ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

小林宗作先生 *日々のつれづれ*

2014年11月18日 | Weblog

わたしが小学三年生の頃だったと思います。

母が、そっと手渡してくれたもの。

黒柳徹子さんの『窓ぎわのトットちゃん』でした。



ものを買ってもらえることは、滅多にない家でしたので、どうしたことだろうかと、不思議でした。

しかもそれが、大好きな、本だったので、嬉しくて嬉しくて、胸に抱き締めて、本に顔を埋めたりしていました。




いわさきちひろさんの、淡く優しい絵、黒柳徹子さんの、読みやすくわかりやすい文章。

そして、内容の素晴らしさ。

すぐに夢中になり、その日のうちに読み終えました。






わたしの胸に焼きついて離れなかった、一番の人は、トットちゃんが出会った校長先生、小林宗作先生でした。

あたたかな眼差し、子どもたちへの限りない愛情、教育への情熱。

こんな先生に逢いたい・・・

小学生のわたしでしたが、強い憧れに、胸が苦しくなるほどでした。






それからその本は、わたしの座右の書になり、長い間そばにいてくれたのですが、成人後、水害に遭い、大切なものと共に失いました。


しばらしくて、母になり、とても個性的な子どもを授かり、ユニークな毎日を過ごすうち、また、遭いたくなったのです。

小林宗作先生に。



改めて『窓ぎわのトットちゃん』を買い求め、懐かしさと先生への恋しさを噛み締めながら、一気に読みました。





あの頃とは違い、いまは、いろんな学校ができて、多様な学びができるようになってきています。

それらは、小林宗作先生の理想に近いもの、ではないかもしれませんが、

個性的な子ども、理解されにくい子ども、生きる難しさを抱えている子どもたちが、少しでものびのびと学んでいくことのできる、選択肢が増えてきたことは、有り難いことです。




でも、学校の体勢と同じくらい、いいえ、それ以上に大切なものは、そこにいる大人たちの眼差しだろうと思います。

小林宗作先生の、限りない愛の眼差しの奥には、高い理想と、教育者としての厳しさ、自身や他の先生たちへの厳しさがありました。

それがあったから、先生の学校では、心身ともに個性的な子どもの、誰も傷つかず、全員が自分に自信を持てる人に、育っていったのでしょう。




本当に、あったらいいな、電車の学校。

いつか、出会えたらいいな、小林宗作先生のような方に。





すべての子どもたちが、いきいきと、自信を持って、豊かな夢と愛を育みながら、生きていってほしい。

小林先生への憧れを抱きながら、

いま、ひとりの母として、小さな歩みを、進めています。





















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