鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

同一の言葉(「兎の穴」)が、同一の内容を指し示さない(WONDERLAND1‐5)

2013-06-25 23:02:42 | Weblog
 アリスは、井戸のような兎の穴を、ゆっくり落ちていく。彼女は、次に何が起こるだろうか考える。彼女は、最初、下を見て、落ちていく先に何があるか知ろうとした。しかし真っ暗で何もみえない。そこで次に、彼女は兎の穴の側面を見る。

 ◎コメント3:アリスは、井戸のような兎の穴を、「ゆっくり」落ちているから、その井戸の側面がどのような状態か見分けることができる。

 アリスは、気づく。井戸の側面は、戸だなと本棚で全部、埋まっている。あちこちに地図や絵が、画鋲でとめられている。

 ◎「不思議の国」が不思議な理由(5):井戸のような兎の穴の側面が、戸だなと本棚で全部、埋まっていて、不思議である。しかも画鋲でとめられた地図や絵がたくさんあるのも不思議。日常の現実では、兎の穴の側面は、ただむき出しの土があるだけである。では、何が不思議なのか?不思議の国では、日常的現実と異なり、「兎の穴」の側面が、戸棚・本棚・絵・地図で埋まっていることがありうるのである。言い換えれば、「兎の穴」という同じ言葉が指し示す内容が、日常的現実と「不思議の国」で大きくずれる。つまり、この場合、「不思議の国」が不思議なのは、同一の言葉(「兎の穴」)が、日常的現実の場合と同一の内容を指し示さないからである。

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