――何だかいきなり、世論が橋下さん不利になってるみたいですな。
しかしこんなにも橋下さんばっかりが怒られているところを見ると、米兵による性犯罪って実は問題になるほど多くはないのでしょうか? 教えて、フェミの人。
確かに彼の発言はTPOを考えてどうかとも思うし、キリスト教の国であるアメリカは、売買春に厳しいわけで、配慮に欠けていたでしょう。
本件について最初に知った時、ぼくは
やたらと騒いでるから何かと思えば……これ、「腹が減ったらコンビニでパンを買え」って言ってるのとどう違うんだ? 騒いでるフェミニストは売買春否定派なのか?
(https://twitter.com/hyodoshinji/status/333934638663884800)
とツイートしました。
が、「売春」を「通常の職業と全く同じ」と言い切るリベラル的なスタンスにも違和を感じるし、「パンを買うのと同じ」はいささか言い過ぎだったかな、とも思っております。
が、反橋下派が正しいのかと言えば、そうとも思えない。
本件でぼくが気になったのは二点です。
1.「性風俗従事者を性欲発散の道具扱いした」といった主旨の発言
2.彼ら彼女らが従軍慰安婦問題を語れば語るほど、戦争で殺される男への視点が欠落を感じずにはおれないこと
1.については、お話にもなりません。
確かに「従軍慰安婦」の話題に続いて米兵に「風俗業を利用しろ」と提案した橋下さんも橋下さんですが、言うまでもなく両者は全く別の話です。しかしフェミニストと思われる人々のツイートを眺めていくと、彼女らの中ではその両者が完全に混濁してしまっているようです。
また、彼女らの思想が「売買春は本質的に悪、全て禁止にすべき」というものであればそれはそれで理解はできます。が、彼女らの多くは普段はリベラルを自称しているのではないでしょうか。
例えば北原みのり師匠は本件に関し、
男の性欲の処理は女がするもの・・・ということですか。
辞めさせなくちゃいかんと思う、こんな政治家。
(https://twitter.com/minorikitahara/status/333913329665982465)
だからさ、なんで男の性欲を女が引き受けなくちゃいけないんだよ。
テンガ使えよ。
(https://twitter.com/minorikitahara/status/333913932060307457)
とツイートしていますが、ご本人は美少年娼婦を買った経験をお持ちで、また『アンアン』の黒木香を迎えての座談会を手放しで賞賛もなさっています。どうにも、売買春を否定なさっているようには思えません。
想像ですが、北原みのり師匠の本音は「女が性を売るのはおk、男が買うのはNG」というものではないでしょうか。
女性が男性に求めるのは、「男性に自分の性的価値を求められること」です。
だから普通の売春婦は金を得ることで自分に性的魅力があることを確認します。しかしツンデレちゃんのフェミニストたちは「性を売って、金を得て、そしてしかる後に相手の男を『女性差別!』と叫んで100tハンマーでぶん殴る」というところまで行ってワンセットなのです。これが性犯罪冤罪と全く同じ構造を持っているということは、多分、以前にも指摘したことがあったかと思います。
いずれにせよ本来、こうした言説は女性の「自己決定権」を尊重するはずのリベラルとは相容れないはずです。では、彼ら(男性側)はどのようなスタンスでいるのでしょう。
北田暁大(反省中)?@a_kitada5月13日
まったく根拠ないけど、なんか「痴漢冤罪許せない。男を性欲の塊みたいに言うな」みたいなこと言ってるひとが、「性欲は男のリアルだぜ。処理ヨロシク」な橋下発言を支持してるような気がするが気のせいですね、そうですね。前者貫徹させるならふつうに橋下発言嫌悪せざるをえないからね。
(https://twitter.com/a_kitada/status/333958176183574529)
荻上チキ?@torakare5月13日
「今の日本の現状からすれば、貧困からそこで働かざるを得ないと言う女性はほぼ皆無。皆自由意思」「女性も自ら考えて職に就いている。嫌なら他の仕事に就けばいい」と橋下市長。根拠レス。生活苦・借金・DVで風俗や売春を始めた人、疾患で他の仕事に就けなかったという人に取材で頻繁に会うよ。
(https://twitter.com/torakare/status/334210071066193920)
森岡正博?@Sukuitohananika5月14日
風俗業選ぶのが自由意志と言える前提のひとつとして、風俗業への社会的侮蔑がなくなっていることが必要。それは、若い男女が「風俗業に就職決まりました」と報告してそれは良かったと祝福され、親からもこれで一安心だと笑顔で迎えられる社会でなくてはならないということ。
(https://twitter.com/Sukuitohananika/status/334609055236648960)
北田師匠の迷妄は論外のそのさらに下としか言いようがありませんが*、基本的に彼らは「風俗嬢は貧困層である」との「設定」で何とか自らの中の辻褄をあわせようとしていることがわかります。
こうした発言には、既にツイッター上でも「じゃあ、マクドでメシを食うヤツも貧困労働者を搾取するワルモノじゃん」といった反論がなされています。
森岡師匠の発言にせよ、それを言ったらエロゲのシナリオライターもラノベ作家も「報告してそれは良かったと祝福され、親からもこれで一安心だと笑顔で迎えられる」ような職業では全くないのですが、その職種に就いているものはほぼ100%自由意志で選択したとしか思えない、という辺り、気持ちはわかるけれどやはり論外と言わざるを得ない。
結局、彼らは「女性」というご神体の持つ聖性、弱者性におんぶにだっこで、実現すべき人権の水準を高く設定しすぎなのですな。だからこそ、(フェミの味方のみならず、この種のリベラルは)世間の感覚との乖離を引き起こしながらそれに気づくことができず、「我々は弱者に寄り添っているのだ」という自意識を持ち続けるわけです。
むろん、チキ師匠の引用した橋下さんの言葉は、あまりにも浮世離れしすぎでしょう。しかしならばバブル期には風俗嬢の数が激減していたわけなのでしょうか。当時のセックスワーカーを取材した与那原恵氏は『物語の海、揺れる島』の中で、彼女らはそうした職種に就いていることについて、「カネのため」とのタテマエを守り続けてはいるものの、そうとは見えない者ばかりであるとのレポートをしています。
逆に不景気な今では貧困層が「風俗堕ち」という事態は大変に増えていることが想像できるものの、さらに言えば昨今ではセックスワーカーたちの「自己決定」の傍証として、彼女らによるブログなどが思いつきます。むろんそうしたものも一種の営業であり、100%本音が綴られているはずもありませんが、全てが虚偽であるというのも、やはり考えにくい。ネットの発達による「表現・発信の自由」の実現はリベラルにとってさぞかし呪わしいものかと心中、お察しします。
*女性の味方であらせられる師匠はきっと、「女性によって無実の罪に陥れられても、笑って社会的死を受け容れよ、そうできない男などネトウヨ以上の悪だ」とお考えなのでしょう。こういう人は戦時下では「軍人なら戦場で死んでみろ!!」とか絶叫しそうです。格好がいいですね。
2.についてはどうでしょう。
結局、いかに従軍慰安婦が非道い目に遭っていたとしても(「強制はあった」派の主張を全面的に受け容れたとしても)、戦争で死ぬ男性よりマシ、ということは原理的に言えてしまいます。
むろん戦争で生きのびたどころか、甘い汁を吸った男性もいるでしょうし、労働環境の劣悪さから死んだ女性もいるでしょう。しかし、全体の問題として男性の方が女性より苛烈な扱いを受けたと言うことは、認めざるを得ません。
が、こういうとフェミニストは大慌てで「戦争は男たちが始めた」と言い出すのですな(そこを指摘すると、意味不明なロジックで「そんなことは言ってない」と否定し出すのも、お約束です。小山エミ師匠しかり、フェミニストが自分の発言に責任を持つことは、決してありません)。慰安婦という被害者を「設定」した以上、どうしてもワルモノは男性でなければならない。ましてやことの発端となる発言をしたのは男性であり、政党の党首というわかりやすい権力者。事態は「権力者である男VS被害者である女」という図式に、あっさりと回収されてしまいます。
さてこの図式、ついさっきも見たのではないでしょうか。
そう、この図式――つまり「男をワルモノにして、男が死のうと平然とその死体を喰らいつつ被害者ぶる女」という図式は、実は1.と2.に共通のものです。
1.は「過去にいたとされる従軍慰安婦」と「現代のセックスワーカー」を混同することによる、「女性の自己決定権」の否定、つまり「男が悪いとすること」です。
2.は「過去での人権侵害の中の、女性に対するそれ」だけを恣意的にすくい上げる行為、つまり「女だけが慮られるべき」との価値観の表明、つまり「男は死んでもいいとすること」です。
ビョードーの見地からは、「過去、女性以上に男性は非道い目に遭った」「同様に、現代でも男性は女性以上に非道い目に遭っている、過労死で死ぬのは圧倒的に男性が多い」といったことが語られてしかるべきなのですが、そうした発言は全く聞かれない。
こうして見ると北田師匠の発言、ご本人は何も考えずにただ男性への嫌悪を垂れ流しただけだと思いますが、この発言が重大な意味を持ってきます。
師匠の発言は、「師匠の脳内にいる橋下さんがした発言」と対になっているのです。
北田内橋下「女をやることは男の本能じゃ! 女はおとなしゅう、男の性処理の道具となれ!!」
北田「男を性犯罪に陥れることは女の本能じゃ! 男はおとなしゅう、女の性処理の道具となれ!!」
おわかりでしょうか。
橋下さんの発言が全面的に正しいとは言わないけれど、少なくとも彼は北田師匠が妄想するような、上のような発言を、残念なことにしてはいない。
しかし、そのようなことを言った気がしたので、言われた気がしたので、取り敢えず言ったことにしてしまう。
それは、肩と肩が触れあっただけだけど、相手の男性がムカつくので尻を触られた気がした、触られた気がしたので、取り敢えず触られたことにしてしまうように。
一方、北田師匠はそうした相手に着せた濡れ衣をまるきり裏返したような、非人道的な発言をして憚らない。
例えばですが、男性が自らの欲望を全面肯定して、平然とレイプしまくりの社会が現出したら、女性の生命が蔑ろにされることが想像できます。
しかし現代社会はそれをまるきり裏返した状況にあると言えるのです。
フェミニスト――ではなく悲しいかな、「女性」という種全体には、「男性の生命の等閑視」という性癖があります。だから彼女らは男性の生命をどれだけ蔑ろにしても、それに気づくことができないでいるのです。
そう、「戦争」とはこうした女性たちの性的欲求不満が爆発して、人類が滅亡するのを防ぐために人類の英知が生み出した、窮余の策でした。敗戦までは日本の女性も戦争を大いに喜んでいたことが知られていますが、そんなの、当たり前のことです。そう、「戦争」で男性が死ぬことによって、女性たちは精神的にも経済的にも豊かになれるのですから。しかし冷戦の終結後、なかなか戦争というものがやりにくくなってしまいました。
そこでフェミニストたちは、リベラル男性を操り、弱者男性を殺戮させることを思いついたのでしょう。
そう、北田師匠たちリベラル男性が弱者男性をいじめ続けるあの振る舞いは、学術的には「鬼畜BL」と呼ばれる、フェミニストたちのためのポルノグラフィ、だったのです。