教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

子どもたちから生活を奪ってないか

2006年12月29日 | 子育て
冬休みも間近になったある日、小学一年生の授業の応援に入っていた時の事です。国語の授業で、数字にはイチ・ニ・サンという数え方と、ひとつ・ふたつ・みっつと言う数え方の二種類がある事を学び、その後に入学式・七夕・七五三・お正月は、それぞれ何月かと言う問いに答えていく場面になりました。最初の入学式は何月という問いに、一年生は全員が手を上げ、ハイ!ハイ!の大合唱。先生に当ててもらった子どもが得意になって答えた答えが「一月」でした。(そうか。学校生活の始めだから勘違いしたのかな?)と私が思案していると、私の近くに座っていた子どもが「先生、お正月って何月?」と聞いてきました。

少子化が進み、「シックスポケット」と言われる昨今、子どもたちを取り巻くイベントは派手で高価なものになっています。千里阪急ホテルに行った時に驚いたのですが、4~7歳位の子どもを対象としたクリスマスパーティーが行われていたのです。そこに集まっている子どもは、倖田來未を小さくしたようなと言うか、ジョン=ベネちゃんのようなと言うか、「エロかっこいい」「セクシー」を強調した、小学生になるかどうかの子どもたちでした。多分、クリスマスだけでなく節目節目に様々な行事やイベントがあることと思います。それでもお正月が何月が分からない子どもが増えているのです。

大切なのはイベントにお呼ばれすることではなく、大人たちと一緒に準備することだと思うのです。私たちの世代では、たとえ幼稚園の子どもであっても、お正月が何月かを知らない子どもがいるなんて考えられませんでした。それは教えられたものではなく生活の中で身につけたものでした。七夕になれば笹を切る、月見の時はススキを集めてくる。そして一緒にごちそうを作る。そんな経験に裏打ちされた知識は、忘れる事など考えられません。子どもたちが「生活をしていない」と思われる状況が、今進行しているのではないかと危機感を募らせたのです。