教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

埼玉県ふじみの市プール事故遺族の手記

2006年09月01日 | ニュースを読む
 事故から一ヶ月、新学期を前にした8月31日、ご両親の思いを綴った手記が発表されました。事故への静かな怒りと娘への言葉に言い尽くせない深い愛情がくみ取れる内容です。子どもたちの命を預かるものとして、この思いを大切に受け止めたいと思います。

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私たちの大切な宝物、瑛梨香が7才10カ月という短い一生を終えてから、一カ月がたちました。
 瑛梨香の事故以後も、全国各地で何の罪もない子どもたちが犠牲になっている事件や事故が起きており、それらの報道に接するたびに、私たち家族と同じような悲しみ、苦しみ、悔しさに耐えていかなければならない家族が、またできてしまったと、やりきれない思いです。
 瑛梨香も、家族やお友達と楽しく過ごすはずだった、長い夏休みも終わり、明日からは学校がはじまります。瑛梨香が大好きだった小学校。お友達や先生方と楽しく過ごした教室。そして、お友達とボールや一輪車で遊んだ校庭に、瑛梨香の姿はもう無いのだと思うと、切なくて涙が止まりません。
 突然の事故で、大事な瑛梨香を亡くした事。その悲しみはどんなに月日がたっても変わる事はなく、毎日家族で瑛梨香の遺影を涙の中から見つめております。
 瑛梨香が亡くなって改めて気づかされた事もあります。それは、瑛梨香が私たち家族だけでなく、たくさんのお友達、地域の方々そして学校や幼稚園の先生方に大事に育てていただいてきたという事です。
 子供達にとっては、受難の時代とも言えるような今の社会のなかで、瑛梨香はお陰様で、多くの方々の愛情を頂き、心も身体もすくすくと育っておりました。その瑛梨香の、これからの学校生活、成人式や母親になった時の姿などを夢みて楽しみにしておりました。それが、一瞬にして目の前から消え去ってしまった悔しさ、つらい思いは、いまだに何にたとえようもありません。
 あの事故がきっかけで、多くの方々の瑛梨香への思いが、全国のプールの安全を呼びかける「大きなうねり」になったのだと心から思えますように、「原因と責任の所在」を明らかにして頂きたいと思います。
 そして、二度と今回のような事故が起きないように「安全で楽しいプール」をつくっていくためにも、確固たる防止策を講じて頂きますよう、強く期待しております。
 最後になりましたが、多くの方々から、私たち家族への励ましのお言葉や、温かいお気持ちを頂きまして、ありがとうございました。これから、遺(のこ)された家族で、力を合わせて頑張ってまいりますので、温かく見守って頂きますよう、お願い申し上げます。
平成18年8月31日
戸丸 勝博
   裕子