鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

「おしまいから2番目に言ったこと」:話題のまとまりをどう規定するかの問題(GLASS6-11)

2009-01-17 14:25:56 | Weblog
握手の後、ハンプティ・ダンプティは自分が塀の上にいても安全である理由について「私が塀から落ちても王のすべての馬とすべての兵隊がすぐに私を必ず拾い上げる」からとようやく説明する。ところが、ここで彼が言う。「この会話は進み方が少し早すぎる。おしまいから2番目に言ったことに戻ろう。」と。

 PS:ここで「おしまいから2番目に言ったこと the last remark but one 」とはどういう意味か?「言ったこと」つまり話題のまとまりをどう規定するかによって何がおしまいから2番目かさまざまでありうる。  
 例えば①「塀の上でなく地面のうえにいた方が安全だと思いませんか?」とのアリスの発言以後を最後の話題と考えれば、おしまいから2番目に言ったことは「なぜあなたは1人で戸外の塀の上に座っているんですか?」というアリスの発言以後の話題である。(GLASS6-7)
 ところが②おしまいに言ったことを「王のすべての馬とすべての兵隊がすぐに私を必ず拾い上げる!」というハンプティ・ダンプティの言葉とすれば、おしまいから2番目に言ったことは「お前は私と握手してよいぞ!」(GLASS6-9)という彼の発言である。
 かくてアリスは話題のまとまりをどう規定するかわからないので次のような対応をする。

 「私はよく思い出せません」とたいそう丁寧にアリスが言った。


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