今年の梅雨はやっぱりおかしい。入梅宣言もどこ吹く風、いっこうに降る様子もない。
「いつ降ってくれるのやら」と夫はからいもの苗植え付けができずに毎日空を眺めて・・・
南側は畑からつづいて一面のたんぼ、今、田植えもすみ青田がひろがっている。
そのむこうには△山、そして雲仙の山も遠くに雄姿を見せてくれている。
今日はめずらしく朝6時ごろ目がさめた。
窓から外をみていたら畑の中から白い煙がみえた。
あ、枯れ草をやいている煙だ。そばで人影が・・・
あ、M雄さんの奥さんが、帽子をかぶって一心に枯れ草を焼いている。
あれ、M雄さんは?
・・・タバコをおいしそうにふかしながら、耕した畑を満足そうに眺めて、
また畑の手いれに腰をかがめていたM雄さん。
パソコンもやっていた。
「自分で本をみて立ち上げたよ」とうれしそうに私に。
時々「一寸わからんところがあるけん、教えて!」とも。
「孫にメールば送るのがうれしか~」と報告も・・・
病しらずのM雄さん。
前日まで奥さんを病院に連れて行き、午後から友人と共に近くの温泉にも
行って来たのにと、あとから親族のかたがさみしそうに話しておられた。
81歳。思いがけない突然の旅立ち。町内会長さんからの伝言に耳を疑った。
M雄さんの丹精込めたグリンピースがいっぱい実った。そして今きゅうりの花が・・・
しかし今年は一粒も手にすることはできなかった。
あんなに元気だったのにと思うと、お気の毒にと思うばかり。
今日もやっぱり窓の外をみるとM雄さんの姿をさがしている。
「よし!M雄さんの畑の草を刈ってやろう」夫が立ち上がった。