にあげておきませう。
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代々、あらゆる動乱と戦争のフィクサーとなりつづけてきた王侯以上の王侯---
というか、ほとんど現代社会のマイスターといってもいいくらいの超・存在---
メンデルスゾーンやナポレオンや日露戦争のバックにもいた彼等・特権階級中の特権階級者「ロスチャイルド」!
けれども、どういうわけか彼等は必ず歴史の蔭にいて、表に姿を表すことをよしとしなかった…その彼等と書面やネットのなかのバーチャルじゃなく、生で対面したのは、正直、これが初めてでありました。
うーむ、と瓶を見つめて、僕、唸っちゃいましたね…。
----そうか、やっぱり、あんたら実在したのか…。それにしても、こんなところに足跡残していたとは…。盲点だった、ワインなんて読めなかったよ…。
あのー 話やや飛ぶけど、巨匠・宮崎駿さんの初期アニメに「カリオストロの城」ってあるじゃないですか?
あれにでてくるカリオストロ伯爵っていうの、僕は、ロスチャイルドがモデルじゃないか、と常々思っていたんです。
実際よりだいぶ小粒に描かれているけど、アレ、いまでもちょっとそうじゃないかって思ってる。
広瀬さんの本を読めば誰でも分かるかと思うけど (広瀬隆「赤い盾」集英社) 、世界中の大企業の7割は実質彼等「ロスチャイルド」の所有物なんですよ、いまも。
99%のマスコミがその事実をいかに大衆から遠避けようとも、それは、もうあちらさんの家系図を追ってくだけで証明できる動かしようのない厳正な事実なんであって。
あの聡明な宮崎さんが、それを知らないわけがない。
うむ、まちがいなく宮崎さんは知っていたと思うぞぅ…。
まあ、そっち系の話題に深入りする気は今回はあまりないのですが、この夜の「ロートシルト」との出逢いが、僕にとって非常に忘れがたい思い出となったのはたしかですね。
酒もうまかった。
旧友との話も面白かった。
介護の話もたっぷりできたし、30年前に住んでいた懐かしい借家の跡地も見れた。
それから、なにより染みたのは、その夜の飲み会のしまいに、なんと旧友Mの次女のMさんが、酔っぱらった我々ふたりのコンビをクルマで迎えにきてくれた、という一幕でした。
これは、染みた…。
あの学生時代、いっしょい馬鹿やってさんざんに遊びまくってた旧友の娘さんが、よもや親父さんの連れをクルマで迎えにくるほど成長されているとは…。
光陰矢の如しとはまさにコレ---年賀状で見るかぎりは、まだまだ子供さんだと思っていたんだけどなあ。
というわけでMに娘さんのMさん、今回の金沢行ではつくづくお世話になりました---。m(_ _)m
ヨコハマに帰ったら、ソッコーで生シウマイ、クール宅急便で送ります。
ただ、晩秋の香林坊、ひと、ちょっと少なかったねえ。
あと、街が全体的のトーンが微妙に暗かったのが、僕的には印象に残っています。
市いちばんの「大和」デパートが、夜7時ちょうどにシャッターを降ろしちゃったのにもびっくりした。
全体的に、ひと、いなくて、チャラ男系のホストっぽいのが、やたら街角に目立ってたねえ。
彼等、あんなんで商売になるのかしら?
などというどうでもいい心配を時折チャラ見せながら、あまりにも私的な当ページをそろそろ閉じたく思います。
さて、余った日取り、イーダちゃんは加賀の温泉郷を目指したのか、それとも、その他のパワスポを再び探訪したのかどうか?
それらすべての疑問符は、あいにく次回にもちこしです。
しかしながら、イーダちゃんにとって、金沢はやっぱり特別な場所なのですよ---その特別な夜を特別な手法でもてなしてくれた金沢の旧友のMと香林坊の「マルティニ」のマスターに向け、感謝の思いをこめつつ、いま、キーボードからおもむろに両手指を離した、初秋の深夜のイーダちゃんなのでありました…。
(下写真:香林坊のBAR「マルティニ」 076-233-1991 石川県金沢市柿木畑5-8阿部ビル1F)
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