教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

ある卒業式~○○高校定時制課程

2008年03月02日 | 進路保障
2月末から3月はじめにかけて府下各高校の卒業式が続きます。その中で2月29日は大阪府立○○高校定時制課程の卒業式でした。○中学校の卒業生も働きながらの4年間の高校生活を終えると聞き卒業式に参加しました。定時制で学ぶ人たちには多様な背景があります。様々な理由で昼の高校に入学できなかった人たち、事情があり一度は高校を辞めてしまった人たち、働き出したものの中卒という学歴の壁を感じた人たち、子育てを終えたり定年を迎えたあと高校に通いだした人たち、海外から移住したため日本の教育を受けていない人たちなど様々です。

 卒業式当日。社会人でもある男性たちのスーツ姿は板についているし、成人式で身につけた晴れ着を着る女性たちの姿は華やかでした。そして何よりも子どもや孫など家族の温かい視線を受ける私よりも年配の卒業生の姿には心打たれました。

 しかし定時制の4年間は決して平坦な道程ではありません。入学時120人いた生徒のうち卒業にたどり着いた者はわずかに42人でした。それでも定時制には受験のために学ぶのとは違った学びがあります。

 心に残った卒業式のお話を紹介します。

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 「ハンディーを抱えた仲間、年齢を少し重ねた仲間、立場や環境の違う仲間と支えあう中で、みなさんは立派な成長を遂げました。」(副校長式辞)

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 「私の父や母よりも年上である先輩方がクラブ活動や学習に励んでおられる姿をみることが、何よりも私たちに勇気を与えてくれました。」(在校生の送辞から)

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 「中学を卒業したばかりの幼い私にとって、昼間働き夜は定時制高校で勉強するという環境の激変は大きな負担でした。・・・定時制の教室に日が射すことはありません。時には定時制高校で頑張ってもなんになるんだと思うこともありました。しかしたとえ約束をしてなくても、定時制に行けば素敵な仲間に出会うことができる。夜なのに『おはよう!』って挨拶し、みんなと顔を合わせ他愛ない話をするだけで元気が沸いてくるのです。定時制高校の教室に日は射さなくても、月や星の光が輝いているのです。・・・定時制高校が年々少なくなっていますが、もうこれ以上定時制高校をつぶさないで下さい。」(卒業生の答辞から)