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2022年は客観的な予想を心がけます。

第48回宝塚記念(GI)回顧

2007-06-25 23:13:52 | 回顧
【馬場】Aコース。朝方から霧雨が降り、3時過ぎからは激しい降雨。内側が荒れはじめ、外を通る馬がほとんど。タフな馬場となった。

12.1 - 10.5 - 10.9 - 11.9 - 12.1 - 12.3 - 12.7 - 13.0 - 12.3 - 12.2 - 12.4=2:12.4

【展開】ローエングリンがハナ。押してもAメインは行けなかった。2ハロン目から10秒5-10秒9-11秒9と速めのラップを刻み、1000㍍通過は57秒5。馬場を考えれば明らかなオーバーペース。縦長の展開だが、後続もかなりの速いペースでの追走。有力どころは中団の内から、ウオッカ→サムソン→ムーン→ポップロックの順。先行馬のバテた3角で一気に馬群が凝縮。大外からサムソンが抑え切れない手応えで進出し、ワンテンポ遅らせてムーン、ポップと続く。ここで先行馬は全て壊滅。最後は有力馬同士のタフな叩き合い。

 海外での武者修行を終え、ひと回り大きくなったアドマイヤムーンが、上がり3ハロン36秒9の消耗戦を制した。この中間は、前走の香港戦で減った馬体を回復させるために帰厩が遅れた。急仕上げは否めなかったものの、最終追いではマイルから飛ばして終い11秒6と抜群の動きを披露。何とか間に合った。6番枠から好発を決めると、スッと馬場のいい外めへ。引っ張りきりの手応えで、前のMサムソンを見ながらの競馬。乱ペースに惑わされることなく淡々と後方を追走。3角でサムソンが早めに進出するも、慌てずに仕掛けを待つ。残り600㍍標識からジワッと大外を進出すると、直線入り口ではサムソンの1馬身後方まで迫る。そこから、満を持して追い出すも、さすがは2冠馬だけに相手も必至に食い下がる。坂上の残り80㍍のところでようやく抜け出し、タフなレースに終止符を打った。晴・雨を問わない強靭な末脚はお見事だった。鞍上の岩田も冷静だった。

 2冠馬メイショウサムソンは底力を存分に発揮させたレースだった。道中は17番枠から中団外めを進む。先行馬がバテた3角で馬群が凝縮し、そこから抑え切れない手応えで大外を進出。直線入り口では早めに先頭へ立つ。天皇賞はこれで押し切れたが、今回は直後のAムーンにマークされる。直線で抜け出すも、すぐさま迫られ馬体を併せる。だが、そこから左手前に替え、もうひと踏ん張り。ゴール前で僅かに屈したが、底力を十二分に見せ付けた内容だった。力の要るタフな条件になったのは、欧州血統のこの馬には向いた。直線で舌がハミを越しながらよく頑張った。

 3着のポップロックは過去最高と言っていいほどのデキ。道中は無理せず後方を進む。前のAムーンを見ながらの競馬。大きなトビながら馬場を苦にせず、楽な手応えで追走。Aムーンが動いた三分三厘で連れて進出。だが、反応の違いで突き放される。直線で大外からジワリと追い上げるも、力の差を見せ付けられる格好となった。ゆったりの競馬が合うだけに、もう少し距離があったほうがいいか。

 4着のアドマイヤフジは道中、無理せず後方を進む。これはペースを察知した鞍上の好判断。無理せず馬の行くに任せた道中。三分三厘で手応えは良くなかったが、バテた先行馬を捌いて外めへ。直線でジワジワ追い上げ、見せ場を作った。今は発馬で行き脚がつくようになったし、今なら流れに乗りやすい2500㍍あたりがベストなのかも。

 ファストタテヤマは年齢を重ねたことで中距離がベストになった。本来なら雨馬場を苦にするタイプだが、この日は全く問題なかった。むしろ、雨馬場で消耗戦になったのはステイヤー戦を中心に使われてきた本馬にとって幸いした。中距離で流れに乗れれば、まだまだやれる。

 カワカミプリンセスは課題の発馬で行き脚がついたのは良かったが、その後に鞍上の武幸が制御し切れずに外へフラつき、インティライミの進路を妨害してしまう。3角ではバテた先行馬が早々と脱落。いつも違い、4角では押し出されるように先頭へ。そこから直線で抵抗する脚は残っていなかった。前走でマイルの速い流れを経験したことで、発馬と勝負どころの反応は予想以上に良くなっていた。だが、今回はそれが裏目に出てしまった。昨年までの後方からズブさを見せて根性で伸びる戦略だったら、上位争いに加わっていただろう。鞍上の騎乗ミス。

 本命視したインティライミだったが、残念ながら力をフルに発揮することができずに終わってしまった。下見どころから二人引きの厩務員を引っ張り、顎をグッと引いて抜群の気合い乗り。凄まじい集中力だった。発馬直後から重心の低いフォームで鞍上との呼吸はピタリ。だが、ゴール版付近で内かたウォッカに寄られ、更に前のカワカミが外へ膨れたために手綱を引っ張る大きな不利。外のダイワメジャーとも接触した。そして、直後の1角ではウオッカ、ダイワに進路を阻まれた。普通ならここで終わってしまうものだが、中団馬群のなかで集中した走りを続ける。三分三厘でも抜群の手応え。直線に期待を持ったが、そこからのひと踏ん張りがなかった。度重なる不利にも動じなかった精神力は高く評価したい。不利なく中団を進めていれば上位争いしていたことは間違いなかったろう。佐藤哲も「一発狙っていただけに残念」と。重心の低いフォームで道悪は大歓迎。本命にして良かった。

 64年ぶりに牝馬によるダービー制覇のウオッカ。並み居る古馬を抑えて堂々、1番人気に。だが、下見どころでは耳をキョロキョロと動かし、少し集中力を欠く面が見られた。2番枠からダービーと同じように前に馬を置きたかったが、雨馬場で他馬が外めに持ち出したために、ポッカリ前が開いてしまう。スタンド前でモロに掛かり、更にインティライミと接触するアクシデントが。本来なら息を入れるはずの1角でも前に壁を置けず。3角手前までずっと折り合いを欠いていた。そして、先行馬のバテた3角で積極的に押し上げる競馬。直線でインを突くも、そこから抵抗するスタミナは残っていなかった。雨馬場で1000㍍通過57秒5の乱ペースを、道中であれだけ掛かっては勝負にならなかった。ダービーのように壁を作りたかった。牝馬だけに瞬発力勝負が向くのだろう。激戦続きでこの消耗戦。しかも、4角から直線にかけて鞍上が強引に内へ引っ張る騎乗。馬の精神、肉体的負担が心配だ。10月7日の大一番へ向けて課題が山積み。

トウカイトリックは案の定、道中の手綱が動きっぱなし。向こう正面では早くもステッキが入る場面が。しかも、インを通ったために三分三厘でバテた先行馬の煽りをモロに受けてしまう。それでも、直線で諦めずに最後まで集中した走りを見せていた。距離短縮が続いたが、次走で距離が伸びれば積極的に買いたい

 コスモバルクはデキは最高潮だった。最終追いは掛かることなく引っ張り切りの手応えでフィニッシュ。だが、レースでは先行馬壊滅の流れに巻き込まれ、4角で外から捲られて万事休す。

 ダイワメジャーは16㌔減。下見どころでは発汗が目立ち、元気がなかった。聞けば、阪神競馬場の出張馬房が道路近くにあり、騒音で前夜から飼い葉が上がってしまったらしい。昔から阪神競馬場の出張馬房が劣悪なのは有名な話。早期改善をしないと関東馬に示しがつかない。道中は例によって好位を追走するも、4角で早々と手応えがなくなり、ゴール前は歩いていた。展開が厳しかったにしろ、止まり過ぎだ。喘鳴症が再発したのか。

 アドマイヤムーンは走る方向に気が向いていない。ショック療法が必要か。神戸新聞杯の精神的ショックが残っているのか。