北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第125回 通州・小営房(胡同) 清の軍隊駐屯地があった場所

2016-12-24 20:00:51 | 通州・胡同散歩
小営房(胡同)。

以前ご紹介した「頭条胡同」の東端少し手前から南方向に走る路地。その路地の
東側一帯が「小営房(胡同)。


(写真向かって左側一帯が「小営房」。)

清代、この胡同は軍隊の駐屯地でした。その駐屯地の名は「東営房」。これは通州城内西側
にあった駐屯地と対を成していました。時代が変わり1913年前後に一般住民の住む胡同が形
成されたようです。

下の写真は光緒九年(1883年)の旧通州城地図の一部。「東営房」「西営房」の名を確認する
ことが出来ます。





さて、一枚目の写真を撮ったのは本年2016年12月上旬ですが、下の写真は3年前の11月中旬。



この下の写真を見て、ビックリ。右側に写っているのは、なんと「頭条胡同」で伝書鳩を
30羽飼い、お茶をご馳走してくださったDさんではありませんか。
3年前に出会っていたことなんて、私も忘れていたし、Dさんも忘れていたようです。

当時は胡同を歩いていても地元の方と知り合いになる心のゆとりなど全くありません
でした。今振り返ると、当時、胡同で出会ったいろいろな方ともっと知り合いになって
おけばよかったなぁと反省しています。

時間を三年後に戻し、胡同歩き続行。


前方からワンちゃんがやってきます。


しばしワンちゃんと遊んでしまいました。

ワンちゃんと遊んでいる場合ではありません。



下の写真の左手前のお宅の壁。


3年前は壁に屋根からヘチマが下がっていて、印象に残っています。







このヘチマのお宅から前へ。気分を変えて本年11月上旬に写した写真をアップして
みました。この頃はまだ緑があり、日の傾くのがゆっくりでした。


左手前のお宅の角を左に曲がります。






上の写真の左のお宅。他日に撮った次の写真をご覧ください。



ちょうどよく3年前の写真がありましたのでアップしておきます。


当時は、一番手前にはどなたも住んでいなかったようです。
ずいぶん年季が入っていて個人的にはお気に入りの建物でした。「いつごろ建てられたん
だろう」「窓の形がおもしろいなぁ」「建てかえられてしまうだろうな、きっと」。そん
な興味や予感とともに写真を撮ったのを今でもはっきり覚えています。



現在の窓は次の通り。


この界隈で多く見られるようになった白い窓枠。寒さ対策でしょうか、以前に比べ
小振りになっています。

さらに進み、



突き当りを右へ。



物置は変わりませんが、道路が舗装されているためか3年前とは印象がだいぶ違っています。









突き当りを右に曲がる。そんなことは分かっているのに、なぜかここに来ると方向感覚に狂いが
生じ、自分が一体どこにいるのか位置づけが出来ず、一瞬迷路にでも迷い込んでしまったような
錯覚に陥ってしまいます。





ご覧になってもお分かりのようにこの界隈のお宅はすっかり建てかえられています。






左側のお宅の妻側の壁に吉祥紋様の「梅」。









突き当りを右に曲がり、まっすぐ行くと出発地点に戻ります。

出発地点に戻ってしまうと言えば、老舎の『駱駝祥子』に胡同の特徴の一つを描いた
こんな一節があり、しかもその胡同のあり方が彼が虎妞(フーニユ)との関係について
あれこれ考えを巡らす場面に登場している点が、実に興味深く思われます。訳として、
立間祥介、中山高志お二人のものを挙げておきました。

他還記得初拉車的時候、摹仿着別人、見小巷就鉆、𤔡是抄点近児、而誤入了羅圈胡同:
繞了個圈児、又繞回到原街。(「十」より)

訳「彼は車引きをはじめた当座、近道をしようというので、見よう見まねで盲めっぽう
に横町にとびこみ、それがなかで、ぐるりと曲がっていて、でてみたらなんのこと
はない、はいったところだった、ということがあつた・・・。」(立間祥介訳・岩波
文庫)

訳「彼の記憶にまだありありと残っていることだが、最初車を引いた時分人のまねを
して、小さな路地を見ると少しでも近道になるだろうと思って、すぐにも跳び込ん
で行ったものだ。たいていは袋小路で、ぐるぐる回るだけ回ってまた元の所へ出て
くるのだった。」(中山高志訳・白帝社)







下の写真に鳥籠が写っていますが、このお宅は以前ご紹介した「南二条(胡同)」の東端に
あったお宅です。



上の写真を撮ってからほぼ一週間後の11月下旬、他の胡同を歩いた帰りに再びこの胡同を訪れて
みました。すると胡同(の景観)を守ろうとしている方たちに遭遇。このお二人はこの界隈の住民
の方たち。








荷物を積んだ三輪車をひき、このように一軒一軒回って歩いていらっしゃるんですねぇ。
なお、手前のうしろ姿の方はこの胡同の方。一番奥の男性はこの界隈担当の清掃員の方です。

作業もひと段落したようで、世間話に花が咲き始めました。



かつてこの胡同は旧通州城を守備するために清の軍隊が駐屯していた場所。
21世紀の今、女性たちがこの胡同を守っています。

帰宅途中の南二条を歩いていると空から鳩笛の音が降ってきました。
頭条胡同にお住まいのDさんが大切に育てている伝書鳩たちであることは言うまでもありません。




 
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