兵頭新児の女災対策的読書

「女災」とは「女性災害」の略、女性がそのジェンダーを濫用することで男性が被る厄災を指します。

「1stガンダムに女性ファンは少なかったと主張する兵頭新児氏とそれに対する反応」というデマまとめにつ

2014-05-23 14:51:02 | アニメ・コミック・ゲーム

 どうも皆さん、コンニチハ。
「『ガンダム』ファンの女子は少ない気がすると言っただけで政治的論争に組み込まれちゃった」、兵頭新児です。


 前回のブログ記事がニコ動で採り上げられたことも手伝い、かなり多くの方に今回の悪質なデマについて、冷静な判断を下していただけたようです。
 むろん、前回のコメント欄にも単なる罵倒などは数多くありました。しかしそもそもニコ動で採り上げられるという場合、トップページや動画再生ウィンドウの上のバーの表示を見て、そのリンクから飛んでくる方が多く、本文をよく読みもせず適当な罵詈雑言を残していくことがほとんどなのです。それを考えるに、ちゃんと読んだ方には大体、わかっていただけたのではと思っております。
 一方、まとめのコメント欄に「粘着」している方は、相変わらず夢の世界を漂っていらっしゃるようです。ぼくの「最初から『ボルテス』と比べてと言っている」との言い分が人口に膾炙し、さすがに無視できなくなってきたのか、最近では「兵頭の書き方が悪い、理解してもらえると思うな、誤解させたのが悪いのだ」といった主張が主流になっております。それを主張するにも「ひとまず、兵頭の最初の発言について、真意を理解した」ことが前提になるはずですが、彼らはただひたすらこちらを難詰するばかりで、果たして真意を理解しているのかいないのか、いまださっぱりわかりません
 ぼくの方も、仮にどれだけ敵対的であろうと罵詈雑言を並べ立てるのでない限りは、相手と対話を持つよう務めているつもりなのですが(その意味でtikuwa_zeroとか市川大河とか新井博之助とか鋼鉄サンボとかは最低ラインを超えた「人間としてアレな方」と言わざるを得ません。こうした中にも結構プロの書き手がいるのですから、恐ろしいですね)、話せば話すほど論理は飛躍し、彼らの主張はついにはぼくの発言、


『ガンダム』って何となく女性ファン少なそうな気がするけどな。シャアなんか明らかに市川治の系譜を狙ってたはずだが。
とは言え、やはりその市川治でもわかるように腐女子が「男の世界に乱入してきた存在」であることには原理的に変わりようがない。


 この上段と下段とが無関係である、一つのつぶやきの中に無関係な内容があることがプロのライターとしてけしからぬ、というところにまで、その言いがかりが「進化」してしまいました。
「とは言え」と断っているのだから話題がある程度飛んでいるのは当たり前だと思うんですけどね。
 兵頭の発言をねじ曲げた加野瀬、それに乗っかり罵詈雑言を並べ立てた者たち、彼らの振る舞いについてはスルーで、ただ兵頭が何気なくつぶやいた文章が文章として悪文であった(と彼には見えた)ことだけは絶対に許せず、狂ったように糾弾する。
 その情熱がぼくには理解できません。
 ……いえ、ウソです。
 大変に理解のしやすい話です。
 こういうの、日常生活の場面でも往々にして起こることですよね。


社長「A君、最近遅刻が多いね、君はクビだ」
A君「え? 調べてください、ぼくは確かに昨日、遅刻しました。が、遅刻回数そのものは他の社員よりむしろ少ないですよ」
社長「君は遅刻のことばかり言っているようだが、業績について思わしくないからクビだと言っているのだ」
A君「え? 調べてください、業績で言えばぼくはむしろ上位の方では?」
社長「君は業績のことばかり言っているようだが、勤務態度が不真面目だからクビだと言っているのだ」
A君「え? 調べてください……」
(以下永久に続く)


 社長の中では「A君をクビする」という目的だけが先行してるので、自己の論理矛盾について気づけない。というか、恐らくそんなことについては考えてもいない。
 上にわかりやすく会社コントを書いてみましたが、もう一つ書かせていただくと、ぼくは彼らの言動を見ていて、いわゆるオカルトのビリーバーたちの言い分を連想してしまいました。
 例えばビリー・マイヤーは多くのUFOの写真、8mmフィルムを根拠に「俺は宇宙人とマブだぞ」と主張し、UFOカルトの教祖となった人物です。彼の名前で画像検索すると、かなり鮮明なUFOの写真がいくつも見つかります。
 しかしそれら画像は模型の円盤を糸で吊っただけのものだということがコンピュータによる画像解析でわかっており、それこそ「信者」を除くと彼のUFO話を信じる者はいません。
 8mmフィルムでUFOが大木の周りをくるくる回っている映像があるのですが、調査してみると撮影場所にそんな大木はありませんでした。どうやらUFOのみならず、大木もミニチュアだったようです。
 彼の会ったと称する宇宙人はお約束通り美人なのですが、彼が持ち出してきた宇宙人の写真は、アメリカのテレビ番組の出演者の写真をそのまま写しただけの(確かテレビ画面をそのままカメラで撮影し、走査線すら入っていた)ものでした。
 しかしマイヤーさんは挫けません。
 大木が撮影場所にないのは「UFOが大木を放射線で汚染してしまったがため、過去に遡って大木を消去した」、宇宙人写真は「本物があったのだが悪の組織(FBI辺りだっけ?)に写真をすり替えられてしまった」と、必死の弁明を繰り返しています。
 これはむろん、「大木が元からなかったこと」を説明するための無理矢理なリクツなのですが、人類に平和を説きに来た宇宙人が放射線を撒き散らした挙げ句、その事後処理としてわざわざ時間を巻き戻すというのはどう考えてもマヌケな話です(後、この宇宙人って反原発で地熱発電推進派らしいんですね、どうでもいいですが)。
 宇宙人写真にせよ、証拠隠滅のために悪の組織が写真を盗み出すところまではわかりますが、すり替えられたというのは意味がわかりません(だってその偽物とされている写真、最初は恐らくマイヤーさんが自らの意志で発表してるわけですよね?)。
 要するに、矛盾の説明に追われて新説がボンボン飛び出してくるのはいいけれども、それらと「そもそもの問題」との整合性が全然取れていないわけです。
 今回の加野瀬の子分たちの振る舞いは、まさにこれだと言えるでしょう。


 加野瀬未友は上のデマまとめを作ると共に、周囲に「兵頭新児は『ぼくたちの女災社会』という本の著者だぞ」と吹聴して回っていました(以下参照。ちなみにツイッターを「女災」で検索すると、こうした人々の「読まずに判断」ぶりに頭がクラクラします)。

https://twitter.com/kanose/status/457770986851414017
https://twitter.com/kanose/status/458100681258172416

 そして上のまとめに「粘着」した者もまた、言葉に窮すると揃いも揃って『女災』に言及してこちらに罵声を浴びせてきました。もちろん、彼らが『女災』を実際に読んだ様子はどこにもありません。
 彼らの「粘着」の情熱がどこから湧いて出てきているのか、もうおわかりでしょう。
 こんなの、ミステリに喩えれば「
死体の前に落ちていた名刺の人物が犯人だった」くらいにモロバレなのですが、本人たちだけはそれに気づかないのです。
 とにもかくにも「相手が悪者だ」という「事実」だけが絶対で、「悪者」は何をされても文句を言ってはならない。それが彼らの考えです。これがアンチポルノ派やレイシズムや性犯罪冤罪と同じ図式だということは、もう説明の要もないかと思います。
 まさかとは思いますがこの人ら、普段は「ロリコンサベツ許すまじ」とか言ったりしてないでしょうなあ。


 さて、とは言え、ちょっと調べてみると今回の騒動を起こした加野瀬未友、元からこうしたデマコギーの常習犯だとのこと。論敵の発言を恣意的に切り抜き、晒し上げ、炎上させる。フォロワーを手先に使い、自分は決して議論に参加せず、遠くから様子を観察するというのがその手口のようです。政治家としては有能でしょうが、ぼくみたいな(ある種思ったことをそのまま書くだけの単純な)人間にとっては一番理解しがたいタイプの人間です。
 彼のデマタイトルも、当初は「1stガンダムに女性ファンは少なかったと主張する兵頭氏とそれに対する反応」というタイトルであり、後で兵頭新児氏とフルネームに書き換えられたという経緯があるのです。彼の目的が非常によくわかる話ですね。
 まあ、対象が無名ライターなのでこんな稚拙なやり方でも大衆は騙される、と思ったのでしょうが、どちらかと言えば加野瀬の悪名が広がる結果になったのではないでしょうか。
 もっとも、著名な方でもこんな幼稚な手段にまんまと引っかかる方がいたのには驚きました。例えば原田実氏は両まとめを見て加野瀬に軍配を上げていました。どうにも納得しがたく、事情をご説明するメールを差し上げたのですが、反応はありませんでした。
 まさかとは思いますがこの人、普段は偽史を批判なさったりしてないでしょうなあ。


 ……とまあ、前回の補足はこんなところで。
 実は今回の問題の発端とも言えるブログを読んでみたので、ちょっとそれについて書かせていただきましょう。
 このブログ主の主張はまず、「『ガンダム』ファンに腐女子は少ない」です。あくまで「腐女子」であり「女性」ではありません(まさか加野瀬、この辺もねじ曲げて拡散させたりしてないでしょうなあ)。
 彼の主張は雑駁にまとめれば「富野の女性観は伝統的な男女ジェンダーに忠実なモノであり、それは腐女子の嫌うモノだ」と言うことに尽きます。
 この分析は、恐らく正しいものです。そもそもぼくが『ガンダム』に女性ファンが少ないと感じたのはそれこそが原因でした
 ただし、ぼくは彼女らがそこまでリクツ通りの存在かな、とも思います。
 ぶっちゃけるとぼくは「オタク女子」と「腐女子」との厳密な区分けに、あまり意味を見出せません。なので正直、彼の言うことにそこまで賛成ではないのです。
「腐女子」というのは実はあの女どもの「モードチェンジ」の一形態であって、腐女子と言ってもBLのみにて生くる者に非ず、なのです。今の腐女子は美少女系の漫画やゲームだって愛好している層が多いはずです。むしろフェミニズムが夢想する「女性ジェンダーへのカウンター」といった理念を体現する腐女子は少数派のはず。
 いえ、「フェミニスト」すら実はあの女どもの「モードチェンジ」の一形態であって……えぇとほら、何て方でしたっけ? 何とか言うフェミ大臣がメイドコスプレをして顰蹙を買ったことがありましたよね。上野千鶴子師匠だってテレビに出ればあれに近いことは平然とします。
 つまり腐女子もフェミニストもただの「女」のモードチェンジの一形態に過ぎないのです。彼女らは場面場面に応じて実に都合のいいようにモードをチェンジさせる平成ライダーのような存在であり、それによりダブルスタンダード、トリプルスタンダードな女性ジェンダーを享受している存在なのです。
 いえ、BLも美少女系の萌えも嗜むこと自体は決して悪いことではありません。が、フェミニズムというイデオロギーを唱えながらそれらに無批判というのは平仄があわないでしょう。その意味で「フェミじゃない腐女子」は場合によっては美少女萌え話のできる、ぼくらの友だちであると言えますが、萌え文化を邪気なく享受する(その裏ではポルノを批判してみせる)「腐女子フェミニスト」はやはり、言行不一致だと言わざるを得ないでしょう。
 極端に言えば、フェミニズムはその偏向したイデオロギーで、ぼくたちと腐女子の仲の邪魔さえも、しているわけです。
 そう考えると、上のブログ主さんの怒りも何だかわかってきます。
 富野アニメを愛する彼にしてみれば、フェミニズムに囚われた者たちの偏向した視点が、富野アニメへの正当な評価を阻むものに見えた、言ってみれば自分と富野の仲の邪魔をされているように、見えた。
 それが彼の怒りの原動力ではないか。
 最後にちょっと付け加えておけば、ぼくは以前、美津島明様のブログ「直言の宴」に「
ボクと契約して、フェミニストになってよ!」という記事を寄稿させていただきました。ここでぼくは「オタク評論家」たちがフェミニズムによってオタク文化を評価することを


オタク文化の歴史は、それがそのままオタク修正主義の歴史でもありました。


正当に評価されてこなかったオタク文化の流れを、いつかオタク自虐史観から解き放ち、語り直すことができればいいな――とぼくはそんな風に考えています。


 と評しました。
 まさに、これは今回の件を「予言」していたかのように、ぼくには思われます。


 

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『ガンダム』ファンの女子は少ない気がすると言っただけで政治的論争に組み込まれちゃった件

2014-05-02 22:04:17 | アニメ・コミック・ゲーム

 どうも皆さん、コンニチハ。
「1stガンダムに女性ファンは少なかったと主張」した兵頭新児です。
 いや、実際には「気がする」と言っただけだったんですけど、それがここまで騒ぎになるのですから、大変に恐ろしいですね。


 先日、訪日したオバマさんを安倍さんが寿司でもてなした件について、ツイッターで以下のようなことをつぶやいていた方がいました。


 右派が「左派がまたも『安倍が寿司に三万円も使った、ケシカラン』などとバカなことをつぶやいていたぞ」と繰り返していたが、そんなことを言った者はいないぞ(大意)。


 どちらが正しいのか、ぼくには判断することはできませんし、「でも、言うヤツはどこかにはいるだろ、常識的に考えて」と思うくらいなのですが、しかしこれは確かに陥りがちな罠であるように思います。
「誰かが言ったぞ」ではあまりに曖昧ですから、仮に「山田君が言った、言わない」で揉めたと仮定しましょう。
 仮に「山田君は言ってなかった」のが事実だとしても、罠に陥った者はそれを知った上であろうと「いや、山田はともかく、しかし言ったヤツはいるぞ」「でも山田はそういうことを言いそうなヤツだ」「内心では思っていたはず」「いずれにせよ山田は悪者だから叩かねば」と自己正当化してしまう。
 こんなの、「チョンはみんな犯罪者」と言っているのといっしょなのですけどね。
 ぼくには本件も、これと同じだと思われるのです。


 まず、ぼくの最初のツイートを見てみましょう。


『ガンダム』って何となく女性ファン少なそうな気がするけどな。シャアなんか明らかに市川治の系譜を狙ってたはずだが。
とは言え、やはりその市川治でもわかるように腐女子が「男の世界に乱入してきた存在」であることには原理的に変わりようがない。
一方、「萌え」はその当時は「男が少女漫画を」といった理解をされていたはず。
しかし「萌え」業界にどれだけ女性が多いかは皆さんご存じな通り。
どれだけ頑張っても「レズソーシャル」の方が「ホモソーシャル」よりもキツい、という事実は変えられない。
https://twitter.com/hyodoshinji/status/457732068588285953
https://twitter.com/hyodoshinji/status/457732350768455680


 そしてこのツイート自体、加野瀬未友という御仁(詳しくは存じ上げないのですが、オタク界ではかなり古くから編集者、ライターなどをやっていらした印象があります)の以下のようなツイートに反応してのものでした。


腐女子ヘイトするような人は、大体ガンダムは最初から男性ファンのみで女性ファンはガンダムWの頃、あとからきたとか、そういう歴史的な大誤解を信じてそうという偏見がある。あとホモキモイと言うのと同時に淫夢とか「やらないか」とかのネタを面白がってそう
https://twitter.com/kanose/status/457589855002718208


 しかし加野瀬にとって、ぼくの発言がよほど腹に据えかねるものだったらしく、ぼくが上のようなことを「断言」でもしたかのようなまとめ、「1stガンダムに女性ファンは少なかったと主張する兵頭新児氏とそれに対する反応http://togetter.com/li/657745)」を作り、その捏造された発言があちこちに拡散される結果となりました。
 むろん、その結果、彼のまとめは


見出しで主張してると書いといて注釈で「気がすると言ってるだけです」ってすごい釣りだな。
https://twitter.com/koshian/status/458183943628410880


 と呆れられることになったのですが。
 そもそもこの話題、最初はあきまんさんが言い出したことであり、また他にもよりストレートに「女子などほとんどいなかったのだ」と断言しているブロガーさんなどもいらっしゃり(自分のことで手一杯で、ぼくもこれらは見ていないのですが)、上に挙げた加野瀬のツイートもそれに反応してのものであったわけです。
 にもかかわらず、何故加野瀬はぼくのどうということもない発言を採り上げ、まるでぼくが話題の発端であるかのようなミスリードをしたのでしょうか。
 
あきまん氏は大物で怖いので、無名ライターを血祭りに上げようという腹でしょうかね?
 しかし上の発言を見れば自明な通り、文脈がそもそも、違うのです。
 ぼくはあくまで『ガンダム』がシャアという、市川治の系譜を狙ったキャラクターを登場させながらも女性ファンを獲得できなかったように思える、と主張しているのです。
 ここは非常にややこしいハナシなのですが、ごく簡単にご説明しましょう。
 市川治さんは有名な声優さんで、『ガンダム』に先行するロボットアニメ、『勇者ライディーン』のシャーキン、『超電磁ロボコン・バトラーV』のガルーダ、『超電磁マシーンボルテスV』のハイネル、『闘将ダイモス』のリヒテルなど美形の敵役を演じ、多くの女性ファンを獲得したのです*1。
 それを真似たにもかかわらず……というぼくの発言は、この当時の女性アニメファンの多さを認め、しかしその上で『ガンダム』は著名度に反し、それらに比べ女性ファンが少ない気がする、と言っただけのものでした。
 しかし加野瀬は上に挙げたぼくのつぶやきの直後、


その市川治氏が演じたハイネルに女性ファンがいっぱいいたという話はもちろんご存じですよね
https://twitter.com/kanose/status/457762266528485376


 と実にマヌケな質問をしてきたのです。
 彼は最初っからぼくの発言をちゃんと読めていなかったのです。
 何というか、ここまでマヌケな発言をしてしまったら尻尾を巻いて逃げ出し、一年はネット断ちでもしてそうなものですが、加野瀬は実に邪気なく上のやり取りをもまとめにも掲載しています。
 実のところ、見る限り加野瀬はまとめにおいて殊更恣意的に発言をセレクトしたりはしておらず、また「兵頭は気がすると言っただけだ」と注釈を加えてすらいます(ならタイトルを変えろよと思いますが)。しかし、なのに、それでも実に多くの人間がそうした文脈を解さないままに「兵頭はミソジニストだ、女性ファンの存在を否定する歴史修正主義者だ」などと泣き叫び始め、まとめは四日日経った現時点で四万近い閲覧がなされています*2。
 もっとも、まとめはまえがきなどでミスリードを誘う仕掛けにはなっております。この程度のことで実に多くの人間が単純に騙され、彼の「妄想史観」を共有するのですから、チョロいものです。
 誤解を解こうと、ぼくの方もまとめを作りました。「『ガンダム』ファンの女子は少ない気がすると言っただけで政治的論争に組み込まれちゃった件
http://togetter.com/li/657811)」がそれです。
 ここでも、また両まとめのコメント欄でも、ぼくは何度も何度も手取り足取り噛んで含めるように説明を繰り返したのですが、彼らは一向にそれを認めようとはせず、いまだ「ぼくのかんがえた兵頭新児」の発した「非実在発言」に対し、おぞましいまでの憎悪を炸裂させています。
 繰り返す通りぼくの発言は「『ガンダム』に女性ファンなどいない」ではなく『ボルテス』などとの比較論だったのですが、そこに言及する者は、ほとんどおりません。専ら『ガンダム』の女性ファンが少ないか否かが議題になっており、論点が違うと言うことが全く理解できないご様子。
 比較的冷静にぼくと対話してくれた御仁が、この件(『ボルテス』などとの対比)について問い質したとたん、急に錯乱してこちらに罵詈雑言を浴びせ始めた時はゾッとしました。
 また、彼ら彼女らの「反論」の多くは「経験上、女性ファンだっていたぞ」といったもの(はっきり言うと「ワタシの経験を無視することは悪である」との情念に支えられた主張)がほとんどであり、男女比率などに言及したものは、あまり見当たりません。
 いえ、別に統計などないでしょうから、「根拠が俺」なのは仕方がありません。問題はこちらを「根拠は俺」と罵りながら、自分たちも実に邪気なく「根拠は俺」しているということ、換言すればこれは客観的事実の争いではなくポリティカルコレクトの争いに過ぎない、ということなのです。
 この辺り、男女の論争で陥りがちな


男「概観すると」
女「いや、でも私は……」


 という徒労に近いやり取りの繰り返しにも見えます。
 そして、あれだけ「証拠ガ-!!」と繰り返した彼らは、男性ばかりが集まっている「アニメ新世紀宣言」*3の写真を見せられた時は、一様に押し黙っておりました。大変に、格好のいい態度ですね。
「歴史修正主義者も何もまずお前らが他人の発言を修正しているだろ」と言いたいところですが、彼らは何ら事実に「修正」を加えないままに各々の脳の「補正機能」で「認知を歪める」という荒技をお使いなので、そのテクニシャンぶりにはさすがに舌を巻かざるを得ません。


*1 これら作品は長浜忠夫総監督によって作られ、「長浜ロマンロボ」などと呼ばれたりもします。
*2 バカバカしくてしばらく放置していたのですが、今見に行くといまだ「妄想史観」の上で、「当時の『ガンダム』の女性ファンが多かったことが証明されたぞ!」などと(それほど精度のあるとも思えない根拠を盾に)絶叫を続けていらっしゃいました。お元気そうでいいですね。
*3 1981年に行われた、劇場版『機動戦士ガンダム』の宣伝イベント。「アニメを見るティーンエイジャー」が一定層に増えた、言わば「オタクの誕生」を象徴するイベントでした。ちなみにこのやり取りはぼくのまとめのコメント欄で発生しました。


 彼らのこうした病的な「認知の歪み」はどこから来ているのでしょうか。
 上に挙げた加野瀬の発言からは、


「女性を排除するホモソーシャリティ()は絶対悪なのだ」→
「だから女性の『ガンダム』ファンは大勢いたことにしなければならないのだ」


 という幼稚な政治性が見て取れます。
 ファースト『ガンダム』にどれだけの女性ファンがいたにせよ、彼の言及する『ガンダムW』辺りからかなりストレートに女性受けを意識し始めたこと自体は事実であり、彼の情念がどこにあるのかは明らかでしょう。
 彼の追従者の論調も同様で、


あーここが話題の出所なのか なんというか2chまとめでよく見るような女性ヘイト精神の持ち主がたとえHNとはいえ存在することにちょっと感動
https://twitter.com/BlackHandMaiden/status/458100365682941953


 などが、その代表的な反応と言えるでしょうか。
 少なくともあの発言だけでそれに「ヘイト」を見て取ってしまう心理は、恐ろしい以外の何者でもありません。
 また、まとめに集まった人々の恐らく多くは、「何とはなしに騒ぎに釣られ、ロクに文章も読まずに暴れていた」だけの人たちでしょう。しかしそういった一度や二度のコメントで終わった人々と異なり、執拗に執拗に兵頭に罵倒を繰り返し続ける面々のアイコンを見ると、多くが以前ぼくと(フェミニズム関連で)論争をしていた御仁たちであるとわかります。まさに「再生怪人大集合」といった様相を呈しているのです。
 つまり、これは最初から加野瀬にある政治的意図を持って仕組まれた事件だったわけですね。
 加野瀬はぼくの発言を拡散させつつ、あちこちに「この兵頭は『ぼくたちの女災社会』という本の著者だ」と触れ回っておりました。まとめを見ても、ぼくがその著書を出したことについての罵詈雑言が並んでおります(いつも通り、内容に言及している人物は、見当たりません)。
 そもそもぼくはこの件に至るまで加野瀬と関わったことなど、一度もないはずなのですが、そんな彼がここまでぼくに異常な憎悪を募らせ、攻撃性を発揮するのは、まさにぼくが『女災』の作者であること、が理由であるようなのです。
 いや、しかし、そもそも、まず真っ先に言わねばならないことは、そこまでぼくが憎いのであれば、発言をねじ曲げるなどと言った姑息な手を使わず、ぼくの最初の発言の中の「ホモソーシャル云々」といったフェミニズム批判をこそ採り挙げ、それに反論してくればいいのに、ということです。しかし彼らはそれをなさるご様子がありません。論戦に勝つ自信がないのかも知れませんね(まあぼくもここまで現実を自由自在にねじ曲げる御仁と論戦で「勝利」する自信は全くありませんが……)。
 ここしばらく、まとめの方はすっかり主張が「誤解を招かせた兵頭が悪い、謝罪しろ」へとトーンダウン。これ、勝手に騒いだマスコミが振り上げた拳を降ろす時の常套句ですよねw
 こっちは最初から加野瀬がミスリードを誘うような書き方をしているのだ、と繰り返しているのですが、それはいまだご理解いただけません(加野瀬の巧みな(?)ところはまとめなどには出現せず、フォロワーに暴れさせている点です)。
 こうなると彼らは純粋にワイドショーや謝罪記者会見のお好きな、「そういうマニア」なのかなあという気もしないではありませんね。
 中には兵頭が自著を「ご本」と読んでいることを、人でも殺したみたいに罵っている方もいました。もう「兵頭を否定したい」という衝動だけは大きく大きく膨れあがり、しかしそのタネは見つからない、という状況ですね。


 さて今回、加野瀬に追従していた「アレ」な人々の中には女性らしき人もいましたが、殊更女性が多い感じも、しませんでした。


 ――女性は大勢いたんだーーー!!


 あぁ、はいはい。
 しかし、当然ながらこれも印象論にならざるを得ないモノの、やはりぼくには男性が多いように感じられた。そんなためか、彼らについては、

手柄に焦ってるチンポ騎士団*3ってほんと怖いですね

 といった感想も聞かれました。
 つまり、大ざっぱに言えば本件は、「フェミ対兵頭」のバトルと言うよりは、「フェミに親和的な男性たちVS兵頭」のバトルと表現する方が近い。
 恐らく彼らにとっては「自分の愛するオタク文化に女性が理解を示していること」が誇らしくてならないのでしょう。
 いえ、その気持ちは大変よくわかります。
 しかし、自らのそんなちっぽけなプライドを誇示するため、第三者の発言をねじ曲げ、執拗に執拗に狂ったことを言い立てることが正しいとは思えません。
 彼らは実に楽しげに、「兵頭の周りには女性ファンがいなかったのだ」などと幼稚な物言いを繰り返しておりましたが、それは彼らのそうしたコンプレックスを実にわかりやすく現しています。


『初期のオタクに女性はいない』って言う人ってよほど狭い世界でしか人間関係が無いとしか思えない。俺の感覚では『40代を越えるとオタクは女性の方が明らかに多い』くらいに見えるんだが…
https://twitter.com/syuu_chan/status/458059813243469824


 などがそれで(ただし、上の御仁は直接ぼくを攻撃しているわけではありません)、


自称オタクが「友達いないんですかぁ~」みたいな煽りをする時代になったんだねえ
https://twitter.com/kimoist/status/458949041364021248


 と呆れられておりました。
 まさかとは思いますがこの人ら、シバキ隊とかに対しては「童貞サベツ許すまじ」とか言ったりしてないでしょうなあ。
 実はぼくはとある女流漫画家さん(有名な方です)の「シャアとアムロって怪しいよね」といった萌え話におつきあいしたこともあり、そうした経験を踏まえてもそこまで多くないよな、と感じたと言っているのですが。
 裏腹に彼らが論戦中、ぼくに味方してきた女性(彼女はオタではありませんでした)に対して「オタでもないクセに引っ込んでろ!」などと罵倒を投げつける一幕もありました。
 
まさかとは思いますがこの人ら、兵頭に対しては「ミソジニスト」とか言ったりしてないでしょうなあ。
 いずれにせよ、彼らがオタクの代表者ヅラをすればするほど、オタクは評判を落とすことでしょうね。
 女性と言えばもう一件。本件についてツイッター上で言及していた腐女子ライターさんがいたので、ついリプを飛ばしたのですが、実情をご説明すると一発でご理解いただき、またこちらが恐縮するような丁寧な謝罪の返事をいただきました。
 彼らの振る舞いは、常識的な女性であれば許されないことだと、すぐに理解できることなのです。
 何だか彼らを見ていると、「
目を血走らせたチンポ騎士団にストーキングされてるガンダム女子とかいそうで、(´・ω・) カワイソス」といった感想も、抱かなくはありません。彼らは恐らく「我こそはフェミニズムを理解する正しい男性」という自意識をお持ちでしょうが、彼らに「味方」される女性たちには同情を禁じ得ませんね。


 まとめに入りましょう。
 彼らの「目的」は「ミソジニスト男性」を批判することで「チンポ騎士団」としての任務を全うすることでした。
 事実、ぼくは本件で何十回となく「ミソジニスト」呼ばわりを受けましたが、少なくとも今回のぼくの発言と彼らの「解釈」とは何万光年もの隔たりがあり、それはもっぱら加野瀬たちが一生懸命(いや、天然だと思いますが)イメージ操作を行うことで捏造した「非実在兵頭新児」を世間に流布したことによる「成果」でした。
 結局、彼らは自らの「正義」を遂行するために「非実在」の悪者を必要とした。
 しかしあきまん氏に手を出すことは恐ろしく、無名なライターをスケープゴート――否、ウィッピングボーイ*4として選んだ。
 こうした現象を、学術的に何と呼ぶか、ご存じでしょうか?
 そう、「女災」ですね。
 これは性犯罪冤罪と構造が全く同じです。
 彼ら「チンポ騎士団」は、正義の味方たらんとして無実の人間に濡れ衣を着せ、一斉に殴りかかる暴徒たちでした。
 何故彼らはそうも狂ったことをするのか。
 結局、正義というのは「明確な悪」――つまりここならばフェミニストが糾弾するような、わかりやすい女性差別的男性ですね――の像を結べなくなるにつれ、本質がぼやけていくものなのです。
 そして残念なことですが、彼らの正義はホームレス狩りと変わらないところまでに堕していることが明らかになりました。「とあるアニメ作品に女性ファンがいないのではないかと印象を語ること」までがタブーとなり、それを犯した者はしつこくしつこく嫌がらせを受けなければならないというレベルにまで落ちてしまっていたのです。
 まさかとは思いますがこの人ら、普段は「表現の自由」とか言ったりしてないでしょうなあ。


 今ちょっと見ると、彼らの一人が「兵頭はプロのライターではないのではないか」と言っておりました。
 これは驚きました、ちょっと調べればすぐに(『ガンダム』問題とは大幅に異なり)客観的な事実が明らかになるにもかかわらず、彼らは平然とこうしたことをつぶやくのです。
 彼らが既に「脳内勝利」を迎えたことを、これは示しています。
 これって、現世で行き場をなくした人々がオカルトにハマり、「宇宙人に認められたワタシ」を夢想するのと全く、同じことですよね。
 そして彼らや彼らのお友だちたちはこれからいよいよ、幻想の世界へと旅立つことになるのではないか……。
 その理由は何か?
 いえ、それについては、本ブログをお読みの方は、既に重々おわかりのことではないでしょうか。


*3 ツイッター用語であり、「女性に下心があるため、女性の味方を演じる連中」を指す言葉のようです。発案者は島本秋氏か?
*4 王子の学友になり、身代わりに鞭打たれる係の少年。王子様をぶつのは恐れ多いので、「ぶってもいい少年」が用意されるのです。腐女子、チェック急げ!

 

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