齋藤信幸のロングステイ!米国・カナダ・中国・台湾・韓国・フィリピン・イタリアなどへの旅行体験やカミサンポをご紹介 

60歳を過ぎてそこそこのお金とほぼほぼ時間のある今、長期旅行に挑戦しましょう。そして大切な妻とカミサンポ。

本と映画でカミサンポ:『ヒルビリー・エレジー』、トランプ大統領が生まれた背景

2020-06-27 16:39:04 | アメリカ東部
アパラチア山脈を舞台にした本・映画の3部作の最後は、『ヒルビリー・エレジー』(J.D.ヴァンス著、関根光宏・山田文訳、光文社)。副題は「アメリカの繁栄から取り残された白人たち」。



私たちが映画やTV番組で見かけるアメリカは西海岸のロサンゼルスやサンフランシスコ、東海岸のニューヨークやボストン、フロリダ、たまにシカゴ。IT関係の仕事がらみであればマイクロソフトやアマゾンのあるシアトル、FacebookやGoogleなどがあるかつての半導体メーカーの拠点シリコンバレー、映画関係ならロサンゼルス。すべて西海岸の町である。東海岸は金融関係ならウォールストリートのあるニューヨーク、政治がらみならワシントンDC、アカデミズムならボストン。

著者のヴァンスは、ラストベルト(錆びついた工業地帯)と呼ばれる地域の一つオハイオ州ミドルタウンで生まれ育った。そして、アパラチア山脈の炭鉱の町、ケンタッキー州ジャクソンが、祖父母や親せきと過ごすことが多かった心の故郷とのこと。高校卒業後、海兵隊に入隊、除隊後オハイオ州立大学、イエール大学ロースクール卒業。現在はシリコンバレーで投資会社の社長を務める。サンフランシスコ在住。

<さて、ジャクソンはどこ?>


ラストベルトの製鉄所や自動車工場がある地域には1950年代、アパラチア山脈の小さな町から仕事を求めて多くの若者、家族が移住。工場労働者の中流階級の町がつくられた。ヴァンスが生まれ育った町は、シンシナティとデイトンの中間にある「ミドルタウン」。製鉄会社アームコを基幹産業にする労働者の町。かれらは「ヒルビリー(田舎者)」と呼ばれている。

<本当に中間にあるからミドルタウン>


日本の高度成長期に地方から東京や大阪に出てきた時期とも重なる。私の両親もその中に含まれる。当時、父は山形の国鉄(今のJR)に勤めていたが、復員してきた人々に職場を明け渡す必要があり、東京に行くか、札幌に行くかの選択を迫られたそうだ。結果、母と結婚して東京に出てきて、私と妹が生まれ、国鉄に定年まで勤めた。

この本は自分の家族の歴史を読み重ねていくと面白い。また、なぜアパラチア山脈やラストベルトに白人の貧困層が生まれ、かれらがどう考え、広い意味で文化を形成していったかが分かる。その彼らがトランプを大統領にした。トランプ大統領誕生は、偶然やラッキーで誕生したのではなく必然であった。

最後にオハイオ州とケンタッキー州の旅行の話。

オハイオ州にはエリー湖の畔、クリーブランド近郊にChuyahoga Valley National Parkがある。オハイオ州に行くのなら、「エリー湖湖畔のドライブ+この国立公園」を目的に行くべき、行くしかない、他に何もない。

ケンタッキー州にはMommoth Cave National Parkがある。洞口が延々400マイル以上つながっている世界最大の洞窟。洞窟のどこまで入れるか、その手段、など事前調査が必要。

私がもっと興味があるのは、Land Between the Lakes N.R.Aだ。どうやら長年にわたるミシシッピー川の蛇行の結果生まれた土地のようで、自然が豊か。こんなところでキャンプをしながら、地元でしか手に入らないような地酒の「バーボンウィスキー」をちびりとやりたい。

<Land Between the Lakesという国立保養地>



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本と映画でカミサンポ:「リトル・アクシデント」、旅の安全はあなたの危険察知能力による

2020-06-19 23:31:56 | アメリカ東部
アパラチア山脈を舞台にした本・映画の2作目は、映画『リトル・アクシデント -闇に埋もれた真実-』。原題はLittle AccidentsでAccidentが複数になっている。事件は2つ以上!!



先週の『Gray Mountain』同様、炭鉱町の話。炭鉱事故が起き、一人だけ労働者が助かる。斜陽産業故に、この事故がきっかけで閉山に追い込まれるのではないかと危惧する住民、一方で会社の責任を追及する住民。そんな中、炭鉱を経営する会社役員の息子が行方不明になる。 その役員の妻、生き残った労働者、そして地元の高校生の視点で、事件の顛末を描く。

ストーリーは単調だが、アパラチア山脈の炭鉱町の生活が伝わってくる。それと高校生役が如何にもアメリカの「苦悩するガキ」という感じでいい。

さて、この写真を見て、ここは安全な町なのか、それとも危険な町なのか?



私は、危険な町の部類に入れる。なぜなら家の周りに金網のフェンスがあるから。金持ちの住む町では金網のフェンスは100%ない。つまり、ここは所得が低い地域。アメリカの警察は地域にやとわれているので、所得の低い地域では警察官の数も少なく、地域の隅々まで目が届かず、治安が悪くなる。

「貧乏だからといって悪い人とは限らない」と私も思う。でも、アメリカの治安が本当に悪い地域に1時間いれば、あなたも確実に犯罪に巻き込まれる。例えば、LAのInglewood。
平和ボケの日本人。海外旅行では危険を察知する感覚を研ぎ澄ます必要がある。

次回は、アパラチア山脈を舞台にした本・映画の3部作の最後、『ヒルビリー・エレジー』(J.D.ヴァンス著、関根光宏・山田文訳、光文社)。副題は「アメリカの繁栄から取り残された白人たち」。

”今まで全く見ていなかったアメリカがあった””。以来、この地域に関心を持ち続けている。

<2011年アパラチアの町をドライブ>
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本と映画でカミサンポ:アパラチア山脈から大西洋岸までをドライブ

2020-06-14 14:06:32 | アメリカ東部
今回から3回連続で米国東部を縦断するアパラチア山脈エリアを舞台にした本と映画の話になる。

第1回目は『Gray Mountain』。ジョン・グリシャム著のリーガル・スリラー。邦訳は『汚染訴訟』(新潮文庫)。



リーマン・ブラザースの破綻後、ニューヨークの大手法律事務所に勤めるエリート女性弁護士サマンサに、会社は解雇の代わりに、バージニア州のアパラチア山脈の田舎町にある無料法律相談所で1年働くことを勧める。サマンサは地元の弁護士ドノヴァンと出会い、露天掘りの炭鉱や発破の影響で健康被害や水質汚染に苦しむ地元の人々を目の当りにし、炭鉱会社の不正を暴こうとするドノヴァンの闘いに徐々に巻き込まれていく、というストーリー。

著者のグレシャムは、ミシシッピ州立大学、ミシシッピ大学ロースクールを卒業。1981年から1991年まで弁護士として活躍したのち、1984年から1990年まではミシシッピ州の下院議員。著書の『評決のとき』、『法律事務所』、『ペリカン文書』および『依頼人』は、映画化され日本でも公開されている。グレシャムは「Gray Mountain」の舞台のバージニア州に住んだのち、現在はノース・キャロライナ在住とのこと。もっぱら南部の人で、私が読んだ範囲では、小説の舞台も南部のみ。

アパラチア山脈は、個々の山の標高は平均して1,000m前後と低く、最高峰はノースカロライナ州にあるミッチェル山(標高2,037m)、侵食が進んだ丘陵性の古い山脈である。北端はカナダニューファンドランド島で、そこから北米大陸東部を南西方向に縦断し、南端はアラバマ州の中央に至る。私もニューハンプシャー州あたりしか行ったことはない。

こんな感じののどかなところ。








この山脈では石炭が盛んに採掘されている。炭鉱の開発は、石炭の需要が伸び始めた19世紀中頃から活発になり、多くの移民労働者により炭鉱が活発に開発され、地域の中核産業に成長すると共に、アメリカ経済発展の原動力の一つとなった。生産量は1990年代をピークとして減少。

また、ここには有名なグレート・スモーキー・マウンテン国立公園シェナンドー国立公園がある。

特に秋の美しく雄大な紅葉が有名。バイジニア州のシェナンドー国立公園には105マイルのスカイラインドライブが南北に走っている。この国立公園の南端からは、さらに全長469 マイルのブルーリッジ・パークウェイがノースカロライナ州のグレート・スモーキー・マウンテン国立公園の付近まで続いている。両方合わせて574マイル、918キロのドライブコースだ。

私の計画中のプランは、ワシントンDCからウエスト・バージニアをかすめ、スカイラインドライブでシェナンドー国立公園を縦断、東に進んでリッチモンド、ノーフォークを経由してチェサピーク湾にでて、海岸線を南下、ノースカロライナ州の海岸線、アウター・バンクス・シーニック・バイウエイ、を走る。実は一番行きたい場所はここ。米国西海岸にはない光景だ。



更に、南下してサウスキャロライナ州のチャールストン、そこから26号線で北西に進み、グレート・スモーキー・マウンテン国立公園を経由して、ノックスビル、というプラン。ブルーリッジ・パークウェイはいけないが、ノースカロライナの海岸線は外せない。

この計画がのびのびになっている理由は、シエラネバダ山脈やロッキー山脈にくらべて退屈な山並みが予想されること、それと治安。それはこの『Gray Mountain』に描かれている炭鉱の町とも関係がある。次回はその治安にまつわる話。

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本や映画でカミサンポ:アリゾナ州プレスコットで奇岩を撮影

2020-06-07 01:04:01 | アメリカ西部
4月1日から今日までに見た映画は33本、この他に『Cold Case』(米国版)のシーズン1の23エピソードとシーズン2のエピソード7までを見た。それと『ソドムの林檎』を全4話。在宅勤務で不要となった通勤時間と余った体力を映画につぎ込んでしまった。

という訳で6月1日からは心を入れ替え、延び延びになっていた教育用アプリの制作に取りかかった。気持ちが変わらないように3か月間限定でT氏に私の監督とお手伝いを頼んだ。

それはそれとして、仕事の合間のバーチャル・トリップ、脳内旅行。

今回は、アメリカ映画『オンリー・ザ・ブレイブ』(5月8日に鑑賞)。2013年にアメリカのアリゾナ州で発生した巨大山火事に立ち向かった、消防精鋭部隊グラナイト・マウンテン・ホットショットの実話にもとづく映画である。



舞台はアリゾナ州プレスコット(Prescott)。フェニックスからフリーウェイ17号線を北上し、途中から69号線で北西に向かったところにある町。人気の観光地セドナ(Sedona)から60マイル南西の位置にある。砂漠とサボテンのアリゾナ州だが、この町は緑が多い。



チーム名のグラナイト・マウンテンは、西70マイルの位置になるグラナイトピークのことかと思っていたが、そうではなく、プレスコットの北にある地元の山のこと。映画の遠景に出てくる頂上がフラットの山ではないかと想像する。
そしてワトソン湖。映画には出てこないが、ゾッとするようなこの絶景。



セドナに行く途中に寄るとういのが現実的。フリーウェイを使わずに、フェニックスから60号線で北西に進み、89号線に乗り換えて北上というプランがいい。89号線はセドナまでつながっている。



注意点は、岩場の日陰のガラガラヘビ!!

この写真はプレスコットよりも北のJamesからセドナに行く途中のちょっとした峠。
こういうところをまた車で飛ばしたい!!コロナよ去れ!!!


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