北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第116回 通州・南二条胡同(その一)胡同のおちゃめな花

2016-11-16 13:40:23 | 通州・胡同散歩
今回は南二条胡同をご紹介。
名前の由来につきましては、前回の『通州・頭条胡同(その五)影壁と“鳩の家”』を
ご覧ください。



胡同入り口にこんな貼り紙。



「優質煤」・・・「燃焼時に発生する一酸化炭素などの有害物質の少ない練炭」販売の
お知らせ。



この胡同は少し湾曲していて、見通しが微妙に悪いところが奥床しい。









前進方向右側。



不意に目に飛び込んできた景色。
瓦に見られる小刻みな律動感、庇の色彩などが作り出す諧調が心地よい。



左側のお宅の通路で子供がオモチャで遊んでいました。



入り口に積み上げられた煉炭。胡同入り口の貼り紙に書かれていたもの。
日本の家庭用より小振りで、一個の燃焼時間が日本のものより短いのではないかと思われます。
「煉炭」は中国語で「蜂窩媒(fengwomei)」。



こちらは、ご覧のように「福」と書かれた貼り紙。



「福」は、しあわせ・幸運を招き寄せる、お目出度い文字。
この字を逆さまにすると「福倒了」、これは「福がやって来た」を意味する「福到了」と同じ発音。
ともに「hudaole」。音を掛けているのです。
金魚の絵。魚は中国語で「yu(ユイ)」。「余裕」の「余」と同音で吉祥図。



右側のお宅の玄関。



このお宅の玄関の前を通るといつも気になること。
なぜか、いかにも使いにくそうに取り付けられた取っ手・把手。



そこで私めが、下のように取り付けなおしてみました???



玄関脇に置かれた門墩。







門墩と同じ機能を持っていますが、ここに見られるのは「門枕石」。



玄関脇に何気なく置かれた石。



胡同を歩くようになってからと言うもの、このように何気なく道端に置かれた石に親しみを
覚えるようになりました。



窓が塞がれたこのお宅、もとは大きな四合院だったのでは?と思われます。



西端から東端を撮ってみました。





玄関脇には、20台の電気メーター。





置かれた門墩もなかなか立派です。





太鼓の部分の彫り飾りが気になったのですが、残念なことに削り取られているので
よく分りません。



上のものには四足動物が二頭、下のものには「鳥」(?)が二羽見えるのですが。



玄関の中(門洞)に入り、突き当たりには影壁(のようなもの)。



屋根の裏の部分。



お宅によっては壁面に絵が描かれていることがあるのですが、ご覧のように何も描かれておりません。
でも、木材の渋い色と漆喰の色の取り合わせが光を放っています。



敷地の中に入ります。



右側には建物の壁。そこで左へ。



少し行くと足元にペットのウサギ。この界隈の胡同ではウサギをペットとして飼っている方が
多いのです。実際的には、幼い子供たちの遊び相手なのでしょう。ウサギは繁殖力旺盛な動物。
この辺にも北京の皆さんに愛される理由があるように思われます。



突き当りを右へ。



さらに奥へと。



写真は突き当りから右方向を写したもの。通路を挟んで住居が整然と並んでいます。



右方向は行き止まりになっているので、左へ。



今度は突き当たりを右。



右へ曲がってほんの少し行くと、突き当たりのお宅の玄関脇に、やはりウサギ。



左方向へ。



ここが終点。



ここまで歩いてみると、表から見たよりも東側内部が広く感じられました。どうやら、かつて東隣り
との境にあった壁を取り払った結果のようです。


ところで、今回、敷地内を案内してくださったのは、Wさん。年齢は秘密???

写真を撮らせて頂きたい旨を伝えると、こんなお茶目なポーズ。



その楽しいお人柄に、思わずカメラを落としそうになりました。
でも、これだから胡同歩きは、やめられないんだな!!
改めてそう思う瞬間でした。





次回は、この玄関前辺りからさらに南二条胡同をご紹介いたします。


(追記)曲がりくねった通路についての覚書き

この敷地内を歩いてみて、改めて感じたことを取り急ぎ次に書いておき、今後の胡同歩きに役立てたい
と思います。

1、一見雑然としているように見えながら、そこに秩序(のようなもの)が感じられる。
2、くねくねと曲がりくねった通路。そのため「奥行き」が実に“深く”感じられる。
3、くねくねと曲がりくねった通路。この通路は果して単なる「偶然」の産物であるのかどうか。
  住民の人たちが意識しているかどうかは定かではないのですが、私なりにあえて書けば、心
  の奥深いところから生まれた内的必然性の現れのような気がする。この内的なものが先天的
  なものか後天的なものかは不明。
4、北京の街は、中軸線に沿って左右対称に出来上がり、そこを縦横に走る道も整然としていると
  言われている。確かにそれは真理。しかし、現実的にはそれは一面の真理。 現実の北京の街
  は、複雑でもっと魅力に富んでいる。その精髄が“胡同”だと言ったら、言い過ぎか?
  北京の街を単純化してしまうことは、利便性や効率のよさを追求していることに他ならない。
ギリシャのプロクルステスのようなことをするのは、大いに問題。
5、この「くねくね性」はもともと「四合院」に見て取れる。例えば宅門を入ったところに設置さ
  れた「影壁」。そもそもこの壁が置かれているため、直進などできないようになっている。四
  合院住宅の対称性を「影壁」が破っている。それに「東南」隅に配された宅門。これも同様。
6、「直線性」と「くねくね性」。単純な言い方になるが、この二つの性質の対立・混在・融合が北
  京の街を魅力的なものにしている。この二つは互いの補完物になっているのか?
7、もう1つあるが、ここでは書けない。
8、「くねくねした道」の誕生した場所・生まれ故郷を訪れてみたい。(11月18日晩追記)



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