鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

鏡は裏側を映さない&鏡は味や音を映さない(GLASS1-9)

2011-03-27 10:14:34 | Weblog
 鏡の国について、この現実との違いをアリスが黒い子猫のキティに説明する。「本は私たちの世界の本に似てる。ただ文字があべこべ。Only the words go the wrong way. 」「鏡の国のミルクはおいしくないかもしれない。 Perhaps Looking-glass milk isn't good to drink. 」「鏡の国の中の部屋の向こうに廊下が見える。私たちの国の廊下に見えるところはそっくりだけど、見えないところは全然違うかもしれない。」

 PS1:こちらの現実から見たとき、鏡の国が「あべこべ」なことはすでに説明された。①「共通の方向」における「あべこべ」:前後方向、②「定義」における「あべこべ」:左右、(以上GLASS1-6参照)。ここで③「文字」における「あべこべ」:裏表が、追加される。

 PS2:鏡の国とこちらの現実との違いは「あべこべ」①②③であることだとすぐ分かる。「あべこべ」な点を除けば他はこちらの現実とそっくりである。アリスの思考はここにとどまらない。こちらの現実から鏡の国を眺めれば「そっくり」にしか見えない。しかし鏡の国はいつもその裏側(=こちらの現実から見えないところ)を隠している。だからアリスが言う。「見えるところはそっくりだけど、見えないところは全然違うかもしれない」と。こちらの現実から見えないところ(=鏡の国の裏側)を見るためには鏡の国に行くしかない。

 PS3:ここまでは視覚的特性の話である。鏡は味覚、嗅覚、触覚、聴覚について何も語らない。こちらの現実から眺めても鏡の国の味覚、嗅覚、触覚、聴覚的特性は何も分からない。知りたければ鏡の国に行くしかない。鏡は味、匂い、手触り(固い・やわらかい、熱い・冷たいなど)、音を映さない。だから例えばアリスは「鏡の国のミルクはおいしくないかもしれない」と心配した。

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