鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

漕艇用語のフェザー と「カニをつかまえる」、鳥の羽根と小さなかわいいカニさん(GLASS5-23)

2008-11-02 23:38:59 | Weblog
 新たに一組の編棒を取り上げながら羊が「フェザー feather !」と叫ぶ。
 PS1:このフェザーは鳥の羽根ではない。フェザーとは漕艇用語でブレード(オールの先の水を押す部分)を水平にすることである。フェザーリング(フェザーすること)が上手でないとオールを漕いだとき水に深く入って引っかかってしまう。これは「カニをつかまえる catch a crab 」と呼ばれる。

 返事が必要とも思えなかったのでアリスは何も答えず漕ぎ続ける。
 PS2:アリスは漕艇用語のフェザーの意味を知らない。

 さてアリスは水に奇妙なところがあると気づく。時々オールが水にしっかりはまり簡単に出てこない。
 PS3:つまりアリスがうまくフェザーできず「カニをつかまえる」のである。

 このとき再び多くの編棒を取りながら羊が叫ぶ。「フェザー!フェザー!」と。
 PS4:漕艇用語を知る羊にとってはアリスはフェザーリングをする必要がある。

 かくて「すぐにお前はカニをつかまえるだろう!」と羊が付け加える。
 PS5:これに対して漕艇用語を知らないアリスが示した反応は次の通り。

 「小さなかわいいカニさん!」「カニならほしいわ!」とアリスが思う。
 PS6:アリスは意味がわからないので羊がいくら言ってもオールの先を水平にすること、つまりフェザーリングをしない。

 羊が怒って一束もの編棒を取り上げ「私が『フェザー』と言ってるのがお前には聞こえないのか?」とアリスに向かって叫ぶ。アリスが答える。「聞こえてます。あなたが何度も言ってるのがわかります。それもとっても大きな声で!」と。そしてついに彼女は「カニがどこにいるのか教えてください」とさえ言う。
PS7:羊とアリスの対話は全く成り立たない。

 「もちろんカニは水の中!」と羊が答える。手がたくさんの編棒でいっぱいなので羊はそのうち何本かを髪の毛にさす。



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