30日の東京集会・60年安保闘争を想起する

2015-08-31 16:08:51 | 日記

30日の東京集会・60年安保闘争を想起する

 

   あらゆる報道機関が8月30日の「全国統一行動100万人大行動」を報じた。かく言う私も全国300箇所以上で開かれた地元の集会に参加をした。そして次の日、東京集会の光景を報道で見て、55年前の「60年安保闘争」の記憶が蘇った。

 1960年6月15日、闘争の最中、国会前のデモ隊と警官隊の衝突の中で東大生・樺美智子さんが死亡した。「安保自然成立6月19日」の4日前の出来事である。そして6月18日、樺美智子さんの追悼と抗議のデモが展開された。空前の規模となる30万人の集結である。そのデモ隊は、お互い手を握り合い道路一杯になっての「フランスデモ」である。とても許される行為ではない。しかし、沿道に止まっている電車、バスの中からは乗客が窓を開けての声援をしている。沿道からも手を振り、拍手をしての応援の光景があった。私はそのデモ隊の中にいた。涙がとめどもなく流れる。しかし、しっかりと握り合った手は涙を拭くことができない。そのデモ行進と国会を取り囲んだ30万人の記憶が、今回、30日に集会を見て記憶が蘇った。

 しかし、その取り組みも「6月19日・0時」の「時」を止めることができなかった。そして岸首相は退陣する。その孫、安部晋三首相は、今回の大衆の行動をどのように受け止めていただろうか。その時の岸首相の言葉は忘れない。「国会周辺には大勢が集まっているが、この同じ時刻、後楽園のプロ野球ナイターの観戦に多くの市民が集まっていることも見逃せない」と。

 次の日の記者会見で菅官房長長官が述べている。「一部の野党、マスコミから『戦争法案』『徴兵制の復活』などと宣伝されており、大きな誤解が生じていることはきわめて残念だ」と述べた。 そのうえで、菅氏は「国民の生命、平和な暮らしを守るのは政府の責任」と強調。「誤った認識を解く努力をしていきたい」とし、引き続き同法案の今国会成立をめざす考えを示した。

  では問いたい。その不安や疑問をいだく国民に対し、政府(安倍首相)はきちんと答えているのかと。答えが無いからこそ、国民の8割が「わからない・不安」と答えているのである。そこにきて、大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長の発言である。自身のツイッターで「安全保障関連法案に反対する市民団体が主催した30日の国会周辺の集会に関して、日本の有権者数は1億人。国会前のデモはそのうちの何%なんだ? ほぼ数字にならないくらいだろう。こんな人数のデモで国家の意思が決定されるなら、サザンのコンサートで意思決定する方がよほど民主主義だ」と記している。まさに岸首相の「ナイター観戦」の発言と似ている。8割の国民を愚ろうするものとしか言いようがない。

 唯一つ残念なことがある。それは労働組合の組織的取り組みの無さである。60年安保闘争は、例えば4月27日、全国タクシー運転者共済組合連合会が約300台で道路運送法改悪反対・安保反対の請願行進を東京で行っている。さらには、6月4日、総評は時限ゼネストを指令、全国で460万人以上の労働者がストに参加している。

 「時」は未だ定まってはいない。60日ルールか、二院制の尊厳を掛けて参議院での採決か。よってまだ時間はある。再度、「2015年度空前の取り組みが全国で展開」できないか。その時、労働組合の決断が示せないか。安保法廃案の決め手はここにあるとも考える。労働組合指導部の決断を期待したい。

  

 60年安保闘争。6月18日国会を取り囲んだ「反対の波」(世界百科事典より)


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