“GPS搭載必須”に向け、どうなる携帯ナビ(ITmedia)
07年4月以降、3GケータイはGPS必須になり、その用途としてのナビゲーションサービスに注目した記事。NAVITIMEとゼンリンデータコムを取り上げ、ナビゲーションエンジンか地図か、という切り取り方をしている。
まず、GPS ケータイのキラーアプリとしてのナビゲーション、と記事が進んでいくことに疑問を持つ。それは、
1. 徒歩ナビの観点では、キラーアプリになるのならauで既に広がっているはずだが実際はそうではない、という事実。
2. au以外のケータイでは測位性能が怪しいという機能的問題。
という点からだ。
1. については、今までのいくつかの調査を見ても、auのケータイで積極的にGPSを使っているという記事は見ないし、また調査記事を見ても欲しいサービスにGPSを挙げる人はそれほどいない、という事実だ。
当初わたしは、auで徒歩ナビが広がらないのは通信時の費用にあるからかと考えていた。しかし実際は、定額制が導入されたことによって徒歩ナビが爆発的に広がった、とは聞かない。
つまり、現状の徒歩ナビはキラーアプリではなかった、ということだ。
2. についてはこれまでも書いてきたが、仮に07年にVodafoneやDoCoMoのケータイに搭載される測位機能がGPSのみであったとすると、屋内や地下では測位できないという致命的欠点がある。au ですら屋内ではナビゲーションはできない(と思う)。これにより、GPSなんて使い物にならない、とユーザが思い込んでしまうことが考えられ、結果として広がらないことが考えられる。測位あってのナビゲーションサービスなのだ。
しかし、将来に向けた明るさが無い訳ではない。
やはり、07 年の GPS 搭載は起爆剤になりうる。それはプレイヤーが増える、ということから始まる。GPS を使えるユーザが増え、それを当て込んだサービスが増える、という現状が今見えはじめている。
カギは、この結果として充実したサービスと話題とが新規ユーザを増やし、それがよりサービスを充実させる、という正の連鎖が生まれるかどうか、だ。
ユーザが増えるためには、キラーアプリとまではいかなくとも、使いたいと思わせるものが提供される必要がある。
まず、ソフトウェア面の充実が必要だ。これは、サービス提供者とユーザが増えることにより充実できるかもしれない。ユーザが増えることがあてにできれば、サービスの充実に費用をかけられるようになるからだ。
「位置に付随する情報」がもっと増えていけば便利になる。すぐ思いつくところでは、店舗情報が増えたり、その店舗の詳細記事を見ることができたり、その店舗に関する多くの口コミ情報が見れたり、ということだ。
ナビゲーション機能も、サービス提供者がいろいろと工夫し、もっと使いやすくなればうれしい。
さらにハードウェア面からも、従来のGPSの欠点を克服する「使える測位技術」という観点から、超高感度 GPS なり屋内でも使える測位技術なりも出てきて欲しい。別に屋内では RFID なり無線 LAN でも構わない。
さらに、個人的にはカーナビを置き換えて欲しいと思っている。今のカーナビは高いくせに余計な機能がある。価格を維持するために余計な機能を増やしているとしか思えない。もっと安価に便利なナビゲーション機能を提供して欲しいし、そのために携帯ナビの活用は十分ありえる解だと思っている。
しかし現状の「助手席ナビ」では使いづらい。ケータイは操作しづらいし、画面も小さい。
例えば、車の中にディスプレイがあったとして、それにケータイの画面を映せればどうか。ケータイ側にはタッチパネルを持たせ、最近の CEATEC であった「2画面ケータイ」をリモコン代わりにする。リモコン側は「2画面ケータイ」の特徴を活かし、必要なボタンのみを表示して操作性を上げる。ディスプレイ側とリモコン側とで同じ画面を出す必要は無い。
ディスプレイとケータイとの通信は Bluetooth を使えばいいだろう。新規格であれば 3Mbit/s くらいは出るらしいので、特に通信速度に問題は無いはずだ。
表示と Bluetooth の受信以外の必要なハードウェアはすべてケータイ側で持てばよい。地図も通信で得られるからCD/DVD/HDDは不要だし、GPS機能はケータイについているし、必要な画像処理などもケータイでできる。少数のケータイについている地磁気センサや加速度センサもカーナビには便利だ。
ハードウェアとしては十分実現可能だと思う。問題は DoCoMo などのキャリアが儲かる仕組みが無いのでケータイとして成立しない、ということだろうか・・・
GARMIN のハンディGPSを持っているようなGPS好きなので、GPSつきケータイが広まってくれるとうれしいのだが。