中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

宝塚記念(GI)徹底研究!

2007-06-18 10:25:06 | Weblog
 
 ウオッカ
64年ぶりの牝馬による日本ダービー制覇を成し遂げた歴史的女傑が、今度は古馬の厚い壁に挑む。前走の東京優駿1着は、発馬直後は中団のインで我慢。初距離だけにスタンド前は口を割って行きたがる。だが、1角で平静を取り戻す。その後は至極順調に運び、3角では痺れるほどの手応え。ここで勝利を確信するほどだった。直線で前残りを図るアサクサキングスを一完歩毎に力強い末脚で迫り、ガァーッと伸びる伸びる。最後は3馬身の差を付ける圧勝。上がり3Fは驚異の33秒0。勝ち時計2分24秒5も優秀。決め手を生かせる流れで存分に力を発揮した。強過ぎた。前々走の桜花賞2着は逃げ馬不在でペースが落ち着中、掛かったアストンが動き、連れてダイワも進出。それを好位の外めから前を見るように追走。ここまでは完璧だった。だが、4角でジワッと進出し、直線で仕掛けを開始させたとことで、ダイワに左手綱を引かれプレッシャーをかけられる。そこで少し外へ膨らむ。そして、立て直して伸びかけたところで、馬体をぶつけられて怯んでしまう。これで万事休す。完全に消化不良の競馬だった。3走前のチューリップ賞1着は道中、中団の外めを追走するも、口を割って行きたり鞍上が必死に抑える。3角手前でようやく折り合い、4角でジワッと進出を開始し、痺れる痺れる手応えでダイワスカーレットに並びかけると、牝馬離れした豪快なフットワークでグイグイ加速。着差はクビだったが、手応えには歴然とした差があった。牝馬離れした馬体に加えて雄大なフットワーク。最後の決め手を生かすにはマイルよりも中距離が向いている。それにしても、前走の3角での手応えには驚いた。ここは一線級の牡馬相手になるが、51㌔の恵量で凱旋門賞を意識する馬。負けられない。

カワカミプリンセス
前走のVマイル10着は休み明けの一戦。帰厩当初は理想の馬体重から30㌔近くも減っていたとのこと。調教も本数こそこなしていたものの、ビシッと追われたのは1回だけ。状態が懸念されたが、下見どころでは筋肉が盛り上がり、グイグイ引っ張る抜群の気配。発馬で後手を踏み、仕掛けて中団へ。だが、そこで内から突進してきたアグネスラズベリと接触する不利が。外に弾き飛ばされてしまう。その後は後方でジッと我慢。直線で追い出しを開始するも案の定、反応が鈍い。外へ出すにもジョリーダンスが被せて出せない。残り1F地点では立て直して大外へ持ち出すチグハグな競馬。これでは勝てない。全く良いところがなかった。休養前のエリザベス女王杯は1着降着。下見どころからテンションが高く、折り合い面で不安を残したが、道中は縦長の速い流れを後方からの競馬。前のフサイチを見る形。3角の下り坂でフサイチが動き、マークする形で外を連れて進出。直線で馬場のいい大外ではなく、真ん中を突く。狭いところを鞍上の懸命な左ステッキに応え、抜群の反応で突き破る。だが、この時にヤマニンシュクルの進路をモロに妨害してしまった。それでも、追われてからの脚は、この馬の強さを象徴するもの。強い競馬だった。追われてからの反応は鈍いが、エンジンが掛かれば底力ある末脚を発揮する。前走でマイルの速い流れを経験したのはプラスに働く。仕掛けてからの反応が良くなるだろう。勿論、3ハロンの距離延長は歓迎。前走後11日で時計を出し、30日、6日とDWで6ハロンから時計を出している。牡馬相手でも。

ダイワメジャー
前走の安田記念1着は海外遠征明け。直前の攻めを強くしたために、下見どころでは少しテンションが高い。だが、レースへ行くと、コンゴウの作る平均ペースの流れを3番手のインで折り合いに専念。終始、抑え切れないくらいの行きっぷり。直線を向き、坂上で馬場の3分どころへ持ち出す。ノーステッキで鞍上が懸命に手綱をしごき、ジワリジワリと差を詰める。2着馬が想像以上に渋太かったが、ゴール前できっちり捕らえた。マイルを先行して34秒4の脚を使えているように、昨春より数段力を付けている。並んだら抜かせない勝負根性も健在だった。前々走のドバイ戦はスローで馬群がギュッと固まり、その外をずっと通らされた。直線は苦手の瞬発力勝負になり伸び切れなかった。3走前の有馬記念3着はAメインの作る縦長の平均ペースを離れた2番手追走。マイル戦の後だけに、折り合いに専念する形。距離が距離だけに、道中に下手な動きはできない。仕方なく直線勝負に持ち込むも、勝ち馬にスケールの違いを見せつけられた。4走前のマイルCS1着は道中、淀みない流れを例によって2番手へ。終始、スムーズなレース運びでフワフワしながら抜群の手応え。残り800㍍の下り坂で外目を回って進出を開始。4角で左ステッキが手綱に絡まるアクシデントがあったが、すぐに解消。直線で猛追するダンスダンスインザムードに並びかけられるともう一伸び。どこまで行っても抜かせない着差以上の強さだった。スピードの破壊力が満点で、先行して押し切る形。昨年の有馬記念で2500㍍を克服し、2200㍍は問題ない。ここはAメイン、Aキングスがおり平均ペースは必至。この馬向きの展開だ。昨年は4着だったが、当時よりも数段力を付けている。馬体を併せて勝負根性を引き出せれば。

シャドウゲイト
前走のシンガポール戦1着は好発を決め、好位の外めへ。終始、前のコスモバルクを見ながらの競馬。終始、抜群の手応えで4角では堂々、横綱競馬で早めにバルクに並びかける。直線で突き放せなかったものの、渋太い脚で海外GI勝利を飾った。前々走の大阪杯2着は発馬直後にスッとハナへ。1角で息を入れてスローの逃げに持ち込む。向こう正面で除々にピッチを上げ、3角からスパートを開始させる。直線でMサムソンに一気に来られ、飲み込まれそうになるが、そこから粘り粘って最後まで接戦に持ち込んだ。時計勝負では強豪馬相手に分が悪いのは確か。前走、4走前の中山金杯圧勝を見ても分かるとおり道悪は歓迎だ。梅雨時期のGIは待ってました。好位で大丈夫。

アドマイヤメイン
前走の金鯱賞1着はテン3F33秒9の流れを2番手追走。しかも、向こう正面で11秒7-11秒6とペースアップし、三分三厘で他馬に早めに絡まれる苦しい展開。休み明けで仕上がり一息の状況では余計に苦しかった。前々走の有馬記念9着は香港戦から中1週の強行軍では厳しかった。昨秋の菊花賞3着は発馬直後から飛ばしに飛ばし、大逃げの形。これで後続各馬の仕掛けを封印できた。その後、1角から向こう正面まで息をたっぷり入れ、3角の下り坂で再びペースアップ。本来なら、このままゴールまで突っ走るのだが、直線入り口で12秒5と余力を残し、ラスト1F12秒2の二枚腰を使う芸当を見せた。豊マジック炸裂の瞬間だった。ダッシュ力はないが、大トビで一度エンジンが掛かれば速いペースを刻める。スタミナがあるだけに本来ならもう少し距離があったほうがいい。だが、前走で速いペースを経験し、阪神芝・2200㍍は発馬直後に長いホームストレッチがある。1角までにハナを奪える公算が高い。

スイープトウショウ
前走のヴィクトリアM9着は苦手の関東圏での競馬。しかも、発走前に係員にステッキを振るわれる。レース前に厳しい条件だった。しかも、中間の調整も思うように進まず。先行馬有利の条件だったとはいえ、最後の伸び脚には不満が残った。ここは一昨年制した舞台。ただ、当時の勢いがないのは確か。関西圏の競馬でどこまで。

スウィフトカレント
前走の金鯱賞2着は1000㍍通過57秒6の速い流れ。しかも、三分三厘で他馬がAメインに早めに競りかける展開を後方で我慢。三分三厘でジワリと余裕十分に外めへ持ち出す。直線で鋭く一瞬の脚で追い込むも、ゴール前で頭が高くなりのびを欠いてしまった。昨秋の天皇賞・秋2着はインティライミの作る縦長の速い流れを後方追走。坂を上がり、満を持して追い出されると、一瞬の爆発力で一気にダイワメジャーに追い付く。だが、そこでフワッとして最後は同じ脚になってしまった。有馬記念、ジャパンCは見せ場なく終わっているが、距離が長かったり、展開が向かず、激戦の疲れもあった。一瞬の爆発力はGI級。折り合い面の不安や、最後は気を抜く面があるなど注文の多いタイプだが、通用する決め手を持っている。1ハロンの距離延長は歓迎できないが、Aメイン、Aキングスのいるここなら、速い流れが期待できる。直線の短いコースは歓迎。叩き2走目で上積みも望める。

インティライミ
前走の金鯱賞3着は久々の一戦。課題だった折り合いも付き、好位で我慢の利いた走り。Aメインを目標に動いた3角~4角手前でも慌てずジックリ。インで我慢する。逃げ馬がバテた4角で軽く手綱を引っ張るも、逆に脚をタメることに。直線でインを突き、ジワジワ伸びて3着。休養前は気持ちばかりが焦り、暴走していた。放牧を気にリフレッシュできた様。一昨年のダービー2着後に放牧先で蹄葉炎を発症。一時は引退寸前にまで追い込まれた。そこから奇跡の復活を遂げたが、気性難も災いしてスランプに陥っている。叩き2戦目でどこまで変われるのか。正直、前走3着の内容ではGIでは厳しい。厳しい流れだったダービーを正攻法から勝負にいった姿に戻れるのか。

アサクサキングス
前走の東京優駿2着は発馬直後に手綱を押してハナへ。スタンド前は位置取り合戦でゴチャついたが、1角から実にスムーズな流れ。3ハロン目から12秒3-12秒6と息を入れる。その後、向こう正面で12秒1-12秒1と少しペースアップして後続を引き離す。再び3角で息を入れる絶妙な騎乗で後続を誘惑。それでも、馬群が固まらなかったのはフサイチにマークが集中していたのと、向こう正面でペースを上げたことが大きい。直線で二の脚を使い、突き抜ける。直線半ばまでは逃げ切り濃厚かと思われたが、勝ち馬の決め手にやられてしまった。トビが大きく、ダッシュ力に欠ける。前々走のマイル戦や小回り2000㍍の好位競馬で他馬に歩調を合わせる競馬は合わない。前走のように、手綱をしごいてでもハナへ立ったほうがいいタイプ。調教の動きを見ても分かるとおり、フットワークの雄大さは際立っている。ここは古馬の一線級相手で、Aメインという強力な同型馬がいる。若手の川田を起用し、何が何でもハナへ行くだろう。この馬は2番手で大丈夫。外枠を引ければ。鞍上は福永に決まった。

ファストタテヤマ
前走の天皇賞10着は道中、後方での待機策。流れの落ち着いた3角でギュッと馬群が固まり、外めを通って進出するも手応えは良くない。直線で鞍上の懸命な左ステッキが入るも、それに応える余力は残っていなかった。鞍上曰く「最近は3000㍍を越す距離は良くない」とのこと。前々走の大阪ハンブルグC1着は超スローの流れを後方で待機。歴戦の古馬だけあって折り合いはピタリ。馬群がひと塊のため終始、外めを通らされて直線も大外へ。激しく内へモタれるのを矯正しながら鋭い伸び脚。展開、通ったコースを考えれば着差以上の内容。格の違いを見せた。年齢を重ね、2000㍍のスピードには対応できず、長距離戦はスタミナ切れ。注文の多いタイプだが、嵌ればまだまだ鋭い脚を使える。ベストは2400㍍の緩い流れ。今回は1ハロン短く、ペースも速くなりそう。長距離戦の後だけに余計、追走に苦労しそうで…。

アドマイヤムーン
前走のQエリザベス3着は、発馬直後に中団を伺うも、外枠のため行けず。仕方なく後方に控える。だが、ペースは前半の800㍍50秒0という超スロー。後方2番手から三分三厘で大外を我慢し切れずに進出を開始。直線で懸命に脚を伸ばすも、前の馬も楽をしており、最後は脚色が同じになってしまった。仮策が外されイン有利の馬場に加え、超スロー。仕上がり過ぎで461㌔のギリギリの馬体も影響したろう。仕方ない敗戦といえる。前々走のドバイ戦1着はスローで馬群がひと塊の競馬。それを中団から脚を温存。得意の直線勝負の流れとなり、強烈な末脚を発揮して一気に突き抜ける。最後は2着馬に詰め寄られるも、3着以下を大きく引き離す快勝だった。3走前の京都記念1着は道悪の消耗戦。中団から積極的に追走し、三分三厘でも抜群の手応え。直線で馬場の6分どころを悠然と抜け出す。雨馬場にも脚を取られることなくしっかり駆け抜けた。昨年の香港C2着は、凱旋門賞2着馬プライドとの対決。道中は後方2番手で折り合いに専念し、馬群の固まった4角で馬込みのなかに突っ込む。プライドに一瞬は突き放されたが、ゴール前で凄まじい末脚を発揮して追い込んだ。クビの上げ下げで屈しただけで、内容は互角だった。昨秋の天皇賞・秋のように、縦長のHペースだと追い込み切れないが、スローで流れが落ち着き、そこからの追い比べなら鋭い決め手を発揮する。鞍上には岩田が跨る。前走後は山元TCに放牧へ出され、6月8日に帰厩。今では太いくらいの体つきとか。裏を返せば、放牧先では馬体回復を念頭に置かれ、厳しい調教を課されていないことが推測される。帰厩後も終い重点の攻めが続く。仕上がりには疑問符が付く。

ポップロック
前走の目黒記念1着は585のトップハンデを背負い、アドバンテージの作る緩い流れを5番手のイン追走。この日は前の止まらない馬場で、向こう正面でMオウテが動き、Aタイトル、Gウインドなどが早めに動く入れ替わりの激しい展開でも、慌てず騒がず我慢。直線でもインを突く。だが、先行馬が前を塞ぎ出られない。坂を上り切ったところで外めへ持ち出し、グイッとひと伸び。着差は僅かだったが、2着馬とは7キロ差あったし、どこまで行っても差されない手応えだった。海外遠征明けでも地力の高さを示した。前々走のドバイ戦6着は、発馬で行き脚つかず後方からの競馬。1角で他馬と接触する不利もあり、流れに乗り切れない。仕方なく直線勝負に徹し、グイッと鋭い伸びを見せるも最後は内へモタれてしまった。岸本助手によれば「メルボルンC当時のガツンと来るデキにはなかった」とのこと。3走前の京都記念2着は道悪で行き脚つかず。馬も雨の影響か尾っぽ振るなどレースに集中していない。道中はAムーンをマークする形。三分三厘で瞬時の加速力の差で引き離されるも、直線でエンジンが掛かってから猛追。ゴール前、勝ち馬が手綱を緩めたとはいえ、勢いは明らかにこの馬のほうが上だった。4走前の有馬記念2着は申し分のない馬体の張りでデキの良さを覗わせた。道中は最内枠発走から手綱を押し、前へ。終始、前のダイワを見ながらの競馬。ペースアップした三分三厘でも絶好の手応え、直線入り口で内の狭いところを突く。だが、馬群を割ることができず、立て直して外目へ。そこから鋭い脚で追い込むも2着が精一杯で、勝ち馬には子ども扱いされた。大きなトビでスッとは反応できないが、エンジンが掛かれば切れる脚を使える。正直、距離はもう少しあったほうがいい。距離短縮をユタカマジックで克服できないか。

メイショウサムソン
昨年の2冠馬が息を吹き返してきた。前走の天皇賞・春1着は、攻めで首をうまく使った重心の低いフォームで昨秋より明らかに良化していた。それがDWで6ハロン77秒台の猛時計に繋がった。道中は縦長の速い流れを中団から悠然と追走。折り合いもスムーズで流れの落ち着いた3角の上り坂で前との差を詰め、下り坂で早めのスパート。4角で一気に先頭へ躍り出ると自身は11秒1-11秒3の強烈な脚を発揮。食い下がる先行馬を突き放し、迫るエリモ、トウカイの猛追を振り切っての戴冠だった。前々走の大阪杯1着は59㌔を背負い久々。転厩緒戦で仕上がりはほぼ万全。道中はシャドウゲイトの作る緩急ある流れを中団で折り合いに専念。この辺りは本番を意識してのもの。内回りの残り600㍍標識から手綱を押して進出開始。直線入り口でシャドウに並びかけるも、想像以上に粘られ交わせない。ゴール前で懸命に手綱をしごいてダービー以来のV。前々走の有馬記念5着は馬体を絞ることができず4㌔増。やはり腹回りには余裕があった。道中は例によってダイワメジャーの直後、3番手から。しかし、ダイワが折り合いに専念したことで予想外に流れが緩くなる誤算が生じた。三分三厘でペースアップし、4角でダイワとともに先頭へ躍り出る。一瞬はあわやのシーンを演出したが、その後はジリジリとしか伸びず。昨年は好位から早めに押し切る競馬で2冠達成を果たしたが、これだと人気を背負った場合に前後の有力どころを気にしなくてはならないし、マークもきつい。前走のように中団から早めに動いて長く脚を使う戦法が合っているのだろう。この距離は歓迎だし、ペースは速ければ速いほうがいい。前走の天皇賞組は、エリモエクスパイア、アイポッパー、ネヴァブションがリタイア。自身も疲れが出て、この中間は坂路調整中心でオーバーワークを回避。これがどう影響するか。

アドマイヤフジ】
前走の目黒記念3着は発馬直後に好位へ。これは当日の馬場状態を察した鞍上が取った好判断。向こう正面から入れ替わりの激しい競馬になってもインでジックリ我慢。4角では痺れる手応え。直線の坂上で堂々先頭へ躍り出ると、ラスト1F地点まで踏ん張るも、最後は脚が上がってしまった。だが、久々だったことを考えれば申し分ない内容だし、道中の行きっぷりは良かった。休養前は有馬記念好走の反動があった。汗をかく時期になり、ようやく3歳時の馬体重まで落ち着いてきた。以前は勝負どころでズブさを見せていたが、前走はそれを見せなかった。底力のある馬。ようやく順調にGIを使えるようになった。

その他の馬についてはこちら

宝塚記念(GI)展望

2007-06-18 10:21:57 | Weblog
【コスモバルク】
前走のシンガポール戦2着は発馬直後にスッと前へ進出。2頭並んでハナを切る形。終始、手綱を緩めたら行ってしまいそうな手応え。4角で外からシャドウゲイトが競りかけられた時の反応が今ひとつ。直線で完全に出し抜けを食らい、一旦は4番手まで下がる。万事休したかと思われたが、そこから根性を出して2着に盛り返した。立派なレースだった。前々走の大阪杯8着は例によって好位追走するも、三分三厘で力なく脱落。本調子になかったか。3走前の有馬記念11着は強行軍のローテが響き、太め残りの上にイレ込んでしまった。速い脚はないが、平均していい脚を使うタイプで、一昨年の有馬記念でディープと小差の競馬をしているように、デキが万全なら通用する力はある。あとは海外遠征明けでどこまで持ち直せるか。

【トウカイトリック】
前走の目黒記念10着は後方を追走するも、終始、手綱のアクションに余裕がなく追っ付け通し。ペースアップした3角ではズブさを見せる。直線で大外に持ち出すも、内へモタれて満足に追えず。昨年暮れから3000㍍以上のレースを使われ続けてきただけに2500㍍のペースに戸惑ってしまった。小柄な馬だが、秘めるスタミナは相当。長距離向きだけに、更に300㍍短縮のここは苦戦必至。雨で時計が掛かれば。

【マイソールサウンド】
往年の力は望めない。展開も向かなくて。

【ローエングリン】
前走のマイラーズC12着はコンゴウリキシオーが作る〝乱〟ペースに惑わされた。スローで尚且、上がりが速く、レコード決着。完全にリズムを崩された。前々走の中山記念1着はロケットスタートから平均ペースの緩みない流れを作り、向こう正面でも緩めない。三分三厘で早めにシャドウゲイトに来られるも、直線で再び突き放す。ハナへ立ってスピードの持続力を存分に生かせた。一時は精神面の脆さからスランプが続いていたが、昨年の関屋記念で出負けして後方からの競馬を試したことが幸いし、控えて息を入れることを覚えた。その甲斐あって、今では前へ行っても踏ん張れるようになった。ここもハナを切れればいいが、如何せん同型が多すぎて。


マーメイドS(GⅢ)回顧

2007-06-18 00:48:30 | 回顧
【馬場】Aコース。開幕週で高速馬場。

12.6 - 10.9 - 11.6 - 11.5 - 11.4 - 11.8 - 11.9 - 12.1 - 12.5 - 12.1=1:58.4

【展開】シェルズレイがハナ。掛かり癖があるだけに、本来なら息を入れる1角から制御できず、11秒6-11秒5-11秒4とグングン飛ばす。ここで後続とは10馬身以上の差。馬場を考えても前半1000㍍58秒0は速い。後続は三分三厘から動き出すも、勝ち馬はインでジッと我慢。仕掛けどころがポイントとなったレース。

 準オープンを卒業したばかりのディアチャンスが、53㌔の軽ハンデと武豊の強烈なバックアップを受けて初重賞制覇を飾った。発走前は鞍の下の発汗が目立つ。だが、レースへ行けばシェルズレイの作る速い流れを5番手でスムーズに流れに乗る。併走していたライラプスが動き出した残り4~3F地点でも慌てずジックリ。インで我慢する。仕掛けを開始させたのは直線に入ってから。先行馬が膨らんでできたインを突く。鞍上の右ステッキに応えてグンと加速。残り1F地点で逃げ馬の外めへ持ち出し、左ステッキが放たれる。この時、内へ寄れてヒヤリとしたが、すぐに左手綱を引いて修正。そこから、もうひと伸びして後続の追撃を封印させた。レース運びに安定感がある。2000㍍も全く問題なかった。

 2着のサンレイジャスパーは発馬で半馬身の出負け。そこから中団やや後ろへ。その後はスムーズに追走し、残り5F地点からジワリと手綱を押して気合いを付ける。残り3F地点では手綱をしごいてミスベロニカに被せに行く。4角では馬体が激突。それに怯むことなく、鞍上から左ステッキが。肉弾戦を制して直線でジワリジワリと加速。勝ち馬には及ばなかったが、得意の暑い時期にきっちりと変わり身を見せた。

 3着のソリッドプラチナムは例によって後方2番手から。ジックリと脚をタメて直線勝負の形。後ろにいたスプリングドリューが進出を開始させた三分三厘でも動かず。鞍上はあくまでも、この馬の末脚を信じる。ギリギリまで追い出しを我慢し、直線は大外へ。前脚をピンと伸ばしたストライドで、グングン加速。猛烈に追い上げるも届かなかった。開幕週の高速決着のなか、よく追い込んでいる。

 ミスベロニカにとってはいい経験となった。発馬直後から掛かり気味に好位を追走。ここで体力を消耗させる。向こう正面でようやく折り合うも、三分三厘で外からサンレイジャスパーに被される。そして、4角では馬体を激突され、更に直線で外からプレッシャーをかけてくる。これでは、キャリア3戦の若駒では太刀打ちできない。先輩・佐藤哲三の洗礼だった。この厳しい競馬を経験したことは、必ずベロニカの今後に繋がってくるはずだ。注目。